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CINK FOOTBALL SQUARE⑬~女子サッカーを通してジェンダーについて考えよう~

皆さんこんにちは、CINKインターン生のひかるです。

4/25 21時から行われたセッションでは、現役でプレーされているスフィーダ世田谷の樫本芹菜選手(@Kash_money07)にお越しいただき、テーマにある通り女子サッカーという競技を通してを通してジェンダーについて議論を行った。芹菜さんは、なでしこリーグ一部に所属するスフィーダ世田谷でプレーしつつ、チャリティー活動を通して女子サッカーの普及への貢献活動をしている。

日本の女子サッカーは2011年になでしこジャパンがワールドカップ優勝を果たし、翌年のロンドンオリンピックも準優勝するなど輝かしい功績を残したが注目を浴びたのも束の間。その後はあまり世間の注目を得られなかった。
そんな中、2021年9月12日に女子のプロリーグ、WEリーグが開幕した。これまでのなでしこリーグとは違い、WE(Women Empowerment)リーグはプロ化されており、日本の女子サッカーの発展や女性のプロスポーツ化の普及を目的としている。目標平均観客人数は5,000人となっているが、現実は厳しく1,500人程度に伸び悩んでいる。そんな日本の女子サッカーの現状や今後について実際に女子選手としてプレーする芹菜さんからお話を伺った。

~女子サッカーと男子サッカーの違い~
芹菜さんは小学校の頃は男子と同じチームに所属していて性別関係なくサッカーを楽しんでいた。中学校に進学し、小学校の頃と同じような環境でプレーしていたが、「女子チームに属していなければ全国大会に進むことができない」という制限が設けられ、女子のみで構成されているクラブチームへの移籍を決断した。競技人口の違いから女子に与えられているサッカー環境は決して恵まれたものではないという。確かに男子サッカーは年代問わず広く普及しておりチーム(学校)選びに困ることはほとんどないだろう。しかし、芹菜さんは広島出身であるにも関わらず、地元を離れ静岡の藤枝順心高校に進学することを決意するなど難しい判断を迫られることがあった。
また、競技人口による問題だけではなく金銭的問題も女子サッカーにおいては大きな問題となっている。上記したようにWEリーグはプロ化したリーグではあるがなでしこリーグに所属する選手はアマチュア扱いとなっている。このような女子選手を取り巻く環境は1つの競技人口が増えない要因であると言える。

~「メンズ文化」~
アメリカやドイツも渡り歩いた芹菜さんだからこそ感じるジェンダーの観点からの違いも国内外で存在する。社会的には海外の方が自己表現をしやすい環境であり、自身が性的マイノリティ(LGBTQ)であることを打ち明けやすい。一方で、日本では未だ社会的に浸透しておらず、自ら性的マイノリティであることを打ち明けにくいというのが現状である。
だが、サッカーのコミュニティにおいて、日本では「メンズ文化」が浸透しているという。メンズ文化とはトランスジェンダーまではいかないが恋愛対象が女性であったり性的表現が男性よりであったり、いわゆる「男性らしさ」を指す。コミュニティ内でもこのような話題をすることはタブー視されておらず自分を表現しやすい世界線が日本の女子サッカー内で広がっている。チームメイト内でも”私メンズなんだよね”といった会話が普通にあるという。
一方で日本サッカー協会はなでしこリーグを「女性らしさ」などに重点を置きブランディングする姿勢を見せているためジェンダーの流れに逆行しているという現状もある。

~海外との女子サッカーの違い~
日本の女子サッカーは上記したように「女子らしさ」をテーマに女性に対してブランディングしようとしているのに対して、海外サッカーは「自然発生的」に女性がスタジアムに足を運ぶようになっている。先日行われた女子バルセロナ(FCバルセロナ・フェミニーノ)とヴォルフスブルクの女子CL準決勝では91,648人の観客がスタジアムを訪ねた。自分も現地で観戦したが、特に女性に向けたブランティングをしるようには見えないのに若い女性の姿が多く見受けられた。チケット価格は20€(3,000円弱)前後で男子の試合に比べるとお手頃価格となっていた。

~女子サッカー・女子選手の見られ方~
以上に書いたように、女子選手が持つジェンダー観とリーグの掲げる方針にはギャップがある。しかし、芹菜さんは「女子らしさ」でブランディングを進めていくということも非常に大事だという。というのも、テニスやバレーとは違い、サッカーはネットを挟んでプレーしないコンタクトスポーツであるため、スピードやフィジカルが顕著に浮き出る。男子に比べるとそのような点では勝ることができないため「プレーのクリーンさ」など女子サッカーならではの魅力で勝負していく必要があり、より多くの方に女子サッカーに興味を持ってもらうためにはこのような要素も女子サッカー内で表現していかなければならない。

~今後の芹菜さんの目標~

芹菜さんがこれから活動していく上で心にとめていることは”1人でも多くの人が自身の意思で行動するようになること”だという。女子サッカーの発展への貢献は最終的なゴールではない。自分の生き方をより多くの人に知ってもらい、各々が自身の幸せを追求する人生を送るという意思決定をするようになることが目標である。海外で生活した経験がある芹菜さんだからこそ言えることで、日本の社会は組織の型にはまってしまって個人の意思が反映されにくい。ジェンダーや女子サッカーを取り巻く環境などは決して良いものではないが、そういった人たちの声が埋もれてしまわないように個人の幸せを追求する姿勢を見せ続けたいと芹菜さんは語る。

~CINKについて~
CINK FOOTBALL SQUAREでは、サッカーをビジネス面やコーチング面から紐解くセッションなど充実したコンテンツの下で皆さんとインテラクティブなディスカッションを深めていく場を提供しています。
サッカーという共通項を通して年齢、性別、立場を超えて時間を共有する広場(Square)、それがCINK FOOTBALL SQUAREなのです!みなさん是非ご参加ください!

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