記憶と香り
「好きな人に香水を贈ることで、その香りを嗅いだときに自分を思い出させることができる、最高のおまじない、そして最高の呪いになる」
これは親友がよく私に言ってくれた言葉でした。
香りは記憶と結びついているなと思う出来事が度々あります。
ふんわり柔軟剤が香るタオルケットは夏休みの昼下がりに母と昼寝をしたことを、コーヒーの香りは大学の研究室を、はちみつ紅茶の香りは卒業制作を、思い出します。
私にとって特別な香水がいくつかあります。
一つ目はCHANELのChanceのピンク色のやつ。これは親友がいつもつけている香りです。
私が不安でたまらない時に、「今の気持ちがチャンスに変わるように」と手首に1プッシュしてくれたことがあります。
自分から親友の香りがして、最初こそソワソワしましたが、次第に自分は一人じゃないと思えて安堵の気持ちが芽生えました。
彼女の優しさと、ラフランスの甘い香りにどれほど救われたでしょうか。
おまじないのように香水を分けてくれた親友に今でも感謝しています。
二つ目は自分で調合したオリジナル香水です。こちらは神戸某所で作った花束の香りです。親友が誕生日プレゼントにと一緒に来てくれました。
以前親友と自宅でアフタヌーンティーを開催したのですが、その時に生けたフリージアの香りにうっとりしていました。
この香りの香水が欲しいなと言ったら、一緒に調合しに行ってくれて、理想の香りが完成しました。
この香りを嗅ぐと、アフタヌーンティーの記憶や、一緒に神戸を歩いた記憶が蘇ります。きっと将来親友と別々の道を歩むことになり、なかなか会えない日が続くことになると思います。この香りに思い出を蘇らせてもらって、お守りのように大事にしていきたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?