星山ひじき

星山ひじきです。佐野元春さんと川端康成さんと、江の島が好きです。 伊勢のひじき祭りに行…

星山ひじき

星山ひじきです。佐野元春さんと川端康成さんと、江の島が好きです。 伊勢のひじき祭りに行ったことがあります。 以前は、「Arrow」というSNSの住民でした。 今はTwitterもやっています。文章を書きます。 よろしければプロフィールもご覧下さい。

マガジン

  • 宇宙は巨大なポメラニアン

    ポメたちの生態を除いてみると、今この時は、彼らの欲張りな魂の容器に飲み込まれ、巨大な宇宙にあなたはひとりなのです。

  • 小さな文章

    パッと読める、小粒たちです。

  • 喜びの島、江の島、新大久保

    神奈川県の海べりに江ノ島という島があります。その島について、多くの人を納得させる文章を書くのは難しいものです。が、地道に挑戦しています。 最近は東京の、新大久保の物語も加えに取りかかっています。

  • 京都探訪

    いつだって自由は創り出すことができる。京都に逃げてきて分かったことはそれだ。助けてくれる人はこれからもきっといる。癒してくれる場所はこれからもきっとある。あの頃よりも自由はずっと深く、時おり目の前に闇のように広がるけれども、踏み出してみることが誰かに禁止されているわけじゃない。何かに禁止されているわけじゃない。いつからだってやり直せる。いつからだって歩いてみても良い。

  • 【現代詩】ヨーロピアン・カヌーの郵便番号

    そして最後には東京2020消えてしまう思い出せなくなってしまう人口ゼロの害虫たちはもはや外でも街でも害でも何でもないインカの魂よお前の交歓を味見させてはくれないか予言された洪水が来る俺は然るべき香水と食料を持って乗るだろうヨーロピアン・カヌー例の隠し場所は〒20357―30485。

最近の記事

  • 固定された記事

ポメラニアンバード

「ポメポメポメポメ……」冬の早朝、まだ霧深い山奥にポメラニアンバードの挨拶が響く。ここは北陸地方のとある廃村だ。 ポメラニアンバードは人嫌いだが、人の匂いは好きで、よく廃村の小屋の中とかに巣を作る。食性とか生息範囲とか、込み入った設定概念は未だ謎に包まれている。まだその辺りの設定は本来のポメラニアンに侵食されずに宙に浮かんでいるらしい。 私がこの村を訪れたのには理由がある。一緒に暮らしていたポメラニアンが昨夜ポメラニアンバードになって脱走してしまい、現在この廃村に潜んでいる

    • ポメラニアン氏が新会長に就任

      満場一致だ。前途洋々だ。森羅万象だ。 世界中に諦観ムードの漂う近ごろ、流星のように現れたポメによって「アレ」が実現に至るのだ。まぶしい。直視できない。 「アレ」って? みんなご存知の「アレ」です。 ポメ会長は絶大なる権力を持つ。人類は「アレ」に一切参加できなくなる。 「アレ」はポメラニアンたちによって開催されるのだ。 人類はちょっと悲しい。 でも、かわいさに文句をつけちゃうの? 「アレ」の場でポメたちが血気盛んにポメポメする。そして人類はただただカンセンする。

      • モルモット≒ピラミッド

        力の天井がはがれ落ち 人の争いに巻き込まれ 税の涙でダムが満ち マトモに扉を閉め切る今夜 モルモットにはわかっている モルモットにはわかっているんだ ピラミッドには永くいられないって 公の気まぐれは死なせておけ 今を生き延びて そして再び、優しさへの導火線を持て

        • 「運の尽きが命の尽き」でも かすかに生きているんだよ 見知らぬ星の地図を掲げて じっと味方を探してる ここからは遠くて見えない マイノリティの流れ星 やさしさの自覚は持っている 特殊な自覚も持っている 無気力よりは痛んだほうが 無気力よりはミスしたほうが 世界はマシだと言い聞かせて 自分はマシだと言い聞かせて ハロー、ハロー、ミルキーウェイ? 声にならない声とか 言葉にならない言葉とか 見せかけの神にすがっても 光の距離には勝てないまま わきまえに悔いを残したまま 喜び

        • 固定された記事

        ポメラニアンバード

        マガジン

        • 宇宙は巨大なポメラニアン
          43本
        • 小さな文章
          22本
        • 喜びの島、江の島、新大久保
          11本
        • 京都探訪
          1本
        • 【現代詩】ヨーロピアン・カヌーの郵便番号
          1本
        • とろり熱海――ローズガーデンの華やかな時季へ――
          1本

        記事

          なぜかここにいるポメラニアン

          遠くに引っ越すことに決めた。最近の町の雰囲気にもう馴染めなかった。昔一緒に暮らしていたポメラニアンのおもちゃもベッドも、今はもう跡形もない。 引っ越しの準備を一通り終えて、夜中に私はパソコンを立ち上げた。相棒だったポメラニアンの動画を見るためだ。ハイボールの缶を片手にして、ポメラニアン動画専用外付けハードディスクを接続する。 ちょうど十年も若い君の姿。まだまだ元気にこの部屋中を駆け回って、お気に入りのおもちゃをかじったりころがしたりしている。もう何百回も見た場面。パソコン

          なぜかここにいるポメラニアン

          付喪神(つくもがみ)

          「部屋の匂いを変えてみたの。嗅いでみて?」  そう言うと彼女は淡い緑で着色されたガラスの霧吹きで霧を振りまいた。パソコンの先の画面が濡れた。 「そんなことしても嗅げないよ。僕の鼻はそれほど発達してない」 「新宿はどう?私たちが修学旅行で行ったまま?そんなわけないか」彼女は肩にかけたタオルで額の汗を拭う。ついさっき湯船から上がったばかりなのかもしれない。 「この街にいるとなんだか妙な感じかするよ」 「妙なねえ…」 「風景も建物ももちろん変わってる。でも相変わらずなんだかキッチリ

          付喪神(つくもがみ)

          オルゴール艦隊

          告白のお手紙は 意味を知られたくなくて 韓国語で書いたんだ 次の日の黒板に 中身貼りつけられてて あいつ、ひこうき雲見てた。 燃え尽きた青春は 心霊写真みたいだね お気に入りの線香花火灯して 潮風に揺すられて 酒焼け校長先生の 最後のポエム・メッセージ 「すこやかに生きて」 女の子を好きになるのを お願い、すこやかって言って。 現在東京、新大久保。 私、猫耳ストリート。 「ねえ、来てみて?」と美人につられ ここは百人町、カフェの地下。 包帯巻きの小型物体 はがすと黒板のオ

          オルゴール艦隊

          ハンモックはみずうみに

          未来の先の 砂漠の穴に ちいさなみずうみ 予測どおりの 想定どおりの おおきな戦争 砂から砂へと 水を求めて 銃がこわくて 言い伝えは すでにここにも 人魚の伝説 アコーディオンで むだな雨ごい 平和の祈り 遠い銃声 隠れ家の小屋で 君と出会った ハンモックの夜 ふたりじゃれあって なぜ君は人なの? ハンモックの夜 ふたりじゃれあって なぜ君は人なの? 君は気まずく 『うらまないで』と ほほえんでいる みずうみのほとり アコーディオンで 言い伝えの歌 白旗のない 滅亡の

          ハンモックはみずうみに

          ポメラニアン→有効にする

          テレワークの夕暮れどき。倦怠感よ、さようなら。私は仕事用のスマホをベッドに叩きつけてパソコンを立ち上げて動画サイトで【ポメラニアン モフモフ】と検索する。ああ……。(恍惚) 私はポメラニストで、ワンルームのアパートに住んでいる。ペットは飼えない。もっとも、私はポメラニアンをペットとは認識していないのだが。 昔、子どもと大人のあいだには、どこか記憶の区切れがあって、そこで人は変われると私は思っていた。しかし、それはどうやら違ったようだ。 成人式を迎えても、就職を迎えても、子

          ポメラニアン→有効にする

          叱らニアン

          骨の髄まで叱られそうになった時にだけ、それなりの仲裁役を引き受けてくれる。しかし一応れっきとしたポメラニアンだ。だからどこまで日本語を理解しているのか、実は定かでない。その点がコ〇ペンちゃんとは異なっているのかもしれない。 私だって、本当は褒めラ〇アンで書きたかったんだ。しかし著作権に骨の髄まで叱られそうなので、言い訳はここまでにしておく。私は彼らの激怒に怯えている。 仲裁の効果を信じすぎてはいけない。ポメラニアン誰にだってミスはあるものだ。この間私がお世話になった、新人

          叱らニアン

          現実的な光(新大久保のための下書き)

          「浩太君だっけ?あなたはどんどん次のステップを踏むべきよ。文章とは単なる肉のファンク・ポップよ。単なる肉はステップとステップとの間に、いちいち行間を含まない。単なる肉は思考する生き物じゃない。あなたにはそうした肉である経験が足りない。思考を放棄して、肉と肉の間に、ただただ古びた怒りを投げ込むの。そうすればすらすらと文章が書けると思うわ。」 「ステップ…?肉…?ちょっとおっしゃっていることが難しくて、よく分からないんですけど…。」 これは新宿のちょっとした人気のある占い屋での一

          現実的な光(新大久保のための下書き)

          ちょっと現金を給付してくれないか?(新大久保のための下書き)

          ホット・バターは「発作」持ちだった。そのためかどうかは知らないが、彼女――ホット・バターは、マトモな職業に就くのをいつの頃からか、あきらめたらしい。彼女は新宿と新大久保を行き来する、立派な下着売りだった。俺の知り得る限りでは、ペパーミントの葉のように清涼な。しかしなにも全てのペパーミントが例えば処女である可能性を捨てているわけではない。現にホット・バターは処女ではなかった。 発作のことをホット・バターから一度だけ聞いたことがある。「浩太、私の発作はね、『目覚め』が何よりもつら

          ちょっと現金を給付してくれないか?(新大久保のための下書き)

          秋風はとたんに

          季節がひとつ きしりとずれ込んで 私はとたんにうろたえました ひとよひとよに そっと仕度をつづけてた 夏が余白をうしなったのです 今度こそ燃え尽きてしまったのではないかと おもたい秋を憎みます 今度こそ燃え尽きてしまったのではないかと おもたい秋を憎みます 覚えていますか 真新しいベッドの上 いつまでも愛を誓ったふたりの春 忘れていますか 真白い高原のかなた いつまでも愛を誓ったふたりの春 懺悔は秋に似合います 秋風にまたさみしく あなたのたよりを待っています 懺悔は秋

          秋風はとたんに

          ポメテンバー

          風を切るように走るポメラニアン。 季節は9月で、天気も気温も申し分ないセプテンバー。 むりやり略してポメテンバー。天高くポメ走る秋だ。 夕暮れの川沿いをポメラニアンと一緒に散歩する私。 夏のなごりにさみしくなる私をさしおいて、彼はポメラニアン専用イヤホンでアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「セプテンバー」を聴いている。 こんな暑さが惜しくなる日には、と彼は散歩の前にイヤホンの装着をせがんできたのだった。 桜か何かの落ち葉がかさかさとやわらかい風に揺れ動いている。 彼の

          ポメテンバー

          こんな屑になり果てるために(新大久保のための下書き)

          「こんな姿、誰にも見せられないな」コウタがそっと呟く。 「なんでよ?」ムニアがポテトチップスを頬張りながら、そっぽを向きながら応える。 「無職で、自殺未遂もして、もう若くもない。俺も、阿川さんも、人間の屑みたいなもんになっちゃったんだなあって。俺なんて学校にも行けてないし。屑だよ。どっからやり直せばいいか分かんなくなっちまったんだよ。そんな風にさ、今日の朝目覚めたら、突然気づいたんだ。なあ、どう思う?」 「不幸の自慢比べをしたいわけ?それなら、私が勝つわね。無職もあった

          こんな屑になり果てるために(新大久保のための下書き)

          巡らすだけの悲しみは増すばかりで

          前に進んでいるのだか、後ろに進んでいるのだかも分からない。色んな事が面倒になってきて、全てを無に帰す妄想なんかを続けている。再び何かをはじめる、という事の可能性について、悲しいほど夢想を巡らしているけれども、巡らすだけの悲しみは増すばかりで、正直、私は心にぽっかりと穴が空いた生きものになり果ててしまった。 とりとめのない文章を刻んでいる。自分でも、とりとめのない思考に落ち込んでいるのがわかる。そういう時には、一体どういった文章を書いたものだろうか。落ち込んだ日には落ち込んだ

          巡らすだけの悲しみは増すばかりで