見出し画像

映画「female」(2005年公開)

個人的所感によるあらすじ

五人の女性作家が“女性”をテーマに書き下ろした短編小説を、気鋭の監督五人が映像化、というオムニバス映画。

画像1

ちょっとネタバレな感想

過去に教師と関係があった女子高生の帰省、同級生の母親に性の芽生えを覚える少年、男と男の間をゆれ動くオンナやホストに入れあげて強盗する女、夢の中で奔放にセックスに身をゆだねる女性。
確かにエロスがテーマだというだけあってかなりその手の描写が満載(ものによってはそればっかり)なのだけれど、思ったほど生々しくない。

言葉にするのは難しいが、直な表現になればなるほど温度が低く乾いていて、あくまで気持ちの説明としての行為に見えてしまう。行為の現実感が少ない割に、主人公や描かれている世界に現実味がありすぎるので、なんとなくふわふわしたおとぎ話といえばいいか。
活字であるハーレクインロマンスでも読んだ方が、よっぽどエロいのではないと思えるくらいに。

男性が見たらまた捉え方は違うのだろうか。

そういう意味では唯一の女性監督作である「女神のかかと」がいい。ああいう”視線を欲する”という気持ち、女性なら絶対にわかるはずだ。あり得ない設定ではあるけれど、下手に直接的シーンよりよっぽどどきどきする。「かかと」というパーツも秀逸だ。

女性にとってのエロスって、まずは五感で感じるものだと思う。想像力や気持ちで感じるものと言いきってもいいくらいだ。だから、アダルトビデオみたいに”それそのもの”を見せられるより、薄く空気をまとうくらいの距離感がもしかして一番『感じる』ものなのかもしれない。

womanでもなく、ladyでもなく、femaleというタイトル。
ここに少しだけ、意味を感じるのは私だけだろうか。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?