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神激!再録音源を語るVol.1

こんばんはひいろです
色々と解除が進み、止まっていた時計の針が再び回り始めた頃ですが如何お過ごしでしょうか?
針を左回りにしようとも、犯した罪は変えられませんが、新たな姿を得て先に進むことは出来る、そんな事を宣いつつ本日は神使轟く、激情の如く。が世に投下した新録音源達の中から3曲をレビューしていこうと思います

未来をより魅力的に書き換える[瞬間成仏NEXT YOU→]

メンバー達の過去を歌詞に盛り込んだアッパーチューン
随所に和楽器モチーフのシンセが散りばめられており意外と和風ソングな一面もあります

原曲のMVは元SuGの武瑠氏が監督をしたことでも話題になりました

過去を見つめ押しつぶされることなく踏み越えて先に進んでいく、力強いメッセージを発散する歌詞に共感するリスナーも多いことでしょう
そういった魅力は新しいメンバーを呼び込む力にもなりました

去年の7月に加入した二日よいこはこの曲と生牡蠣いもこのMCに背中を押されて神激への加入を決めた、という経緯があります
彼女の加入により楽曲に盛り込まれるラップがよりいっそう本格的に、魅力的に成長したことは明白です
このエピソードによって、楽曲により強固なストーリー性を帯び、未来をさらに変えていける力を秘めている事を示した、と言えるのではないでしょうか

演奏面にも少し目を向けましょう
やはり作者のプレイヤー面を反映してかベースが随所で暴れまわる曲です
イントロ部分や「だっていもこさんが~」部分の容赦ないスラップはわかりやすくその凄まじさを体感出来るでしょう
「馬鹿にされて~」部分の歌心あふれるフレーズも光ものがあります

個人的に好きな部分はやはり三笠エヴァのパート「正直毎日がギリギリだけど~」でしょうか
「これが生きているって感覚」
人それぞれ違ったタイミングで実感する事ですが、私はやはり熱のこもったライブハウスにて感じることが多いです
この感覚を覚えているうちは楽しい人生を実感出来ると思っています

「世界」を転覆させる力を[残響カタストロフィー]

個人的にはこの曲は対バンライブの幕開けにぴったりだと思っています
前音源では影ナレも入っていましたし
疾走感のあるパートとグルーヴィなパートのコントラスト感があり、名刺代わりの一曲として最適でしょう
二日よいこのラップで始まるため、初聴の耳を掴む強さもあると思います

多彩な展開を一曲に盛り込むことも多い神激ですがこの曲は割と素直な構成です
テンポの速さが焦燥感や疾走感を生み、全体的にシリアスなマイナー調で統一感があるのですんなりと耳に馴染みます
シンセの音色もストリングス系とピアノ程度と種類を絞っており、そういった点でもまとまりのある楽曲でしょう

カタストロフィーは演劇用語としてよく使われる語句で、ハッピーエンドと一対をなす言葉であり、物語の筋が逆転する事や運命の決定的な破局を示す言葉ですが、ここでは逆転であったり、より語源に近い「覆す」といった意味で使われていると思います
「世界中ひっくり返そう」や「九死に一生の大逆転」といった言葉や、「今から未来を救う これがメッセージ」とあるように自らの行動によってシーンのメインストリームを、ひいては世界を変えてやろうという強い意志を感じ取ることが出来るでしょう
そして彼女たちの歌い上げた詩が残響することで、それに連なる者たちがあとに続くことを要請しているようにも感じます

個人的に好きな箇所は後半の展開でしょうか
「抱えきれない夢描いて」からのラップパートから、ピアノだけを伴奏に生牡蠣いもこがメランコリーに歌い上げるパートへ、さらに三笠エヴァが重なり焦燥感の増すユニゾン、なだれ込むように終幕まで突っ走っていくラスサビとバラエティーに富むドラマティックで力強い展開が魅力的だと感じています

「誰にも真似できねぇよ」[自己都合主義メタモルフォーゼ]

神使轟く、激情の如く。といばこの曲、といった印象の人も多いのではないでしょうか
雑多な展開を一曲に詰め込み、2ステップを煽りラップをかまし、スクリームする
この曲を聴けば彼女たちが何を武器として戦おうとしているのか、それを理解することが出来るでしょう

瞬間成仏NEXT YOU→や残響カタストロフィーの歌詞もそうでしたが、自己都合主義メタモルフォーゼもまた過去を断ち切り未来を見据えて戦いを挑むような歌詞です
作詞担当である生牡蠣いもこの作家性はこういった点が一端としてあると思います
あくまで自分たち自身の事を歌っていますが、過去のネガティブを踏まえ、それでも先へと進もうとするポジティブな熱量に心を揺さぶられる人は少なくないでしょう

メタモルフォーゼは変身や形質の変化を表す語句ですが、そこに「自己都合主義」と冠する事で自身の望むように形を変えていく、しなやかなしたたかさを感じます
ある種のロック的、パンク的反骨精神を見いだせるでしょう

ライブにおいては神激を強く印象付けする楽曲であり、フロアを巻き込む「神激万歳」コールやフリースタイルゾーン、タオルを回すパートなど実に映えますが、曲単体の強度としても十分過ぎるほどの魅力を持っています
ピコリーモを下敷きに所謂ミクスチャーロックやヘヴィミュージックの系譜をなぞる演奏にキャッチーでメロディアスな旋律と作曲者のバックグラウンドを少し感じるところでもあり、私個人がこの楽曲に惹かれ、グループにも興味を持った切っ掛けでもありました
このメロディーの付け方の「らしさ」が日本由来の特徴であり海外にはない、「オリエンタル」で「エキゾチック」な魅力でもありますが、どうにも言語化しにくい点が歯痒いところではあります
言ってしまえばヴィジュアル系的、アニソン的メロディーであり、この手のジャンルが演奏面で言えば海外産ミュージックの影響下にあろうとも、一種独特な特徴をもつ所以でもあると思います

話がそれましたが個人的に好きな箇所を
Aメロがシンセとキック、クラップだけで始まり、途中で生ドラムがインして弦楽器が入ってくる、という編曲がお約束ではありますがツボを抑えたいい仕事だと思います
それと「ウルセエあとは~」からの生牡蠣いもこのパートが歌唱、メロディーともにハイレベルでこの後に続く実久里ことのパートと並んで楽器のハイライトであるなと思っています

おわりに

さて、現メンバーで再録された音源のうち、最初に公開された3曲をレビューしてみました
個々人がレベルアップし、サウンドもよりゴージャスにリアルなものへとグレードアップしたものが投下されたのではないかと思います

旧音源が現在聴けなくなっているため、それとの比較は出来ていませんが、いずれCDを入手して聞き比べも行う予定でいます

それでは次回、
宣戦布告
発狂的発散案件=惰性
新世界エクソダス
の3曲レビューでお会いしましょう
おやすみなさい

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