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映画「サイドウェイ」(2005年公開)

個人的所感によるあらすじ

小説家になる夢を捨てきれない中学校の国語教師マイルス。いつまでも離婚の痛手を引きずり神経質なところのある彼は、ワインのことになると一家言もつこだわり派。
そんなある時、悪友で落ち目のTVスター、ジャックが一週間後に結婚することになり、二人は結婚前最後の独身旅行を楽しもうとカリフォルニアのワイナリー巡りの旅へと出かける。バチェラー・パーティよろしく、ハメをはずすことしか考えてないジャックに対し、必死にワインの素晴らしさを語って聞かせるマイルスだったが、ある出会いがあって。

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ちょっとネタバレな感想

まわり道、が好きな人はたぶんあんまりいないだろう。
きっと時間をとても無駄にしたような気がしてしまうから。

でも、寄り道だったら?

本当は、この二つは同じ道の裏と表でしかないのだけど。

夢に裏切られることに慣れきって、繰り返す期待と失望の重みに疲れて、壊れた結婚生活の幻想にさえすがれずにすっかり油っけが抜けてしまった中年男、マイルス。彼にとっては全てはまわり道でしかなかったのだろう。
けれど、彼がこだわるワインが熟成する時間を必要とするように、無駄がある方がいい場合だってある。映画にならうなら、全部のワインがヴィンテージになる訳でもない。

ほんのちょっとしたきっかけで今の自分もそう悪くないと、それを作ったのが他でもない自分自身が生きてきた時間だということに気が付いたら、「まわり道」はいつだって「贅沢な寄り道」に成りうるのだ。

若いときは目的地にとにかくまっすぐにいきたいものだ。
うまくいくことは少なくて、でもそんな欲望も捨てきれない。すでに焼けぼっくいでしかない夢たちを持て余す大人たちは意外と多いのではないだろうか。

いろいろあっても、泣いても笑っても、人生なんてこんなもの。
まわり道じゃなくて、熟成のための時間。
そんな大人の寄り道に、乾杯。

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