見出し画像

北国の空の下 ー 週末利用、自転車で北海道一周【42】14.5日目 頚椎ヘルニア 2016年夏

2016年の夏が来ました。
前年は、北海道各地で数々の素晴らしいライドを重ねた季節。
なのに今年は「週末北海道一周」の続きに出かけるどころか、 自転車に乗ることすらままなりません。
原因は、頚椎椎間板ヘルニアの再発です。

◆ 発症

最初に発症したのは、この3年前、2013年のこと。スキューバダイビングでボートへエキジットした少し後、まともな姿勢で立ったり座ったりできないほどの耐え難い激痛に襲われました。
状況から最初はベンズを疑い、再圧チャンバーに入り、それでも全く良くならず、整形外科で頚椎ヘルニアと判明。
ソフトカラーを装着して3ヶ月近く耐え、やがて次第に軽快していきました。

その後も、神経痛や軽い痺れが時折現れ、2~3ヶ月続いて治る、ということが繰り返されていました。ただ、いずれも最初のような激痛ではなく、ストレッチやマッサージで宥めながら日常生活を送ることができるレベル。自転車にも問題なく乗っていました。 

そして今回。5月の道東ライドの前から、いやらしい予兆は出ていました。北太平洋シーサイドラインを走る最中、アップライトな楽なポジションを取ったり、首を伸ばすストレッチをしたり、ずっと宥めながら走っていました。

その後、7月20日頃になって、激しい痛みで左腕を普通に体側に降ろしていることができなくなりました。 ソフトカラー代わりにタオルを首に二重巻きにして、数日間耐えていましたが、首肩周りだけでなく腰にまで強い痛みが出始め、ついには業務にも支障を来す状態に。

7月末のある日、ようやく会社を半日休むことができたので、自宅近くの整形外科へ足を運びました。

◆ 整形外科で

まず、血圧測定。上が160、下が106という物凄い数値が出て焦りました。
以前から、ヘルニアの痛みがある時は血圧も高めの傾向はありましたが、こんな数字は初めて。何回か計測し直したが、五十歩百歩。

続いてレントゲン撮影。腰、肩甲骨、右腕とあちこちが痛み、台の上に身体を伸ばして仰向けに寝ることが出来ません。
自分がポンコツになったようで、とてつもなく惨めな思いをしました。

そして、医師からは、「これは放っておくと手術しかなくなるぞ」と言われ、週3回、牽引治療に通うよう指示されました。
そのまま、牽引治療器に連れて行かれました。初日は10Kgからスタート。
牽引治療は危険、という話も聞きますが、首の付け根が伸びて、その時は気持ち良い。
続いて、電気治療とマッサージを受けた後、痛み止め、筋肉のコリをほぐす錠剤、胃薬、湿布薬などを一山抱え、会社へ向かいました。

仕事中は、ソフトカラーを装着。これで患部にかかる重量を軽減しないと、パソコンでの作業どころか、普通に座っていることすら辛い状態。
ただ、あまり継続着用していると、頚部の筋肉が硬直し、却って良くないといいます。実際、3~4時間も着用したまま仕事していると、首の付け根が凝って堪りません。
それにまた、冷房の効いた室内ならばまだしも、屋外では暑くてたまらない。
従って、仕事中と、どうしても痛みが我慢できないときに限って、カラーを着用することにしました。

通院は週3回。1回は週末に行くとして、残る2回は平日をシフト勤務にさせて貰って通院することに。朝7時半頃から仕事を始め、夕方5時に退社させてもらいました。私の仕事は比較的時間の融通が効くことが幸いでした。

前回の経験から、初期の激しい痛みは概ね3週間程度たつと徐々に和らいでいくことは判っていました。
それが判っていても、この時期の痛みは、楽天家の私をもってしてもなお、「生きているのが辛い」と感じてしまうような、じわじわと精神を蝕むような嫌らしい痛みでした。

◆ 血圧対策

ヘルニアの痛みの影響か、血圧もまた異常値が続きました。
通院のたびに計測するのですが、最初の時と大差ない、上160、下100といった、いつ血管が破裂するかと怖くなるような数値の連続。
いろいろ調べてみた情報に、自分なりの解釈を付け加えて因果関係を述べると、以下のようなことのよう。

1  頚椎ヘルニアそのもので血流が悪くなり、血圧が上がるわけではない。
2  しかし、激しい痛みや痺れによって、交感神経が刺激されっ放しのような状態になり、副交感神経が優位な時間が極めて少なくなることが問題。

頚椎ヘルニアの痛みというのは、リラックスできる時間がありません。
横になっている時すら、最も楽な体勢を探して、腕を上げたり、横に投げ出したり、体をよじってみたり、と試行錯誤の繰り返し。
睡眠時間も短くなりがち。

では、血圧を安定させるにはどうするか。
結局のところ、第一に食生活。第二に、1日一回は有酸素運動でしっかり汗をかき、代謝を上げる。
このように、ごく当たり前の健康な生活を送ることに尽きるようです。

まず、朝ごはんに気を使うようにしました。
川越から都心までの通勤なので、特に早出が必要な時など、トーストとコーヒーとか、コンビニのサンドイッチなど、簡単なものになりがちですが、これを改め、野菜中心に高血圧抑制に効果がある素材をしっかり摂取。
定番は、セロリ、人参、玉ねぎのピクルス。トマトにオリーブオイルをかけたもの。カボチャに黒ごま。あと、降圧効果のあるタウリンが豊富なタコ(この日はガーリックオイル漬)。パンにはバターやマーガリンを避け、ココナッツオイルをふた匙ほどかける。

▲ ある日の朝ごはん

揚げ物や味の濃いものは昼ごはん限定。夜も外食が多いのだけれど、単品は避け、なるべくバランス良く食べるよう注意。

有酸素運動。
自転車に乗ってしっかり汗をかくのは、血圧を下げるために即効性が高いのですが、前傾して頭を上げるライディングポジションは、ヘルニアを悪化させる恐れが多分にあります。
第一、患部が痛くて、そんな姿勢はとても無理。

そこで、普段は冬限定のローラー台を引っ張り出しました。私が所有しているのは、3本ローラーのスパルタンな奴ではなく、後輪固定式の安定して乗れる台なのが幸い。
ローラー台を使うのは、室内で回すのであれば、頭をあげて前方注意する必要がないからです。また、両手を放し、アップライトなポジションで、テレビを観ながらペダルを踏む手もあります。
帰宅後、室内で、ちょうどこの頃開催されていたリオデジャネイロ五輪を観ながら、一時間ほどペダルを回します。ベランダの掃出しは開け放っていますが、クーラーは入っていません。やがて下に敷いたタオルが、汗で濡れ雑巾のようになります。

これは明確に即効性があり、ローラーに乗った直後は100ー80くらいまで血圧が下がりました。一晩寝た翌朝はまたあがってしまうが、それでも下が100を超えるようなとんでもない計測値は減っていきました。

◆ 鍼治療

並行して、週1回程度の鍼治療を始めました。
生まれてこの方、鍼を打ったことなどなかったのですが、牽引治療は鍼と併用することで効果が上がるそう。
自宅近くの治療院を予約し、初めて鍼を打ったその晩は、左腕が熱を持ってだるく、結構辛い思いをしました。しかし翌日、ヘルニアの痛みは明らかに軽くなり、久し振りに前向きに、部屋の模様替えをしたり、街歩きに出たりと、体を動かす気分になれました。

その効果もあってか、8月下旬、発症から25日ほど経って、日常生活に差し支えるような激痛はようやく治り、9月に入ると、左腕の神経性の痛みも落ち着きました。9月下旬には、肩甲骨周りの鈍痛と左手の軽い痺れが残るものの、痛みに悶絶するようなことはなくなりました。

◆ ようやくロードバイク再開

牽引治療の効果で、頚椎の間が潰れていた部分も改善されているとのことで、医師からも、適度な運動を欠かさないよう指示が出ました。
「適度な運動」の範囲がどこまでなのか微妙ではあるけれど、ぼちぼちロードバイクも再開。
ロードバイクの乗車姿勢は、頚椎ヘルニアには宜しくないので、平日の夜30分程度の軽いポタリングから始め、9月末の週末には、荒川サイクリングロードを北本桜堤まで往復してみました。
休憩を頻繁に取り、頚椎ストレッチをしながら走らないと辛い感じではあるが、一番ひどいときのように、左腕に伝わる振動が耐えられないようなことはなくなっていました。

回復を受け、10月の三連休には「週末北海道一周」を再開しよう、と心に決めました。白糠から走り始め、襟裳岬を周回し、鵡川か、できれば苫小牧まで。
思い立ったが吉日、ANAのダイナミックパッケージを予約しました。
快晴の北国の空の下、紅葉の根釧原野を駆けた、昨秋の素晴らしい日々を思い出しながら。

※ 最後までお読み頂き、ありがとうございました。ようやく頚椎ヘルニアは軽快しましたが、その先さらにアクシデントが待ち構えていようとは… よろしければ、続きもご笑覧ください。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?