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鬼ポメラニアンごっこ

人類は切迫する。【ポメラニアン 怖い】とかで画像検索すると、実に顔が怖い。じっと見つめるとまともな一日が失われてしまいかねない。もう二度とポメラニアンに微笑んでもらえないんじゃないかって、そんな悲劇を思うと胸がきしむ。危険だ。

とにかくそうした顔に追い回されることになる。文化形態としてはナマハゲとかにたぶん近い。人類の更なる幸福を祈り、数万のポメラニアンは断腸の思いで恐ろしい形相を大人子ども無差別に見せびらかす。年に一度、一夜限りのごっこ遊び、ポメラニアンは大いに楽しい。ブルドッグも裸足で逃げ出す。

儀式の翌日、ポメッターで国民投票(義務)が行われる。もっとも素晴らしい鬼ポメラニアンには自身の肖像画が贈られ、その飼い主には鬼ポメラニストの称号が与えられる。数日間はご利益を賜ろうとする参拝者の列が一人と一匹の暮らす所にできて、その誰もが涙し、感情を失い、そして妙に晴れ晴れとした顔をして帰ってゆく。

あやまちのない恐怖は、かえって複雑な立場を一掃してくれる、苦い薬のようなものなのだ。

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