2023年振り返り(デジタル庁)
年末なので、2023年にデジタル庁の仕事でやったことを振り返ろうと思います。
省庁の仕事というのは日々のミクロな時間軸で捉えていると、物事が前に進んでいるのか全く以て不安になってしまうものです。そのため、年単位くらいで振り返るのは自分なりのモチベーション管理のためにも、重要だと考えているところです。
こうして振り返ると、年間で見ると色々と前に進んだ気もしてきました。
とはいえまだまだよちよち歩きで、今年うちに生まれた娘の成長の速さには遠く及ぶべくもないのですが。
来年も頑張ろう。
2022年からの流れ
2022年の入庁以来で取り組んできた「政策ダッシュボード」のプロジェクトが、一般に公開されたのが2022年12月。そこでの反響は思ったよりも大きく、この流れを2023年も引き継ぎたいと考えながら2023年を迎えた。
何故か首相官邸のHPのトップにも載った。
政府のワーキンググループでの提言
マイナンバーWGで政策ダッシュボードの取り組みの紹介および、そこからの発展として何をすべきかの提言資料を作成し、デジタル庁の局長(統括官)に発言をしてもらった。これまでの省庁の資料と比べて、みやすさやトンマナ、具体的なデータを多く含む点などに反響が会ったように思う。
ここでの資料としての打ち込みが、その後のマイナンバー関連の数値の可視化のための礎となることを狙った。行政では何をするにしても、事前の仕込みとコンセンサスが取れたという状況をどう確立するかが重要だ。
庁内のデータ基盤の拡充
2022年から立ち上げていたデータ基盤を、チームのデータエンジニアを中心に拡充した。下記の資料に詳しい。
Fact & Dataユニットの発足
自分の元に専門のチーム(Unit)を発足し、デジタル庁のトップであるデジタル監の直属組織として位置付けた。それまで、明確な組織の箱がなく活躍していた周囲の人材や、他部署の人材を明示的にチームとして組成しデザイナーや行政官などの多能職種が有機的に関われる仕組みとした。これにより、専門人材のさらなる拡充と、デジタル監の指示のもとで広域な目線でのプロジェクトの立ち上げと推進を行える体制とした。
僕自身はユニットを率いる組織長としての役割を担うことになった。
生来、組織の長やタイトルに関心が薄く、前職でも嫌々ながらマネージャ職をこなしていたことは、こちらの記事 でも書いたということを蛇足として置いておく。その性分はいまも変わってはいないが、今回はより自覚的に長(Head of Unit)としての役割を引き受けることにしてはいるつもりだ。性根は変わらずとも、やるべきことのために、人は成長できる(多分)。
政策ダッシュボードPJの発展
2023年の9月、デジタル庁の発足2年と合わせて3つの新しい政策ダッシュボードを公開した。世間に出せるアウトプットは非常に重要だ。こちらも大きな反響があったように思う。また、他省庁や自治体などにも、この政策ダッシュボードの取り組みの認知が少しづつ広がっているように感じる。
200件ほどあった引用RTの反応をすべて目を通させていただいたが、ポジティブなものが多く勇気づけられる。
また、3つのダッシュボードを同時にリリースできたというのは快挙だった。
外部の方からはあまり想像がつかないかもしれないが、政策に係る数値を政府の公式のダッシュボードとして誰からも見れる場所に公開するのは調整やロバストさの確保など含めて、想定を遥かに超える手間がかかる。ここに至るまでの半年間でのチームの充実が形となっていると感じる。
庁内の重点PJでのデータ活用の推進
デジタル庁の抱える政策のうち特に重要度が高いものに関して、特別PJを組んでデータ活用による状況の見える化と政策推進のための仕組みを作った。この内の一つには大きな手応えを感じており、チームのトラックレコードとしてもひとつsignatureな意味を持つものになったと思っている。
この取り組みについてはいまのところ外部向けには詳細を公開してているものではない。政府内でも、どちらかといえば公開されない取り組みのほうがマジョリティだろう。
他省庁との先行的な関係構築
政策ダッシュボードの取り組みを見て、声を掛けてきてくれた他の省庁の行政官とのディスカッションの機会を持つようになった。ここでの議論や人間関係が、後のアウトプットに文脈として繋がっている。
デジタル行財政改革会議
2023年9月、総理直下の内閣官房の会議として「デジタル行財政改革会議」が設置される。こちらの担当大臣をデジタル大臣の河野太郎氏が兼任するという差配であり、デジタル庁の取り組みのすぐ横に総理直下の指揮系統力を付与した形となった(と僕は理解している)。
こちらのデジタル行財政改革会議の事務局職員とは、これまで一緒にディスカッションをしてきたメンバーも多く配置されており、私もデジタル庁の職員として、会議での提言骨子作成の議論には積極的に関わらせてもらっている(特に政策データの見える化文脈において)。
こちらは議長が総理の元で行われる会議なので、ここでの提言内容・決定内容は非常に重さを持つ。10月・11月・12月と行われた会議ではいずれも、デジタル庁の政策ダッシュボードを引き合いに出す形で、政策のデータによる見える化・ダッシュボード等を用いた、KPIのモニタリングの重要性が確認された形となった。
第2回開催資料デジタル行財政改革会議
Data, Design and Government
政策ダッシュボードの取り組みの背後にある哲学、データとデザインに関する考えについて、PJを一緒に進めてきたデザイナーと協働で資料「Data, Design and Government 」にまとめ公表した。
Public Relations
いくつかデジタル庁の文脈でメディアの取材を受けた。
意味なく、頼まれたからと言うだけの理由でメディアに露出するのは避けてきたので、前職の退職以降はほぼ露出をしていなかったが、数年ぶりの露出の多い年となった。
https://bizzine.jp/article/detail/9485
https://bizzine.jp/article/detail/9821
https://www.unerry.co.jp/blog/spectacles-day3-kashida/
https://say-yosoro.com/article/20230801-2/
https://newspicks.com/news/9349737
プライベート
第一子(娘)が生まれた。正直めちゃくちゃ可愛い。
国のために、とかいう柄ではないのだが、次の世代のためにより良い未来を作る、その一助を、できることならこの手で。とは思う。
後記
こうして振り返ると、年間で見ると色々と前に進んだ気もする。
来年も頑張ろう。
ちょっと自画自賛になっているフシのあるところがありましたらご容赦下さい。
なんせ普段あまり褒められない仕事のものでして(そういう意味ではプロパーの行政職員の方々には本当に頭が下がります)。
たまには自分で自分を褒めてあげないと、長距離走はできない。
おまけ
河野太郎大臣の応援RT集
いつも簡潔。
いつも読んでくださってありがとうございます。 サポートいただいたお代は、執筆時に使っている近所のお気に入りのカフェへのお布施にさせていただきます。