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映画 「メカニック」(2011年公開)

個人的所感によるあらすじ

ターゲットを機械(メカニック)のように的確に始末する暗殺者、アーサー・ビショップ。
ある日、雇い主の闇組織から、アーサーの恩人、ハリー・マッケンナ暗殺指令が入る。ハリーが組織を裏切ったというのだ。葛藤しつつもハリーを殺したアーサーは、ハリーの息子、スティーブと再会する。何も知らないスティーブは、アーサーに暗殺のテクニックを教えて欲しいと言う。アーサーはスティーブを助手として暗殺術を仕込み始めるのだが・・・・。

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ちょっとネタバレな感想

チャールズ・ブロンソンが72年に主演した同名映画のリメイク、そしてトランスポーターなどステイサム作品のすかっと感。
ビジュアルのイメージも相まってそんなB級アクションを期待して観たのだが、その思いは裏切られた。
見終わった感想は、ひたすら苦く、悲しい。

信用すること、信頼すること。
味方と敵。
誰を起点にするかで、すべては簡単にひっくり返る。

組織の分裂のために、友人であり恩人のハリーを暗殺しなければならなかったジェイソン演じる凄腕の殺し屋ビショップと、父の復讐のために生まれ変わって生きようとするスティーヴ。
利権のためにビショップをはめた人間が悪いと言ってしまえばそれまでだが、結果的に彼らには重い楔がのしかかる。
そんな中で敏腕の暗殺者として成長していくスティーヴとビショップの
言葉少なくも徐々に結ばれていく気持ちが感じられるだけに、衝撃の結末はせつない。

冒頭の一人暗殺シーンも見事だが、途中、成長したスティーヴとビショップの息のあった動きと手腕は美しい。
お互いへの信用(信頼ではない)がなければ、ああはできない。

だからこそ、そもそものスタートから悲しいのだ。
最初から成就することのない恋愛のように。

最後の彼らの選択は賛否両論あるだろう。短絡的なスティーヴを責める向きもあれば、冷徹な判断を下すビショップの冷たさに疑問を投げかける人もいるだろう。けれども、この最後のシーンがあるからこそ、ビショップは感情のある人間であると同時に、どこまでもプロとしての「メカニック」である結末という意味では、タイトルにも即しているのではないだろうか。

一度入った亀裂で生まれた危険の種は消さなければならない。
でなければ生き残れない。
だからこそ彼はメカニックであり、”完璧”な暗殺者なのだから。

ビショップが道具であった犬を娼婦に託すシーン。
あのシーンにメカニックでない人としての彼が透けて見える気がする。

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