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映画 「シャネル&ストラヴィンスキー」(2010年公開)

個人的所感によるあらすじ

1913年のパリ。ロシア・バレエ団の革新的な「春の祭典」の初演は酷評にさらされ、作曲家イゴール・ストラヴィンスキーは打ちのめされる。しかし、観客の一人ココ・シャネルは、その独創性に注目する。その7年後、ロシア革命によって亡命したイゴールとその妻子にパリ近郊の別荘を提供したのは、デザイナーとして成功を収めたものの最愛の恋人を事故で亡くしたココだった。
不思議な共同生活の中で、高い芸術性と創造力に秀でた2人は激しい恋に落ちるのだが・・・。

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ちょっとネタバレな感想

20世紀の近代音楽の傑作に挙げられる「春の祭典」、そして香水の代名詞としてもあまりに有名なシャネル「No.5」の誕生、その2つの出来事に関わる二人の天才の秘めた恋の物語。
著名な二人の関係のどこまでが史実でどこまでが架空なのか、興味も手伝ってつい引き込まれる。

とにかく、この頃シャネルのミューズとしても活躍していたアナ・ムグラリス演じるココが気高く高慢でひたすら美しい。
見事にモノトーンで統一した一見地味なファッションとインテリアの中で(なんと窓の枠まで黒!)凛と立つ姿がなんともゴージャスに、もろく見えることか。

対するマッツ・ミケルセン演じるストラヴィンスキーもまた天才であり、だからこそ一人きりでは生きられない傲慢でわがままな男として描かれる。
ココと妻の二人の女性に生かされていることをどこかで感じていながら、それを認めたくない彼のプライドは、ある意味滑稽でそして悲しい。
普通の女ではとても持たない類のオトコだ。

彼らの恋愛は、まるで戦いだ。
お互いの才能を食い合うように、まるで勝たなければ自分の存在がなくなってしまうかのように。
まるでなにかの影に飲み込まれるのことがなによりも怖いかのように。

かなり露骨な表現もあり、一見大人の恋愛を描いているのだが、私にはまるで自分の才能と情熱をもてあました若者のぶつかり合いの恋愛のようにしか見えなかった。浅はかといえば浅はかだし、滑稽といえば滑稽でしかない。

けれども、本当に枯れてきた年齢で最後に思い出すのは、そんな熱情の記憶になるのかもしれない、とふと思う。
どれだけ望んでも、もう二度と手に入らないものだから。

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