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任期法ってそもそも何?非常勤講師と任期にまつわる話

先日、立教大学ユニオンのツイッターで非常勤講師と任期にまつわる投稿があり、多くのリツイートといいねが付いています(2000以上のリツイート、4000以上のいいね、2023年2月23日18時時点)。https://twitter.com/RikkyoUnion/status/1496078435709755396

ツイートが複数にまたがるので、要約すると、

①立教大学が2016年4月以降に働き始めた非常勤に任期法を適用した。
②任期法に基づいて、非常勤が無期になるタイミングが5年から10年に延びた。
③その無期になる10年の間に、コマが減らされ続けている。

こういうことになります。
ちなみに、首都圏大学非常勤講師組合も一緒に取り扱っている案件で、私たちも当事者になります。

では、そもそも任期法とは何でしょうか?
任期法とは、大学の任期に関する法律で、この法律の対象者は、5年ではなく10年で無期転換となります。

なぜ、無期転換を延ばしてしまったのでしょうか?
それは、5年を超えるプロジェクトでは、任期中に無期雇用になる雇用をためらう大学があり、研究者を雇用しにくくなっていました。それで、長期のプロジェクトでも雇いやすくしましょうという目的で10年経つまで無期転換できないとする特例を設けることになったのです。

立法趣旨を踏まえると、語学の非常勤講師は、対象にならないのではと思われるのではないでしょうか。しかし、首都圏のいくつかの大学では、語学の非常勤講師でも任期法の対象となっています。

任期法では、対象者について次のように定めています。

「先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性に鑑み、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき」(任期法4条1号)

法文を読んだだけでは、対象者の定義があいまいで、非常勤講師がどのような場合に該当するかよく分かりません。そのあいまいさを利用して、立教の他にいくつかの大学が任期法を適用しています。例えば、次のような大学です。

・早稲田
・中央
・慶応義塾
・東海大
・東京造形大

ちなみに首都圏にある70を超える大学では、5年で無期転換できます(首都圏大学非常勤講師組合調べ)。なかには、1度は任期法を適用するとしたものの、撤回した大学もあります。

上であげた大学とは、継続して任期法の適用をやめるよう交渉中ですが、任期法を使ってコマを減らしていくというようなことがないように注視していきたいと思います。

(参考)「語学の非常勤講師」は研究者か? 大学教員の「無期転換」、翻弄される有期労働者たち(弁護士ドットコムニュース)
https://www.bengo4.com/c_5/n_14140/