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医療従事者/臨床メモ

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最近の記事

腸管壊死、致死率高!恐怖の門脈ガス血症とは

【臨床メモ】 リハ職では普段聞き慣れない門脈ガス血症。 非常に稀で、疾患名を聞くだけでもヤバそうなイメージが沸きます。 ✅門脈ガス血症 ・腸管内にガスが存在する異常な状態 ・腸管壊死や腸管虚血などの重篤な消化器疾患 ・腸管の血流が不足することによって腸管粘膜が損傷し、腸内のガスが門脈に移行することで発生 ・非常に稀な病態 ✅主な原因 腸管虚血: 血流が不足することで腸管が損傷し、ガスが門脈に移行 腸閉塞: 腸内圧の上昇が原因でガスが門脈に入る ガス産生菌による敗血症:

    • あの人の性格がわかる! 体型から読み解く性格

      【臨床メモ】 体型については、ほぼこれから性格と結びつけるような事はありません。ただ、性格に難がある場合に肥満、痩せ型かと性格から体型に結びつくこともあります。 知識としてはおもしろいネタですが、偏見にもなりうるテーマなので注意が必要です。 ✅クレッチマーの性格分類 ・エルンスト・クレッチマー(Ernst Kretschmer) ・ドイツの精神科医  ・体格と性格の関係について研究 ✅肥満型(太った人) 気質: 躁うつ気質(循環気質) 性格: 社交的で親切、温厚である一方

      • 咬傷!犬、猫、人、噛まれて危険は?

        【臨床メモ】 犬、猫、人による咬傷にはそれぞれ異なる特徴とリスクがあります。 これらの咬傷の違いと感染リスクについてメモしときます。 ✅犬咬傷 ・犬は強い顎を持ち、傷が大きくなる ・犬による咬傷は、力が強く、深い傷を引き起こす ・感染率は5-10%と比較的低いすが、傷が深いため適切な処置が必要 ・犬の口腔内には、パスツレラ・カニス(Pasteurella canis)や黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などの細菌が存在し、これらが感染源となる

        • 親指を曲げると同時に人差し指が曲がってしまう謎!リンブルグコムストック症候群

          Linburg-Comstockvariation/syndrome リンブルグ・コムストック変異/症候群 【臨床メモ】 臨床では出逢ったことがありませんが、最近整形 雑誌でみました。 ✅概要 リンブルグ・コムストック変異(Linburg-Comstock variation)または症候群(syndrome) ・手の解剖学的な変異の一つ ・手指に関連する先天的な異常 ・長母指屈筋腱(flexor pollicis longus, FPL)と 深指屈筋腱(flexor d

        腸管壊死、致死率高!恐怖の門脈ガス血症とは

        • あの人の性格がわかる! 体型から読み解く性格

        • 咬傷!犬、猫、人、噛まれて危険は?

        • 親指を曲げると同時に人差し指が曲がってしまう謎!リンブルグコムストック症候群

          肘の外側に疼痛、テニス肘の謎に迫る

          【臨床メモ】 テニス肘って治りますか? 臨床での疑問、外来リハに治って来なくなるのか、 諦めて来なくなるのか。 ✅テニス肘 「上腕骨外側上顆炎」 ・肘の外側に痛み ・手首の伸展や握力の使用に関連する筋肉の過度な使用 ・テニスプレーヤー ・調理師 ・演奏障がい ✅理学所見 ・Thomsenテスト: 患者が肘を伸ばした状態で手首を伸ばし、検者が手首を曲げる方向に抵抗を加えることで、肘の外側に痛みが生じるかを評価 ・Chairテスト: 患者さんに肘を伸ばした状態で椅子を持ち上

          肘の外側に疼痛、テニス肘の謎に迫る

          魔女の一撃の恐怖

          【臨床メモ】 腰痛持ちの医療従事者は多いのではないでしょうか。 自身も初めてぎっくり腰やった時は、動けなくてびっくりしました。 歩けなくて松葉杖歩行で腰が楽になった感覚は今でも忘れられません。 ✅「魔女の一撃」 ・ドイツ語で「Hexenschuss」と呼ばれるぎっくり腰のこと ・重い物を持ち上げたり、急に体をひねったりした際に  突然発生する激しい腰痛 ・ぎっくり腰の診断名は急性腰痛症 ✅名前の由来 突然の激しい腰痛がまるで魔女の呪いのように襲ってくることから名付けらた

          魔女の一撃の恐怖

          生活習慣とモナリザ症候群の恐怖

          【臨床メモ】 レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「モナリザ」とは関係ありませんが、 モナリザ症候群。食事を抜いたり、食事時間が遅くなったり、不規則な生活を送るといった生活習慣の頭文字を組み合わせたもの ✅モナリザ症候群とは、  交感神経の働きが低下して代謝が悪化し、肥満になりやすくなる状態  名前の由来は「Most Obesity kNown Are Low In Sympathetic Activity」の  頭文字 ✅原因 自律神経の乱れ。交感神経と副交感神経のバランス、

          生活習慣とモナリザ症候群の恐怖

          足のしびれと禅宗、医学的な関係性に迫る!

          【臨床メモ】 抗がん剤の副作用に四肢のしびれ(末梢神経障害)があります。 それぞれ、しびれ方には特徴があるようです。 直接的に宗教や仏教の宗派が関係しているわけではありませんが、 ネタとして非常に興味深いのでまとめます。 ✅仏教の石派と雲派 禅宗における石派と雲派は、 臨済宗妙心寺派の二つの主要な流派 ・石派: 坐禅を重視し、厳しい修行を通して悟りを目指す流派 ・雲派: 公案を用いた禅問答を重視し、     活発な議論を通して悟りを目指す流派 ✅副作用のしびれ ・しびれは

          足のしびれと禅宗、医学的な関係性に迫る!

          神様の失敗と身体の不完全性

          【臨床メモ】 医療、解剖学的に神様が人間を造った時、 2つの失敗をしたと言われています。 ①血液脳関門と②誤嚥についてまとめます。 前提の整理 宗教的な概念と科学的な事実を組み合わせた、興味深い仮説に基づいています。神様が人間を創造したという宗教的な見解と、血液脳関門や誤嚥といった医学的な概念を結びつけることで、人間の体の構造や機能に対する新たな視点となります。 あくまでも比喩的な表現であり、人間の体の複雑さや不完全さを象徴的に表現していると考えれられます。 ✅血液脳関門

          神様の失敗と身体の不完全性

          睡眠障害や精神錯乱…高カルシウム血症の恐ろしい症状とは?

          【臨床メモ】 高カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が正常値よりも高い状態 カルシウムは骨や歯の形成に必要なミネラルであり、神経や筋肉の働きにも関係。 カルシウムが過剰になると、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。 ✅高カルシウム血症の原因 ・副甲状腺機能亢進症:  副甲状腺が、カルシウムの代謝を調節する  ホルモンを過剰に分泌  骨からカルシウムが溶け出し、  血液中のカルシウム濃度が上昇 ・悪性腫瘍:  癌細胞がカルシウムを放出する物質を産生  骨から

          睡眠障害や精神錯乱…高カルシウム血症の恐ろしい症状とは?

          医療従事者の2人のバッハ

          【臨床メモ】 バッハといえば音楽家。主よ人の望みの喜びよ、 あのパイプオルガンは綺麗で重みがあって大好きです。 医療界にも2人のバッハがいるようです。 ✅キーゼルバッハ ドイツの耳鼻咽喉科医であるヴィルヘルム・キーゼルバッハ(Wilhelm Kiesselbach) キーゼルバッハ部位(Kiesselbach’s area) 鼻の特定の部位。 鼻中隔の前下端部の粘膜の部位で、 鼻血がよく発生する場所 この部位には多くの血管が集まっており、 外からの刺激を受けやすいため、出

          医療従事者の2人のバッハ

          股関節痛の恐怖、アルコール摂取との関係に迫る

          【臨床メモ】  若い大腿骨頭壊死の患者を担当したら、  生活習慣、特に飲酒量を確認してください。  大腿骨頭壊死の3つの原因は覚えておきましょう ✅大腿骨頭壊死は 股関節を構成する大腿骨頭の血流が悪くなり、 骨組織が死んでしまう病状 ✅原因 ・ステロイド薬の長期使用 ・アルコールの過剰摂取 ・骨折 ✅症状 ・初期段階では自覚症状がなし  壊死した骨頭が陥没すると、痛みが出現  関連痛:臀部、大腿後面、膝、  股関節を内外せんで疼痛↑、動きに制限 ・進行股関節の可動域が狭

          股関節痛の恐怖、アルコール摂取との関係に迫る

          "笑顔の死"の真相に迫る

          ✅クラッシュシンドローム 地震や交通事故などで体の一部が長時間圧迫された状態から解放されたときに起こる重篤な病態 ✅原因 圧迫された筋肉の細胞が壊死し、その内容物が血液中に流れ出して全身に障害を引き起こす 高齢者が転倒後、身動きできず、四肢が圧迫されて挫滅損傷からのクラッシュなんてケースもあり ✅症状 尿が茶色 脱力感やしびれ 心臓や腎臓の機能の低下 ✅死亡率も高く、救助後に急変 「笑顔の死」とも呼ばれる ✅治療 ・救助前からの対応が重要 ・救助時には、血流を制限し

          "笑顔の死"の真相に迫る

          解明せよ!オリンピック病の謎にせまる

          【臨床メモ】 2024パリオリンピック開催。 この夏、肺炎患者が増加。 コロナや誤嚥ではなく、マイコプラズマ。 ✅オリンピック病とは マイコプラズマ肺炎の別名 4年ごとに開催される夏季オリンピックの年に流行 ✅マイコプラズマ肺炎 マイコプラズマ・ニューモニエという細菌が原因 ✅特に若年層  5~25歳の人々が発症  田舎では孫から祖父祖母に感染 ✅症状 発熱、倦怠感、頭痛、そして乾いた咳 咳は長期間続くことがあるり ✅感染  飛沫感染、家庭内や職場内で発生 ✅治療

          解明せよ!オリンピック病の謎にせまる

          突然襲い掛かる!「頚椎偽痛風」の恐怖とは!?クラウデンス症候群

          ✅クラウデンス症候群(Crowned Dens Syndrome)は、 第1頸椎と第2頸椎の環軸椎の十字靭帯に偽痛風様の病変が起こる疾患歯突起周囲にピロリン酸カルシウムが沈着し、炎症を引き起こす疾患で、 別名 歯突起周囲偽痛風 とも呼ばれる。 主に高齢者に多く見られます ✅主な症状 ・予兆なく現れる突発的な激しい首の痛み ・首筋の痛み(後屈痛が特徴) ・首の硬直 ・肩こり ・頭痛 ・発熱を伴うこともあり ✅原因 ・歯突起周囲の石灰化(歯状突起周囲石灰沈着症) ・偽痛風(ピ

          突然襲い掛かる!「頚椎偽痛風」の恐怖とは!?クラウデンス症候群

          なぜ癌で脳卒中を引き起こす?トルソー症候群の謎に迫る

          【臨床メモ】  がん患者さんのリハビリをしていると、脳卒中症状が現れることが、  稀にあります。 ✅トルソー症候群とは、  ・癌(悪性腫瘍)の合併症の一つ  ・癌細胞が分泌する物質によって血液凝固能が亢進し、   脳卒中を引き起こす  ・1865年にフランスの神経内科医トルソーによって報告  ・癌患者は癌でない人に比べて、脳梗塞を起こすリスクが約2倍 ✅トルソー症候群の診断  ・血液検査    FDPやLDHなどが高値  ・CTやMRI:脳梗塞を確認  ・心臓エコーや頚動

          なぜ癌で脳卒中を引き起こす?トルソー症候群の謎に迫る