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映画 「ロード・オブ・ドッグタウン」(2005年公開)

個人的所感によるあらすじ

1975年、カリフォルニアのヴェニス・ビーチでサーフショップ「ゼファー」に集まる若者達。彼らの憧れは店を経営するスキップとその仲間たちのようになること。そんな彼らを使い一旗揚げようとスキップは彼らを集めてスケートチーム『Z-BOYS』を結成する。

見捨てられたビーチで、様々な屈折をサーフィンにぶつけていた彼らは、スケート・ボードの魅力にのめり込み、初めて参加した競技大会でもたちまち注目を集めるが、その名声に群がるメディアの思惑に否応なしに飲み込まれていき・・・・。

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ちょっとネタバレな感想

今ではオリンピックでも種目として取り上げられるスケートボード。ただどこか不良的なイメージを持つ人はいまだ多いのではないだろうか。
『Z-BOYS』という”伝説の”チームの物語だといえばなおさらだ。

物語は史実なのかフィクションなのか、『Z-BOYS』のオリジナルメンバー、ステイシー・ペラルタ、ジェイ・アダムズ、トニー・アルヴァを中心に物語が進んでいく。実際に脚本を担当したのもステイシー・ペラルタだから、脚色はあれど、ほぼ事実と思っていいのだろう。

アメリカという国の物語は、画面のあちらこちらであの時代のアメリカの暗部、言い換えればけして過去ではないにもかかわらず過去にされた歴史が見え隠れすることが多い。例えばベトナム戦争が残した傷跡といった時代のやるせなさのような空気といえばいいか。

ドラッグ漬けの大人達や酒びたりの母親、彼らにとって正規の希望はほぼないにも等しく、全てをクリアにして逃げ出せる場所が、「上」に這い上がることでしかないことがよく分かる。
不良な大人がヒーローに見えてしまうというのは、あの年代の若者にはよくあることだろう。ヒーローはどんな狼藉をしても許される。まじめさはこの街ではけして美徳ではないし、勤勉さは蔑まれる理由のひとつにしかならない。

今の時代であっても、全ての人間は金と酒と女の匂いのするところに群がっていく。例え、それがいたいけな十代の若者だったとしても変わらない。求められるのは”人”ではなく”商品”なのだから。
その現実を、単なる悪と決めつけるのは性急すぎる。それしか”ない”場合だってたぶんあるのだろうから。

わかりやすい映画でもないし、全てがいい結果になるわけではないけれど、70年代のアメリカンドリームを目撃したような気になる作品だ。
そして、どれくらい吹き替えだったのかは知らないが、スケボーシーンの迫力は素晴らしい。

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