数検準1級を受けたことによって得られた価値観
もう2~3年前にもなるだろうか。
ぼくが数学検定準1級に合格したのは。
数検2級を受けて見つけた倒すべき相手
当時、なんとなく数検や漢検を取っておこうと思っていたぼくは古本屋で買った参考書で勉強していた。
まず前段階として、ぼくは数検2級を受けた。
正直言ってこれは楽勝だった。
塾講師として普段から高校生の数学を見ているのでちょっと復習しなおせば簡単に合格することができた。
試験時間も大幅に余り、問題用紙にマイメロちゃんを落書きすることすらできた。(試験監督者に見られた)
得点は覚えていないが1次は満点近かったように思う。
むしろ始めて行く試験会場までの道(車で2~3時間)の方が大変だった。
さて、その数検2級の試験会場でぼくは見た。
ぼくよりも右側の席に座っている10余名を。
何のことかというと、数検準1級および1級受験者である。
これといった思い入れ無く受けた数検2級だが、まだ上には上がいる。少なくとも目に見える範囲に10人いる。
ぼくは思いました。
「あいつら全員倒す!」
謎の闘争心。
もちろん、数学検定に受験資格はなく誰でもども級からでも受験できるので準1級や1級の受験者だからといって2級以前の級に合格しているとは限らない。
だが「ぼくより先に準1級、1級の勉強を始めている。ぼくより先に試験を受けている」というだけで先行者であるように感じた。
数学ボーイではない自分
ここでぼくの数学能力のことを話そう。
「数検受けるなんてよっぽど数学好きなのね」と思われるかもしれないが実はぼくは学生時代は文学部卒のゴリゴリの文系だった。
高校では数学がそんなに得意でも好きでもなくむしろ数学の授業は教師の圧が無駄に強くてストレスだった気がする。時代かもしれないがなんであいつら指示棒だの長い定規だので黒板をバンバン叩くの?
塾講師になってから数学を勉強しなおすこととなった。
なにせたいていの塾生は英語と数学が苦手だ。
英語が苦手な子は勤勉さ、またはアンテナの張り方が足りないと思うのだが数学が苦手な子は単純に思考力や試行錯誤が足りない。
そういった子に数学を教えるとなると数学を思考したくなるような、試行したくなるような、数学の面白さを伝えなくてはならない。
『数学ガール』などの名著を読んだりして数学の面白さをまずぼく自身が味わった。人に面白さを伝えるにはそれからだ。
独学を開始する
さて、先述の通りぼくは学生時代は文系であった。
よって高校の数学はⅡBの範囲までしか学習したことがなかった。
しかしながら理系に進む高校生の授業を担当する可能性も出てきたためぼくの中で数Ⅲ(最近だとCが復活しました)の需要が高まっていた。
そのタイミングでぼくは数検準1級を受けることをぼんやりと決めたのだった。
勉強方法は二つ。
一つはもちろん公式問題集を解くこと。
もう一つは数Ⅲの教科書を買って独学することだ。
問題集について。
準1級および1級はそもそも受ける人がそれほど多くないらしく問題集の種類自体が少ない。書店にも2級までしか置いてないことも多い。
1級に比べたら準1級はまだましだが。
公式の問題集は過去問の解説は載っているが単元別に順序だてて勉強していくには不向きである。
準1級の参考書系の問題集は種類が少ないがとりあえず有名どころの2冊は購入して解いた。
数Ⅲの教科書も買った。
高校の教科書はAmazonなどで買えるが、各都道府県の教科書取扱店などで購入すると安く(定価なのだが、Amazonなどの販路では割高になるようだ)購入できる。
独学で教科書の問題を解くのはなかなか大変だ。
教科書ガイドも併せて購入した。
こちらには教科書の例題の答えが載っている。(高校生さんたちには教師は使わせたくないだろうが、独学したい高校生たちはぜひとも購入してください。こちらは大きな書店ならば売っていることが多い)
また、理解しにくい内容はYouTubeで見られる授業動画などでおぎなった。
教科書の独学は一周ではいまいち足りなかったので二周した。(周回することが偉いわけでもおすすめするわけでもありません。ペースにこだわらずじっくり理解しながら進めればよかったと後悔すらしています)
試験中に降ってきた天啓
数検準1級は結局3回受けることとなった。
一度目は一次も二次も両方落ちたし、二度目は一次は合格したが二次は落ちた。
一次合格(一次試験免除)に特に期限切れなどはないらしいのでじっくりと時間をかけて三度目に二次試験にも合格した。
その三度目の試験の時だがぼくは試験時間中に天啓を得たことをよく覚えている。
積分の問題だ。
二次の問題は4問中2問必須で2問選択となっているのだが、必須問題の中にどうにも解けない問題があった。
問題集で似たような問題を見たことがあったような気がするがその時も意味はあまり理解できないままスルーしてしまってしたところだ。
時間が過ぎていく焦りを抱えたながらぼくは頭と手をフルに動かした。
なかなかうまくいかずあきらめかけたその時急に勉強したことがつながる感覚を得た。
そこからは一種の興奮状態のまま殴り書きのように答案を埋めていった。
完解ではないが、解けた。
結果として2次試験は合格。
4点中2.5点以上で合格なのだがぼくは3.4点取ることができた。
数検の採点は煩わしい作法などを抜きにしてちゃんと意図を組んでくれている気がした。
学校の試験では、やれ「合同条件一字一句合わないと減点」だの「途中式が足りないから減点」だのうるさいのだが、やはり数学専門の組織。
数学が分かる人ならばわかることはちゃんとわかってくれる。
言葉が通じるもの同士の暗黙の約束のような嬉しさを感じた。
まとめ
伝えたかったことはおおきく二つ。
・数学は独学できる。
・全力で頭を使うと天啓が降ることもある。勉強の醍醐味である。
検定を合格して級ホルダーになることも価値があるが、それよりも勉強の価値観や自己効力感を得られたことが何よりの収穫だったと思います。
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