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映画 「サッドムービー」(2006年公開)

個人的所感によるあらすじ

消防士とニュース番組の手話キャスターとして働く女性、聴覚障害者の女性とその彼女がアルバイトをする遊園地に毎日やって来る似顔絵描きの青年、3年間無職の生活を続ける青年とスーパーのレジのパートタイマーの女性、キャリア・ウーマンとして働く母親とその息子という4組のカップルが織り成す様々な別れを描く。

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ちょっとネタバレな感想

サッドムービー、直訳すれば”悲しい映画”。

悲しみにはいろいろある。
失ってから改めて気づく想いもある。
だからかしれないけれど、出てくる彼らは皆一様に、失うことが怖くて一歩も進めないようにも見える。失ってしまってから、”もう一歩さえ”踏み込んでいればよかったと後悔しているようにも見える。

そう、「悲しみ」をテーマにしたこの作品で描かれているものは、たぶん純粋な悲しみではなく、後悔。
彼らの瞳に映るものは、今この時ではなく、過去なのだ。

もしかしたら、晴れて夫婦になっていたかもしれないし、留学した彼とも付き合いを続けて行けたかもしれない。もっと早く本気になれば彼女を失わなかったかもしれないし、闘病生活も違ったものになったかもしれない。
そんな「過去」を抱えて立ちすくむだけの彼らはとてもせつない。

本音を言えば、歯がゆい気持ちもないでもない。
できなかった行動も、口に出せなかった言葉も、”過去の事実”だけはなかったことにはできないのだから。

けれども、だからこそきっと、彼らはいつかはきちんと前を向いて踏み出して行くと思いたい。やり直すことはできないけれど、人はそれしかできないのだから。
それが生きるということだから。

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