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生活保護世帯に夢や希望は贅沢品?

今まで黙っていましたが、私は生活保護受給者です。受給が認められたのは持病の鬱が当時相当ひどかったため。今は回復傾向にあり、仕事をしながら作業療法士を目指して医療系の専門学校に通うことと、障害年金で足りない部分を補い、徐々に体調と制限の多い生活保護の日々を改善していこうと思っています、いや思っていました。

しかしひとつ問題がありました。それは生活保護制度に組み込まれている「収入申告」。これは働いて得た給料だけではなく、他者からの援助や年金や給付金なども全て。お金や贅沢品が入ればケースワーカーに申告しなければなりません。そして申告した金額によって次月の支給額が変わります。そう、働いた分だけ、頑張ろうと決めて行動した分だけ、社会と繋がろうとした分だけ支給額は減ります(若干の控除はありますが)。生活保護のイメージ、「健康なくせに働かず俺らの税金で酒やタバコやパチンコで遊んでる」みたいなのがあるでしょう。こちら受給者からすれば、下手に稼いでも給料没収されて働く意味がないから朝から酒でも飲んでた方がマシなんです。経済もちょびっと回せるし。生保をやめて働け?確かにそうですよね、それは私が一番そう思っています。でも生活保護って簡単に抜けられないんです、怠惰とかそういう事情ではなく制度的に敗者復活が難しいと最近わかりました。「働ける人は一生懸命働いてください」ってどの口が言うのか。

さて私は前述のとおり今の体調では介護の仕事がきつくなってきたのもあり、保険としてまた幅広い働き方を開拓するために作業療法士を目指しています。正直仕事よりも勉強の方が精神的負担は少ないですし、今後の労働への努力なら生保でも認めてくれると思い、ハローワークで専門実践教育訓練給付金の申請と手続きもして審査に受かりました。審査の前に面談があるのですが、担当してくれたキャリアコンサルタントの方にも「もともと介護福祉士も持ってるし、作業療法士もあれば働き方の幅が広がる。立派な仕事だから頑張ってほしい」と激励され、勉強や将来の仕事に対するモチベーションが上がったその日は晴れ晴れした気持ちでした。

それで入学金や前期の授業料にテキスト代あわせて85万円ほど入金し、つい先ほど入学許可証が届きました。生活保護でそのお金どこから出たの……?と思われるでしょう、そう障害年金の支給が決まったんです。等級は厚生年金の3級ですが、それでも隔月で10万円近く入ります。さらに発症時の遡及分、約5年分の年金が入ったんです。なのでめでたく入学金が払えたというわけです。

とはいえ年金も申告対象、隠していても年金は口座振り込みなので年に一度の審査でどのみちバレます。というわけで区役所に年金の申告をしに行きました。担当のケースワーカーが外出中だったため他の職員に申告と相談に行ったところ、遡及分の年金約180万円を、これまで支給されていた保護費として返還しなければならないと言われました。5年前からのお金があったのに生活保護を受給していた「不正受給」みたいな扱いなんでしょうね。でももうお金払った後だし、以前から収入が入るたびにすぐ申告していたのもあり、過去の年金まで返還義務があるのを知りませんでした。でもこれ、めちゃくちゃ問題じゃないですか?だってそもそも180万も引かれたら少なくとも5年は保護費0円ってことになるし、暮らすにもお金全て没収されているから無理。じゃあ働くしかないって状態なら生活保護の存在意義なんかないです。

しかしもう入学は確定した、絶対に頑張るぞというわけでサイゼで一人入学前祝いをしていたところに担当のケースワーカーから電話が入りました。内容は以下(全てケースワーカーの発言)。

「年金には手を付けてないですよね?え、もう使ったんですか?」
「今学校のホームページ見てますけど、これって普通の専門学校ですよね?お金はどうするつもりなんですか?」
「奨学金ですか、生活保護を受けてる以上、そういうのは認められないんですよ。だって学校行く時間働けばいいですよね?」
「あと専門実践教育訓練給付金?それも収入扱いになりますから」
「あのー、これって今から入学辞退できますよね?」
「とにかく生活保護って進学のためのお金じゃないですから入学辞退してください」
「とりあえず月曜、学校のパンフレット持って区役所に来てください」

こんな感じで入学辞退を迫られました。学校入っても生活できない、学校入らなくても5年分のお金を没収されて生活できない。どのみち生活できないなら、保護をやめて自分の未来に繋がる勉強をしていたいです。だから最後まで粘って入学の権利をもぎ取りたいと思っています。もちろん仮に保護をやめたとしても、遡及分の負債は残るはずです。でもやっぱり気持ちとしては学びたい。本当に最後の最後まで戦う気持ちです。

でも本当は夢や未来を絶たれる不安でいっぱいです。ケースワーカーから入学辞退を迫られた電話のあと、近くのスーパーでストゼロを買ってトイレに持ち込み、やけくそのように煽りながら1時間泣きました。便所飯ならぬ便所酒。いやほんと40代でこんなことをするとは思ってなかったです。

今さらながら生活保護、本当にひどいシステムだなと思いました。同時にそれを選んでしまった過去の自分を呪いました。働くように言っておきながら収入は取られるわ職業訓練はできないわで月10万程度の支給額。これでは「金やるから何もするな、お前らなんかこのくらいでいいだろ」と言われているようなものです。どうやら行政にとって、生活保護受給者が夢や希望や目標を持つのは贅沢なようです。

だったらもう酒飲むしかやることないですね、それもダメならやっぱり死ぬしかないみたいです。とりあえずはお望みどおりの結果にならないよう頑張ってきます。



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