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ついてきてくれるまだあたたかい

どこへいくときもついてきてくれる幻になってもまだあたたかい  東直子(『十階』)

幻の方が近くに感じられる日がある。ああ今日は幻が私の一日を守ってくれたんだなという日が。私はわかってるし、幻の方もわかってる。会話することはできないけれど、後ろを歩いているのが、振り向かなくてもわかる。

あたたかいのでファンタジーでないこともわかってる。

「ファンタジーじゃないよ。いるから」と幻は言う。

わたしはうなずく。わかってる、と。
その、うなずき方、変だよ、と幻が言う。

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