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【装丁小話】特殊紙ミランダにオフセットで濃いベタを乗せまくった話

テーマは万華鏡

のほほん、のんびり、頒布はゆるゆる気の向くままに……と過去5冊頒布してきましたが、この度11/23のCOMIC CITY SPARK18に参加したために「締め切り」というものが重い意味を持って襲ってきました。仕事でもないのに締め切りに追われる……! 遅れたら死ぬし(財布も)、もしかしたら当日気まずいかもしれない(既刊はあっても新刊がない)。これは大変、とイベント申し込み直後から割とキビキビ動いたつもりではありますが、いかんせん装丁をそれなりに盛る本ばっかり作っている弊害によって、今回は早割を最大で効かせられなかったのが唯一の後悔。早割ではあったんですけども。く、悔しい……。

世知辛い話はさておき、今回作った本は短編集です。薄い文庫本として無配とかで作った本やWebで公開している短めの話なんかが結構溜まってきたのでここらでひとつ紙にしようかな〜と思ったからです。書き下ろしも追加しました。折角なのでいろいろ読めた方がいいよね……。
タイトルの「百色眼鏡」というのは万華鏡の別名だそうで、いろんな話を読めるという点がちょっと万華鏡っぽさがあるのでいいかなぁと思って付けました。相当前から短編集にはこのタイトルをつけると決めていました。去年出した「底の〜〜」を出す前から決めていた気がする。忘れないようにモニターに付箋で貼ってた。
装丁ですが、最初はパチカで模様を透かして下の紙の絵柄を見せたりしたいけどどうでしょう!と、興奮しながらいつもの足を向けて寝られない緑陽社さんへ問い合わせたところ難しそうだったのでペショ…となりながら別の手を考えることにしました。パチカを押した上で全面色も乗せたかったんですけど、パチカって色刷りはちょっと難しいっぽいです(印刷も空押しも両方したかった)。部分的ならいけるのかな?そのあたり詳細は不明。
次の手が、今回使ったミランダスノーホワイトへの印刷です。キラキラの紙で、結構同人誌の表紙でも選ばれがちな紙の気がします。薄い本界の人気者。個人的にキラキラが強すぎるので表紙には避けていたのですが、今回はとにかくキラキラにするんだ!ということで採用しました。万華鏡がキラキラのイメージだったので。
ちなみに今回も画像を何枚か載せてるんですが、ミランダの煌めきが全然撮れなかったので先に謝っておきます。ゴメンナ。

黒い印刷って結局どのくらい黒いのか問題

今回万華鏡っぽい模様を全面に入れていますが、他の部分は黒ベタです。普通のスミ100では薄いだろうと思ったので、リッチブラックを採用しています(K100+CMYを30ずつ追加)。それでも真っ黒ではないです。正確にいうと黒いんですが、同時に押している黒箔と比べるとやはり黒さが負けるというか。漆黒を目指すなら足りないね、って感じです。

光が反射して見にくいことこの上ないけど、箔の方が黒いんだ……

模様をキラキラさせるのが優先事項だったのでミランダスノーホワイトにフルカラー刷りしていますが、黒さを優先するのならミランダの黒に模様部分白印刷でさらにカラーを載せる方がいいのかもしれません。白を乗せたあと、模様の発色がどの程度かというところと、模様が煌めかないという部分はありますが。

箔押しでちょっと紙が凹むの最and高

今回表1〜表4にかけて全面箔押しをしていますが、これが黒箔です。黒箔と比べると、今回の表紙全体は結構濃いグレーって感じに見えるかもしれません。感覚的にマッキーでの塗りつぶしと鉛筆での塗りつぶしくらいの差がある。ちなみに今回の箔は高精細箔です。押す範囲と紙の兼ね合いで、通常の箔押しは難しいということでした。他のnoteかもしれませんが、黒い紙に黒いオンデマンドスミベタとかも見たような気もするので、黒に黒の合わせって結構してる人いる気がします。なので、この黒の差にこだわりが強いなら色校正を出した方がいいような予感。落差がどれくらいあるのかって、オフセットかオンデマンドかはもちろん、紙の種類でも変わると思いますし。普通のコート紙ならもう少し黒強く出るんじゃないかな〜〜。それか最初から黒い紙を使う。もうそれだ。

ベタのせでミランダどれくらい光るのか問題

結論から言うと、リッチブラックの部分は比較的ラメがです。いないわけじゃないんですけど、チラ…………チラ…………くらいの。万華鏡の模様部分はラメが印刷したカラーに寄った感じでチラチラチラチラと元気よく光ります。カワイイネカワイイネ……。このミランダのラメが刷り色でいろんな色に光るのたまんねえよ……。こんなに可愛いのに写真に写らねえ何で……。
特殊紙も正直本業ではあんまり使わないので、つい特殊紙使いがちです。紙代も印刷費も上がってるのでまあ仕方がない。同人誌を作っているのを知られている知り合いに相変わらず「大名遊び」って言われているけど、まあ的を射ている。仕事だったら無理無理の無理。

表2と表3はピンクパープルっぽいカラーをこれまた全ベタでキランキラン

ひさしぶり2段組

直近の本(底の知れない〜、いつかの〜)はB6で1段組にしていたのですが、今回は風神雷神ぶりに2段組に戻しました。文字数多めなのと、かつページ数との兼ね合いです。風神雷神とは、書体はほぼ同じですが、少しだけ本文レイアウトが違います。
ページ数については、今回の本くらいまでのページ数だと毎回発送時に入れているPP袋がジャストフィットでいいんですよね〜。これ以上厚いと横から裂けそうになるから……。淡クリームキンマリだともう少し余裕出るかも。モンテシオンは嵩高紙。
今更だけど、以降二次創作の中身が見えてしまうので苦手な人はご注意ください。

百色眼鏡 本文見開き

ノンブル関係を下にして、段と段の間を若干広げました。風神雷神の時、刷り上がりを見て「少し近いか…?」と思っていたので。段の一列の文字数とかは同じのはず(多分)。全体的に微調整という感じですが、今後2段組にするときは多分もうこのレイアウトで固定かな〜。
これでも家で印刷前で全ページプリントアウトして本のサイズに切ってチェックしてるんですけどね…。やっぱり本で見ると少し違う。なんとなく捨てがたくて過去の本の朱書きやら付箋やらついたあの紙束、いまだに残っています。
短編集なので、左ノンブル横には話のタイトルをいれています。表紙とか紙を色変えするのも楽しそうですよね〜。風神雷神の時は全部ひっくるめて「番外編」としか書いてなかったんですが、あれはなんでだったかな……一話ごとの長さが全部短かったからだったかな……。

表4の闇落ち

闇落ちした表4と表紙の対比

今回は風神雷神でもやった、表紙と対になっている表4です。個人的に表4の闇落ちと呼んでいます。勝手に私が闇落ちさせているだけですが。
表紙は万華鏡を覗き込んでいるような手と、万華鏡のような模様を配置しているのですが、表4では模様を手が握り潰そうとしているような形になっていて、模様もバラバラになっています。何があったというんだ。

「百色眼鏡」
B6/180p(表紙除く)/2段組
●表紙
ミランダ スノーホワイト 170kg
表2・3に特色1C刷り(DIC152 ピンクパープル系)
表紙〜表4に高精細全面箔(黒)
●本文
モンテシオン 56kg/スミ1C刷り

何枚か載せましたが、写真で見るより実物の方が派手でいい感じに仕上がったので出来れば現物を見てほしい気持ちでいっぱいです。

今回も緑陽社さまにめちゃめちゃお世話になりました。表4が模様と箔押しでまた見当合わせが面倒なデータにしてしまいすみませんすみません……!全然ズレてなかったです(喜)。

ちなみに今回、全面箔押しフェアとかいう私向けのフェアを開催していたので利用しました。動き読まれてるんか?

次は1年以上下書きで寝かせてしまっている風神雷神の装丁違いの見比べレポートを今度こそアップするぞ……今度こそ……。

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