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映画「カムバック!」(2014年)

個人的所感によるあらすじ


ブルースは少年時代に数々の賞を総ナメにしていた天才サルサダンサー。しかし、いじめられてある選手権に出場できなかったことがきっかけで、それっきりサルサダンスを封印してしまう。
それから25年後、会社員として平凡な日々を送っていたブルースだが、ある日アメリカから赴任してくきた新しく女ボス・ジュリアに一目ぼれ。ある日見かけた彼女の後を追いかけると、そこにはサルサダンスを踊る彼女の姿が。
そんな彼女にアプローチするため、ブルースは25年振りにサルサダンスにカムバックするのだが。

ちょっとネタバレな感想


子供のころに神童や天才と呼ばれていたり、そこまでではなくても周囲から才能があると期待されていた人は意外と多い。
しかし、その才能を大人になってずっと発揮できている人は思いがけず少ない。

コンテストに上位入賞を果たしたり、将来もその道がずっと続いていると思っていたのに。
自分はこの世界に選ばれた人間だ、と胸を張っていたのに。
いつの間にか”普通の”大人になってしまっているのは、いったいなぜなのだろう。

ある漫画でこんな言葉を読んだ。

「才能」はそれ自体に価値はない。
「才能を利用できた人間」になって初めて価値が生まれる。

そう考えれば、子供は才能を持っているだけで褒められるが、大人になったらその才能を生かしていかなければ、なにかを手に入れることはできないということだろうか。

最初は好きな人に近づくための手段だったかもしれない。しかし、子供心に自信を持っていた才能の封印を25年ぶりに解き、新たに「その才能を利用できるように」努力を積み重ねた結果、中年ブルースは少年時代の苦い思い出をクリアするだけでなく、自信のない自分ですら変えていく。
子供時代の栄光にしがみついたのではなく、しっかりと才能を利用し、欲しいものを手に入れたのだ。

狡さだけでなんとかしようとした同僚が、結局何も手に入れられなかったのは、きっと「利用」の仕方を間違えたのだろう。

最後のダンスシーンは圧巻だ。
メタボなブルースが、外見を変えることなく、一見まるでギャクのようなひらひらの衣装で、とんでもなく恰好のいい王子様にメタモルフォーゼするラスト10分間。まさにこの映画の本骨頂に違いない。



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