人に言えないこと

僕には人に言えないことがある。

友達、恋人、家族でさえも言えない。

薄暗い箱の照らされた丸にポツンと置かれているもの。

これは一体なんなのか?

これには感情があるのか?

これから先どう変形するだろうか?

そんな風に考えを巡らせる。

詰まった瓶の中で毎日転がって、次の日もまた次の日も。

たたき割って取り出してみようとしても、そいつは割れやしない。

蓋を開けて抜け出そうとしても、砂時計のように瓶と瓶がつながっている。

こいつはここから抜け出せるだろうか?

そんな風に思い描く。

砂が落ちて、また落ちていくように。

ある時ふと気づいた。

この砂の中には光る粒がある。

それがほんの少し嬉しかったりする。

綺麗な粒だなとは思うけど、これも結局は同じだろう。

そんな思考に時間を使う。

過ぎる、過ぎる。

真っ暗な箱の冷たい底でコツンと落ちているもの。

どうせ覚えてなんかいやしない。

これも、あれも、それも。

不思議なものだ。



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