匿名短文カツラバレ企画 2行感想集

はじめに

カクヨムにて開催されている「匿名短文カツラバレ企画(南雲 皋様主催)」について、参加27作のひとこと感想をまとめました。

会場へは以下からどうぞ。

文量は1作品あたり、基本的に2行です(1箇所だけ、本筋に関係ない瑣末事がくっついて3行になっている所があります)。

27作それぞれに楽しませていただきました。
ただ、感想を書くにあたって「うーん、ここがどうしても惜しい……」と感じたケースについて、一部辛口になっている箇所があります。申し訳ございません。
全作について楽しく読ませていただきました、とは、重ねてお伝えしておきます。

以下、感想です。

2行感想

01:カミングアウト

カツラバレ企画ということでギャグ・コメディが圧倒的多数かと予想してましたが、初手からそんなことはなかった!
ほんのり心が温まるカツラバレでした。彼女に幸あれと願わずにいられません。

02:カツラのおうさま

二連続でハートウォーミング系カツラバレ! 王様素晴らしいです。
タイトルから想像される展開を、入れつつも華麗にさらりと流しているのもポイント高いです。

03:カツラもバレたし、女装もバレた

桂川さん、ヒカリさんとヒカルさんは別人として認識していたんですね。そこまでパーフェクトな女装ってすごい。
昔コミケに行っていた頃、ものすごく完成度の高い女装コスプレイヤーさんは何度か見たことがあるので、あんな感じなんでしょうかねえ。

04:事実は小説より”輝”なり

中の下クラス(と想像しました)のアイドルが纏う、どこか鬱屈した情感の描かれ方がいいなあ、と。
ラストシーンのあと、どうなったかが気になりますね!

05:カイロマスター佐藤君

小六男子たちのむやみな熱気と、アホさ加減(全力で褒めてます)とがこれでもかと伝わってきて大変楽しかったです!
若さというか幼さゆえのフィーバー、こういうの好きですわー。

06:銀のとばりは夜を隠す

ここで初登場のファンタジー!
終盤の怒濤のあれこれが本当に怒濤でした。ここに肉付けしていけば、波乱の長編ができあがりそうなポテンシャルを感じます。

07:FAKE ANGEL

しっとりラブラブ!
この短さの中でひねりもしっかり入ってるのがポイント高いです。二人とも末永く爆発しろ!

08:とりあえず

この後の状況がどうなったのか、がとても気になります。
ただでさえ心労が重なっているさつきさん、この事態を経てどうなってしまうんでしょう……。

09:絶対にバレないカツラ殺人事件 解決編

シリアスな雰囲気の中で、コメディ的ツッコミを交えつつ進んでいくカツラバレ。いいですねえ。個人的にこういうの期待してました!
そして、知らないことがいいこととはいったい何なのか。気になります。

10:神なる森の祝福

ファンタジー2作目ですが、こちらはザ・ハイファンタジーな感じですね。
最後の一文で不意打ち食らいました。終盤に重ねておいて、そこでまだくるか。

11:虹の乙女の祭日に

ハイファンタジーが続きますね! 異国情緒溢れる風習のお話、普段から好きです。
ほっこり幸せになれるカツラのお話でした。高貴な御方の高貴な振る舞い、いいですねえ。

12:え、みんな序盤ではげとるやん

カツラバレシチュエーションから入るのは定番ですな……と思わせといて、状況が全然定番ではなかった。
なんですかこの校長先生(笑)校長先生がパワフルすぎる!

13:まあ、こんな日々も悪くにゃい

そういえば本企画、カツラは人間用に限るという規定はなかったですね! 発想に脱毛、いや脱帽です。
並び語られる二組のカップルに幸あれ。

14:羽毛田藩秘話

まさかの歴史小説風!
カツラが繋ぐ絆の物語、時代の風格を感じさせる文章に彩られて実に味わい深いです。

15:広げた腕に飛び込んで

ファンタジー意外と多いですね!?
カツラバレに「カッコいい」属性を付与するのはなかなか珍しい気がします。コミカルさのない、バチクソにカッコいいカツラバレ、いいものですね!

16:カツラがバレただけなのに [性描写あり]

カツラバレがオチではなく、カツラバレがスタート。
カツラに対する登場人物感の温度差が、いい感じにコミカルさと艶っぽさを醸し出していていいですねー。

17:本当の貴方は髪のみぞ知る

殺人事件もの2作目……と思っていたらまさかの!
殺人事件が絡む2作、奇しくも「どこで読み手を楽しませるか」が対照的だったように思います。本作では、まんまと作者さんの術中にはまりました(全部持っていかれたの意)

18:偽聖女のフリをしていましたが、これは地毛の色です!

うーん、すごく惜しい……ストーリーの作りとしては手堅いと思うのですが、タイトルと照らし合わせると先の展開が読めてしまうのですよね。
タイトルでオチをバラしてしまうのは、とてももったいないと感じました。

19:かっこいいパパと娘

お互いがお互いの良き家族であろうとしている姿が伝わってきて、いいですねえ。
最後の一文も効いています。

20:行旅死亡人情報データベース

方言混じりの風情ある文章で綴られる情感。いい雰囲気だなあ……と思っていたらまさかの!
いや、一本取られました。

21:たったひとつの冴えた髪型

本作と#20とが並んでいることに、運命のいたずらを感じざるを得ません……。
SF&しっとりした情感が素敵ですが、企画テーマに対してカツラの存在感がやや弱いようにも感じました。

22:駅のおじさん

途中の不穏感の演出がうまいですね。
最終的に謎を残す、その謎の加減がちょうどよかったと思います。

23:宮脇 豊にとって一番大切な……

自分を見つめ直す物語として、綺麗にまとまっていたように思います。
ただ、企画テーマとタイトルとを考え合わせると、宇宙人の意図が読めてしまってちょっともったいなかったです……。

24:一髪千鈞☆カツラーマン

光量値を具体的な事例で説明してくれる箇所が、なぜだか面白かったです(笑)
ヒーローものは安定した面白さがありますね! そしてラスト、そういえば意外とここまでにこのオチはなかった気がします……彼に幸あれと願わずにはいられません。

25:愛しのあなたの髪の下

重々しい序盤の後、言い間違いの瞬間にすこーんと変わる空気感が面白かったです。
そして、そのまま終わるかと思っていた瞬間に重なってくるさらなる展開! そう来ましたか……面白かったです。
瑣末事ですが「ハーゲンダッツ領にミルクと氷を納める」の箇所でアイスが食べたくなりました(笑)

26:きみはかわいい

人の好みは人それぞれ。細かい仕草から秘密を読み取る彼女の台詞に、カツラ解像度の高さを感じました。
彼女の男前っぷりが光りました。よくよく考えてみると、特に男性的な行動等はとっていないはずなんですけども。

27:子爵令嬢のカツラをうっかり暴いてしまった俺が、彼女を幸せにする話

ラストは心温まる異世界恋愛でした。互いに気遣う主人公とヒロインのありようが愛おしいです。
最後の冗談めかした愛の言葉が、企画趣旨ともマッチしていてよかったです。

おわりに

2行感想は以上です。
感想に一部辛口も混じってしまい、あらためて申し訳ありませんでした……27のカツラバレ、楽しませていただきました。

楽しい企画を立ち上げてくださった主催者様、および参加者の皆様、ありがとうございました!!


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