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三十煎目:琉球漆器とは


琉球漆器は、中国からもたらされた技術が独自の発展を遂げたものです。 漆器を作る気温や環境に恵まれていた沖縄では、いつしか漆器の制作が盛んになり、重要な貿易品として洗練されていきます。今日でも、その美しさと実用性を兼ね備えた琉球漆器は、今日でも多くの人々に愛され続けています。

琉球漆器の歴史

琉球漆器は、琉球王国時代に15世紀頃中国から伝わったとされています。中国皇帝が琉球王国を任命する冊封(さっぽう)を媒介として、琉球王国は中国と貿易をすることが許されていました。 年平均気温22℃前後、湿度70%ほどと、沖縄は漆器を作るのに非常に優れた環境を持っており、螺鈿細工など技術の進化を経て、より洗練された琉球漆器に発展していきました。

これらの琉球漆器は、外国との貿易品としても重宝されるようになり、その技術と美術性は国外でも高く評価されました。中国や日本の支配に揺れた琉球王朝の献上品としても重要な役割を果たしたようです。

琉球漆器の特徴

琉球漆器には、独特の下地作り、塗り、装飾技法が用いられます。黒い漆に螺鈿細工を施した黒漆螺鈿や、朱漆に沈金(ちんきん)や箔絵(はくえ)、堆錦(ついきん)といった技法が特徴的です。

漆を最低でも3回塗り、その上に絵を描いていきます。螺鈿の場合は貝殻、沈金や箔絵の場合は金箔などの素材も用いて、独特の質感と光沢を実現しています。 沖縄の花ハイビスカスや縁起が良いといわれる龍など、沖縄らしいモチーフが用いられることも多くあります。

琉球漆器は、その独特の美しさと技術で、現代でも日本国内外から高い評価を受けています。しかし残念ながら、多くの手間と技術が必要な琉球漆器の職人やメーカー企業は減り続けています。琉球漆器の世界は、今後の継続への課題も多くはらんでいるともいえるでしょう。

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