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クレヨンと棺
三十六色のクレヨンで画く棺の中 樋口由紀子(『セレクション柳人13』)
現代川柳の中で死はカラフルで賑やかだ。それが終わりだとは感じられないからかもしれない。
現代川柳は生まれる前にも死んだ後にも想像をめぐらせる。生まれて始まるわけでも、死んで終わるわけでもない。ああやっと生まれるのか、これで何度目の死だろう、そんな風な、生まれることのふつう、死ぬことのふつう、がある。
俳句が目をゼロにしてゆくことに対して、川柳は心をいったんゼロにしてリセットする。俳句ははじめての風景をみて、川柳ははじめての心に触れる。
だから死に対してクレヨンを使うこともできる。善いとか悪いとかではない。川柳ははじめてタッチする心に今タッチしようとしている。
棺の中にさまざまなカラーの線が引かれてゆくのを私は見ている。
引いているのは私だ。
虹以上の棺の中でわたしの何かが始まろうとしている。
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