他人の視点を面白がること
人は知らず知らずのうちに考えが凝り固まってしまう。
固定した考えというのは、日常生活を円滑に進めるうえで大切なこと(考えないで済む。考えることは多大なエネルギーを消費する)でもあるけど、一方で視野が狭くなってしまう危険性もある。
視点がひとつになるのは好ましくない。
自分の視野を広げるためには、どうすべきかを考えてみると、パッと旅行が思いつくけど、旅行はそう気軽に行けるものではないし、毎週どこかへ旅に出るというのも現実的ではない。してみたいけど。
あと思いつくのは、交友関係を広げること。けど、これもなかなか気乗りしないのが現実である。
その点、本は気軽にいろんな世界や視点、考えを知ることができて面白い。
例えば、『ノルウェーの大工の日記』を読むと、ノルウェー建築業界の内情だったり、大工の仕事の進め方やフリーランスの働き方を知ることができる。
『ラストソング』という本では、患者の心を和らげる音楽療法士という仕事があるということを初めて知り、『ゼロからトースターを作ってみた』という本では、トースターをゼロから作るという途方もない挑戦をした人間がいることを知った。
最近、読んでいる『ピンヒールははかない』という本では、ニューヨークで暮らす女性の生きざまを、『恋歌』という小説では、幕末の水戸藩を舞台に、ひとりの人を思い続ける一途さを。
これは、どれも本を読まない限り知り得なかったことだ。
司馬遼太郎が書いた『峠』のなかに出てくるセリフで、ずっと脳裏に残っている言葉がある。
人間にとって必要なのは視角を変えることであり、他人の視角をおもしろがるということである。
物事にはいろんな面がある。自分の狭い視野を広げるには、こういう考え方が必要なんだろうなと。
自分の知らない世界への扉を開くか、閉ざすか。そのノブは自分の手に握られている。
自分をいい意味で落ち着かせないためにも、倦んだ日常に刺激を与えるためにも本は欠かせない。
Twitter:@hijikatakata21
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