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魅せる広告とは、広告に露出した消費者の心理

こんにちは。ひいろです。
どうぶつの森が流行っててすごく気になります、

が、シムシティ派です。

今回は、東洋大学の竹内氏の論文

消費者の制御焦点と広告回避

という論文を読んだので書いていきます。

はじめに

ネット上や電車、タクシーなど
私たちは無数の広告に囲まれています。

このように広告に触れる消費者のことを
広告に露出した消費者
と表現したりします。

しかし、その中でちゃんと読んだり聞いたりした広告って
どれくらいあるでしょうか?

雑誌広告・新聞広告は約40%
インターネット、テレビ、ラジオ広告は約75%

私たちが広告を無視している割合です。
また、この行動を広告回避といいます。

広告に露出した(広告をみた)消費者がとる行動として
一般的に3つあげられています。

完全広告視聴:全部みる
不完全広告回避:途中までみてやめる
完全広告回避:無視

今回の論文は、この3つの行動の心理について
制御焦点理論をつかってアプローチしています。

制御焦点理論

話の理解を深めるために
制御焦点理論について説明します。

制御焦点理論は快感原則の仮定をベースに
2つの仮定を加えることから成立
しています。

快感原則の仮定
人間が望ましい最終状態に接近したり
望ましくない最終状態を回避したりするように
動機付けられている

つまり、人は
理想とする結果に向かって接近する行動をとり
逆に、そうなってほしくないことに対して回避するような行動をとる

ということです。

追加された2つの仮定
1.望ましい最終状態にも望ましくない最終状態にも
それぞれ複数の異なった状態があること
2.最終状態に接近・回避する際に
質的に異なる種類の方略を用いること

1.望ましい最終状態にも望ましくない最終状態にも
それぞれ複数の異なった状態があること

具体的には、

ポジティブな結果とネガティブな結果が存在する時、
ポジティブな結果には

ポジティブな結果が得られた状態と
ネガティブな結果が得られなかった状態の2つが混在しており

これらは接近の基準になります。

ネガティブな結果には

ネガティブな結果が得られた状態と
ポジティブな結果が得られなかった状態の2つ混在しており

これらは回避の基準になります。

このような接近・回避の基準となる結果や状況を
制御参照といい
促進焦点予防焦点の2種類に大別されます。

論文では、この2つをベースに
5つの仮説を立てています。

促進焦点と仮説

成長・前進・達成に関した制御参照であり
個人要因
状況要因の双方によって引き起こされます。

個人要因:周囲への承認欲求や高い理想
状況要因:利益の有無に関する情報
これらが促進焦点を引き起こします。

また、促進焦点を有している人間は
ポジティブな結果の有無に対して高い感受性を有しいるため

ポジティブな結果が得られる状況に接近したり
ポジティブな結果が得られない状況を回避したりします。

つまり、利益志向で前向きな状況であるか否かが接近の判断基準になります。

また、広告に露出した際
ポジティブな結果に関する情報を取得ができるか否かについて判断するため

一旦は広告情報の一部を取得する
完全広告視聴・不完全広告回避を選択すると考えられます。

その後、
ポジティブな結果に関する情報からなる広告に対しては
完全広告視聴

一方で、ネガティブな結果に関する情報からなる広告に対しては
不完全広告回避を選択すると考えられます。

これより、以下の仮説を立てることができます。

促進焦点(利益志向)を有している消費者は
1a.広告情報がポジティブな結果に関する情報であるならば
完全広告視聴を選択する。
1b.広告情報がネガティブな結果に関する情報であるならば
不完全広告回避を選択する。

予防焦点と仮説

安全・責任・保護に関係した制御焦点であり
同様に個人要因と状況要因からなります。

個人要因:危険を避けて安全を確保したい
状況要因:損失の有無に関する情報
これらが予防焦点を引き起こします。

予防焦点を有している人間は
ネガティブな結果の有無に関して高い感受性を有しているため

ネガティブな結果が得られない状況に接近したり
ネガティブな結果が得られる状況を回避したりします。

よって、リスクの有無が接近の判断基準になります。

また、促進焦点と違い
広告に露出した際の制御参照の対象が2つ存在します。

ネガティブな結果に関する広告情報の有無
努力の有無

ネガティブな結果に関する広告情報の有無を制御参照とみなす場合
ネガティブな結果に関する情報を取得ができるか否かについて判断
するため

一旦は広告情報の一部を取得する
完全広告視聴・不完全広告回避を選択すると考えられます。

その後、ポジティブな結果に関する情報からなる広告に対しては
不完全広告回避

一方で、ネガティブな結果に関する情報からなる広告に対しては
完全広告視聴を選択すると考えられます。

これより、以下の仮説を立てることができます。

予防焦点(リスク重視)を有している消費者は
ネガティブに関する広告情報の有無を制御参照とみなす場合には
2a.広告情報がポジティブな結果に関する情報であるならば
不完全広告回避を選択する。
2b.広告情報がネガティブな結果に関する情報であるならば
完全広告視聴を選択する。

努力の有無を制御参照とみなす場合
広告情報の取得に必要な努力量を最小化しようとします。

ネガティブな結果が得られない状態は
確認するコスト(認知コスト)がかからないため
広告情報の取得に必要な努力量がゼロ
であることを意味しています。

一方で、ネガティブな結果が得られる状況は
情報取得の必要性か生じるため
努力量が発生します。

広告に露出した際は
必要努力量がゼロである完全広告回避を選択すると考えられます。

これより、以下の仮説を立てることができます。

2c.予防焦点を有している消費者は
努力の有無を制御参照とみなす場合には
完全広告回避を選択する。

仮説のまとめと実験

5つの仮説をまとめました。
また、この仮説を基に実験室実験を行いました。

促進焦点(利益志向)を有している消費者は
1a.広告情報がポジティブな結果に関する情報であるならば
完全広告視聴を選択する。
1b.広告情報がネガティブな結果に関する情報であるならば
不完全広告回避を選択する。

予防焦点(リスク重視)を有している消費者は
ネガティブに関する広告情報の有無を制御参照とみなす場合には
2a.広告情報がポジティブな結果に関する情報であるならば
不完全広告回避を選択する。
2b.広告情報がネガティブな結果に関する情報であるならば
完全広告視聴を選択する。

2c.予防焦点を有している消費者は
努力の有無を制御参照とみなす場合には
完全広告回避を選択する。

結果・考察

結果として、全ての仮説が支持されました。

制御焦点理論

そして特に2点注目することがあります。

仮説1b・2aについて
促進焦点を有している場合と、予防焦点を有している場合の間で
不完全広告回避を選択する強さは同水準であること
仮説2cについて
彼らが完全広告回避を選択する傾向は非常に強いこと

最後に

個人の嗜好が多様化してゆくなかで、
垂れ流しの広告よりも限定的で狙いを定めた広告が重要になってくると考えられます。

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