【RIZIN.40超絶簡単解説】2022年格闘技の旅 これこそが終わりの始まり
*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。
➀はじめに
この記事は「RIZIN.40」(12月31日13:30開始予定)のRIZINvsBellator対抗戦のカードを簡単に解説していこうという記事です。
年末の日本を彩る最高にアツいカードばかりとなっていますので盛り上がっていきましょう!
②YUSHIvs中澤達也
榊原さんが大晦日らしいカードを入れるといってた時点でおそらく出るんだろうなと思っていたため筆者は特に驚きはなかったのですが、Twitterではある意味想像通りの阿鼻叫喚劇が起きていました。この時点でYUSHI選手は話題作りという意味である意味勝ったようなもんですね。
YUSHI選手は去年の大みそかから参戦してきた元ホストという異例の経歴のファイターです。そのいでたちやド派手な入場で会場の空気に火をつけることが出来る選手でその活躍っぷりからあの有名ラーメン店である「天下一品」のイメージモデルに就任しました。
中澤達也選手は暴走族や地下格闘技、DEEP 八王子超人祭りなどを経て現在は格闘技団体「益荒男」の代表を務めている選手です。
まぁこの項目の熱量から察せられますが正直あんまり興味ないんですよねこのカード。スーパーにあるブロックの形の牛脂くらい興味ないです。
それでも両選手の入場を観たらテンション爆上がりする事は間違いなしでしょうね。YUSHI選手のおなじみのブンツカや中沢選手も自身のファミリーを集合させて入場するそうなので、マジでこのカードに興味ない人は入場の前にトイレに行って時間をつぶしておくかケータイいじるのが吉だと思います。入場のタイミングになると入場をケータイで撮ってSNSでUPして自分のささやかな自己顕示欲や自己肯定感を満たしたい輩がわらわらと出てくるので注意したほうが良いと思います。
③”ブラックパンサー”ベイノアvs宇佐美正パトリック
多分宇佐美選手はRIZINデビュー戦である前戦を快勝したことで念願の矢地選手との対戦に気合入れていたと思いますが、まさかのヤッチ君側が前戦の塩試合のせいで巌流島に島流しされるとは思いもよりませんでした。
”ブラックパンサー”ベイノア選手は極真空手で鍛えた一発の鋭さとフィジカルの強さが特徴でキックボクシングでは第2代RISEウェルター級王者になった選手です。
ですが最近は不振続きでキックボクシングでは海人選手、和島大海選手と言った国内トップ層に連敗しMMAでは最後の試合が武田光司選手に敗れた試合であるためこれが復帰戦です。また本業のお笑いでは4年連続M-11回戦敗退と、実はどの場面でも非常に崖っぷちな状況と言えます。
宇佐美正パトリック選手は空手、ボクシングと立ち技格闘技で圧倒的な成績を作ってからAMEBAの番組である「格闘ドリーマーズ」を経てMMAに転向した若干22歳の選手です。RIZINデビュー戦となった前戦ではキャリアでは圧倒的格上の佐々木信治選手の組み技に苦戦する場面を見せるもきっちりKOで倒して最高のスタートを切りました。
現在の勢いを考えると宇佐美選手有利なのは否めないですね。
試合展開は前に出てプレッシャーをかける宇佐美選手とそれを受けながらサークリング(相手選手の周囲を円を描くように回ること。)と蹴りで試合を創ろうとするベイノア選手という構図になりそうですが、宇佐美選手が自身の強みであるフィジカルと前に出て相手を殴るといった気持ちの強さでガンガン攻める感じになりそうです。ベイノア選手がその前進をどうやって止めるかですがおそらくインローやカーフといった下段の蹴りをサークリングしながらコツコツ当てていき相手が消耗して雑になった瞬間にフックやハイキックで仕留めるプランだと思います。
だからこそ注目したいのはベイノア選手の前蹴りやハイキックといったサークリングからのインローやカーフといった外側からの攻撃に組み合わせて出す直線的な軌道の攻撃です。ベイノア選手はバックボーンが極真空手であるため多彩な蹴り技が得意であり、過去にはボディーブローで意識を散らしてのハイキックでKOなどコンビネーションも上手です。ですのでサークリングでダメージを与えつつ相手の前進を止めたり意識を散らすための直線的軌道の蹴りでどこまで宇佐美選手の動きを制限して自身のテンポで試合をできるかがカギでしょう。
個人的にはベイノア選手のMMAセンスの高さには非常に注目しており、ベイノア選手は早くMMAに本格的に転向してフェザー級あたりで活躍してほしい気持ちがあるのですが今回はちょっと相手が悪すぎますね。
宇佐美選手は自身よりフィジカルや打撃能力が高くプレッシャーをガンガンかけていくためベイノア選手が多分最も苦手なタイプの選手でしょうが、ここを超えてMMAに専念してくれると一MMAオタクとしては嬉しいのですが勝っても負けてもMMA、キックボクシング、お笑いの三足の草鞋を履き続けそうな予感がしています。
④中原由喜vs鈴木千裕
実績的には差がある両者ですがそれでもこの試合を組んだ経緯はおそらく鈴木選手は前の大会のスクランブル出場してくれたことに対してのお礼として格上との対戦、中原選手は自身初となる大晦日参戦をどうしても今の知名度が高まっている状態で行いたいという思惑が上手い事重なったからかなと思います。
鈴木千尋選手は今年RIZIN4戦目で今年3連勝と非常に勢いに乗っています。キックボクシングで鍛えた打撃の破壊力に常にフィニッシュを狙い続けて前にガンガン出るスタイルで現在4連勝と非常に勢いに乗っています。
ただ現在は例のアレや某オオカミ君にかみつかれたりと受難の日々が続いていますがここをキャリア最大の相手を喰って一気にトップ戦線に駆け上がりたいはずですのでやる気は十分でしょう。
中原由喜選手は現在RIZIN参戦後も無敗の2連勝、キャリアでも30歳と脂の乗った時期に4連勝とこちらも勢い十分な選手です。またOne Chanpionshipに参戦していた時も4戦3勝1敗でその1敗もタイトル挑戦経験のあるゲイリー・トノン選手と戦ってきたレベルの高さがうかがえます。
RIZINフェザー級でもトップクラスのボクシング技術の高さに安定したテイクダウンディフェンス、バックボーンの柔道で鍛えたフィジカルの強さと実績、実力ともにRIZINフェザー級上位の選手です。
試合のカギは鈴木選手のプランです。
鈴木選手の持ち味と言えば一撃で相手のKNOCK OUT出来るフックをぶんぶん振りながら前に出るスタイルですが平本蓮戦で腕が負傷した際に戦術を試合中に変えるクレバーさも持ち合わせていますが個人的にはそのクレバーさが今回は邪魔邪魔じゃないかなぁと思っています。
実績、実力的に中原選手の方が圧倒的に格上の構図なので鈴木選手は絶対にここを喰いたいし中原選手は落としたくはないはずです。
ただそれでビビって変にプランを立てて硬い試合をしたところで多分差が明確に出てしまう判定で決着すると思うので、本人としてはこれからMMAの世界で駆け上がっていくために理性的なMMAで勝負したいでしょうが、個人的にはクレイジーになった鈴木千尋のダイヤモンドのような拳ですべてを砕くストーリーと思います。
まぁただそうでもしない限り中原選手の角度のあるボクシングとタックルのフェイントを前に出る瞬間に合わせられて縮こまって終わりそうですけどね。
追加カードの中でも埋もれてはいますが個人的には若手が強者の壁を越えられるのか、それとも強者の試し切り役になるのかと割とストーリーラインがわかりやすいカードかなとは思います。
ただそろそろ中原選手と勝負論ある選手とのカードが観たいですね。丁度金原選手が大晦日当日に芸人さん相手に柔術のエキシビションマッチをするそうなので、それがケガなく終われば試合後のマイクで中原選手がそこらへん絡めてしゃべったら面白いなぁとは思います。多分やらないでしょうけど。
⑤ジョニー・ケースvs太尊信光
無くなりはしましたがジョニー・ケースvsルイス・グスタボは今年のRIZIN大晦日裏メイン枠だと思っていました。さかのぼれば2019年のライト級GPからのストーリーですので良い重厚性を持っていたのですが残念です。
ジョニー・ケース選手はもうおなじみの外国人選手ですね。元UFCの強豪選手で2019年にRIZINとの契約が切れた際にはアメリカでのトップ団体であるPFLからオファーがあったほどの強豪選手です。しかしRIZIN参戦後は6戦3勝3敗で現在3連敗と思うような結果が出ていなくここで1度白星を取って巻き返しを図りたいはずです。
太尊信光選手は元修斗環太平洋ウェルター級王者でRIZINにも参戦経験がある佐々木信治選手や宇佐美正パトリック選手に勝っているなどパフォーマンスで注目されがちですがしっかりとした実績と実力がある選手です。
試合としてはフィジカルと近距離のフックで1発を狙いたい選手をケース選手がジャブで止めつつ右のカウンターストレートを狙いたい感じだと思います。
ただお互いの強いポイントが被っていてどれをとってもケース選手有利という状況を考えるとケース選手勝利という予想が揺るがないですかねぇ。ただ急遽ジョニー・ケースというガチの強豪相手にスクランブルを覚悟決めて受けた太尊選手はそれだけで相当な価値がある問うことは揺るぎのない事実ですんでRIZINは次の試合の契約を早々に結んであげるのが人情だと思います。
急遽決まったカードにしては締まりがありますが、なまじ決まってたカードの期待値が高かったからこそあまり注目は集まっていない気がします。
個人的にもケースvsグスタボが飛んだことでRIZIN.40に対しての期待値が50点くらいマイナスになりました。ただYUSHI参戦で-185点、アンダーカード豪華すぎ3万点、RIZINvsBellator対抗戦ガチすぎてやばすぎ100万点と期待値は100点満点中102万9765点ですのでほぼ無問題です。
⑥元谷友貴vsホジェリオ・ボントリン
このカードが様々なカードの中に埋もれてるってのはヤバいですね。このカードでも埋もれてしまうほどのカードが多いという意味の良い意味ですけどね。
元谷友貴選手は去年の大みそかから4連勝でここまで来ました。
対戦カードとしては若手の壁となるようなカードが多かったですがどの試合もきっちりと地力の差を見せつけての完勝で強さを見せています。
代名詞と言える独創的なグラップリングに近年は手数と首相撲の強さを前面に出すスタイルで勝ち星が安定してきたイメージです。
ホジェリオ・ボントリン選手は元UFCフライ級ランキング最高7位でついこの前までUFCに参戦していたガチの強豪選手です。
軽量級離れした強靭なフィジカルにキャリア16勝の内11の一本勝ちでその半分以上がバックチョークという非常にバックからの展開が強いグラップラーです。また打撃でもスイッチして奥の手や足からのパワフルな攻撃も出来るので攻守穴が無いまさに世界標準なファイターです。
UFC時代はフライ級でしたが過去には体重超過があったことやRIZINで盛り上がっているバンタム級に強力な外国人選手を入れたいというRIZINの考えで今回バンタム級で参戦したのだと思います。
また過去には元RIZIN[バンタム級王者で現在UFCフライ級で活躍しているマネル・ケイプ選手と対戦が予定されていました。その試合は実現しませんでしたがRIZIN元王者が組まれるようなレベルの対選手と言うことは間接的に世界と日本のバンタム級の実力の差が如実に出るという意味でも非常に面白いマッチメイクです。
勝負のカギはシンプルにどっちの四つ組みが強いのかですね。
そもそも四つ組みって何ぞや!って方は宣伝になりますが筆者が書いたMMAの組み技についての記事を読んでくれると嬉しいですが、簡単に説明すると四つ組みとは主に相手の脇に腕を差す攻防を指します。基本的にはその際に相手の脇に自身の腕を差せている方が有利です。
そして両選手とも非常にこの攻防が強いです。
元谷選手の得意技である首相撲はこの脇の差し合いの攻防から相手の頭や腹に膝やパンチを撃つ技術でこの攻防で組み際を制すことで自身のテンポを作り試合を動かします。ボントリン選手もフックでの飛び込みから脇を奪ってするりとバックにつくこの四つ組み→バックの展開が非常に強いせんしゅなのであの元谷選手から一本を獲る可能性も十分あり得ます。
だからこそその前の打撃の攻防がその後の攻防で自身が戦いやすいテンポを作るために非常に重要なファクターと言えます。どちらもガンガン前に出る出るファイターでリーチは元谷選手有利、フィジカルはボントリン選手有利とどちらにも傾く要素がありさらにどちらかがこの攻防で有利となる明確な武器が両選手ともスタンドでは無いため、非常に動きがあるスイングする試合になりそうな予感がプンプンします。
個人的な今大会最注目カードの1つです。
ここで元谷選手がボントリン選手を喰うとなると今までのRIZINでの負けを帳消しにできるほどのインパクトがあります。ただとりあえずここを勝ても負けてもボントリン選手は是非とも定期参戦してほしいですね。バンタム級GPで焼け野原になった国内バンタム級事情に新しい花が咲きそうです。
⑦平本蓮vsX
これに関しての印象は相手が何であれルールがどうであれそのケガの状態で出ることを決意することがすげぇです。
平本蓮選手はそのトラッシュトークを始めとした派手な言動と戦績的についてこないMMAでの実力というギャップで注目されていましたが、前戦では元DEEPフェザー級王者弥益”ドミネーター”聡志選手相手に文句の付け所が無い完勝をして一躍RIZINフェザー級の実力的な表舞台にも飛び出てきました。
しかし前戦からの足のケガで大晦日出場は考えてもなかったのですがスタンディングバウトルールというほぼボクシングの試合というエキシビションでも出場させる榊原さんは恐ろしいですね。
相手のXについては当日発表でいろんなところで噂が流れているのですが個人的にはHIROYA、梅野源治あたりが丸いのかなぁと思っています。
大穴枠で那須川天心、皇治と予想しますがマジで来たら驚きですね。有馬記念をかけていなかった人もTwitterあたりに予想を出してもいてもいかがでしょうか。
⑧所英男vsジョン・ドットソン
ビックネーム中のビックネームがRIZINに来ることになって会見から驚きっぱなしです。サッカーでいうとイニエスタがヴィッセル神戸に来たような感じです。
所英男選手はRIZINから格闘技を見始めた人もご存じですよね。ひょうひょうとした人相にすぐ泣いてしまうキャラクターなど愛されキャラとして多くのファン、選手からの支持を得ています。ただひとたび試合となるとどんな状況でも極めを狙うスタイルで動き続けてお客さんを熱狂させます。
前戦では久しぶりのフライ級でさらに相手は国内フライ級最強格の神龍誠選手と圧倒的不利や予想のマッチメイクでしたが、いざ蓋を開けてみるとその神龍選手相手に一歩も引かず試合を常に動かし続けていたと負けはしたものの評価のあがる試合をしました。
ジョン・ドットソン選手は元UFCフライ級の選手でそのランキング最高順位は1位です。フライ級離れしたフィジカルの強さにケージを所狭しと動き回るスピードとスタミナ、そして離れた間合いから一気に距離を詰められるバネの強さが特徴です。
過去にはフライ級史上最強選手と言われているデメトリアス・ジョンソン選手と2度対戦し元UFCバンタム級王者TJ・ディラショー選手に勝利していたりと実績だけなら堀口選手をも上回る選手です。
相性としては所選手ガン不利ですね。
ドットソン選手は簡単に言うなら堀口選手の打撃のスピード+扇久保選手の抑え込み+伊澤選手の無尽蔵のスタミナを足して割らなかった選手ですので、普通に考えればドットソン選手がKOで倒すないしレスリング技術で抑え込んで判定勝利があまりにも硬いです。
しかしそこは所英男ですのでまさに乾坤一擲の一発を期待してしまうのはしょうがないかなとは思います。3ラウンド4分50秒まで抑え込まれても10秒あれば一本取れる技の精度とその機会をあきらめない覚悟がある選手ですので、文字通り目の離せない試合になるでしょう。
RIZINがここでジョン・ドットソンと契約したことは本気でフライ級を盛り上げる証明だと思います。この相手に完勝しようもんならUFCを始め海外団体も一気に目の色変えてきてきそうですね。ドットソン選手自身もゴン格のインタビューでスパルタのレオニダス王よろしく「モーロン・ラべ」的なことを言っていたのでRIZINフライ級がマジで楽しみになってきました。
⑨スダリオ剛vsジュニア・タファ
個人的にスダリオ選手はBellator対抗戦で見たかったですね。もちろん武田光司vsガジ・ラバダノフは神カードなのですが、現在の日本ヘビー級では頭一つ二つ抜け出ているのは誰もが認めていますしここらへんで世界レベルの選手との試合をこの機会に見たかったというのは否めないです。
スダリオ剛選手は全試合RIZINで行っているのでおなじみの選手ですがキャリア6勝全てKOで勝利しているハードパンチャーです。元十両力士でありながらMMAに適応したシェイプされた肉体と当て感の良さが特徴です。
ジュニア・タファ選手は兄がUFCファイターであるジャスティン・タファ選手、祖父や叔父もボクシングチャンピオンと格闘技一家で育った選手です。その類まれなる選手でK-1世界トーナメント優勝者でPRIDE、UFCでも活躍したマーク・ハント選手のトレーニングパートナーになりました。
ボクシングやキックボクシングを経験していることからテンポが速く鋭い打撃を得意としています。
大晦日らしいヘビー級の派手な一戦ですがフィジカル、当て感など個人的にはスダリオ選手盤石な予想です。ただ如何せん一発があるヘビー級で打撃競技経験者のタファ選手ですので、個人的にはスダリオ選手のタックルといった寝技のアプローチが見たいですね。
多分普通のRIZINだったらそれなりの注目を集める良カードなのですが、対抗戦などほかに豪華なカードが多すぎて注目度が薄れてしまうのはある意味嬉しい悲鳴ですね。
20203年にはスダリオ選手Bellatorデビューをひそかに期待しています。
⑩井上直樹vs瀧澤謙太
RIZINバンタム級現王者の堀口選手がフライ級に本格転向することで1年かけたトーナメントがマジで土壌を焼け野原にしたというだけで終わりそうですが、逆に言えばここから焼け果てた土地に自身の種を植えられるチャンスです。ですのでRIZINに参戦しているバンタム級の選手はBellatorとの対抗戦に関する動画を挙げてYouTubeの再生数を稼ぐのも良いですがこの試合を含むバンタム級の試合を今後の自身の動向を考えてみるのも良いんじゃないかと思います。
井上直樹選手は19歳という若さでUFCと契約した日本軽量級トップの選手です。打撃、組み技、寝技どの局面でも隙が無く現在25歳ながら非常に完成度の高いスタイルを持っています。
バンタム級GPでは朝倉海選手と並ぶ優勝候補筆頭でしたが準決勝で扇久保選手の執念の前に敗北を喫してしまいました。
瀧澤謙太選手はバックボーンの空手を活かした回転系の蹴りで相手のリズムを崩してKOするトリッキーなストライカーです。また高校時代はレスリング部に所属していたためテイクダウンディフェンス能力が高いのも特徴です。
バンタム級GPでは2回戦で格上と目された元谷選手相手に1ラウンドKOの大金星を挙げたものの準決勝で朝倉海選手の強打であごが折れる負傷をしてしまい敗北しました。
試合のカギは両選手のスタンドの距離感です。
井上選手は鋭い左ジャブにカーフキック、相手が出てくれば伸びのあるカウンターの右ストレートと基本的には近~中距離が自身の距離です。
瀧澤選手は回転系の蹴りにハイキックと遠距離が自身の距離です。
そして相手に序盤からプレッシャーをかける井上選手と序盤は距離を取って様子を見る瀧澤選手なので井上選手が前に出てそれを瀧澤選手が迎え撃つ形にスタンドではなりそうです。
ただグラウンドでは圧倒的に井上選手有利だと思うんですよねぇ寝技にいおくしたらあれよあれよと井上選手が四の字フックを取ってバックチョークを極めそうです。しかし井上選手は思っているよりテイクダウン能力が高くないという特徴がありますが、それでも序盤からプレッシャーをもらってくれる相手ですのでなんだかんだテイクダウンは取れそうな気がします。
けど井上選手は度を超えた負けず嫌いなんですよね。
元谷選手相手に組み技勝負したり石渡選手や金太郎選手に打ち合いやっったりとその負けず嫌いスイッチが入ってしまえば打ち合いの展開は生まれると思います。
そうなると瀧澤選手にも勝機はあります。瀧澤選手は打ち合いでビビらないメンタルの強さや一撃で相手にダメージを与える殺意の高い攻撃を出せるので、そういう展開になるとまたジャイアントキリングが生まれそうです。
この試合はRIZINバンタム級3位決定戦とある意味GPの最後のピースとなる試合です。
焼け野原となったこの地でどうやって自身をアピールしていくかが今以上に必要になってくるバンタム級ですが、堀口恭司という階級の”王”がいなくなった状態でどこまで盛り上がるかが全体的な課題だと思います。
⑪伊澤星花vsパク・シウ
スーパーアトム級GP決勝は1年前のリマッチです。お互い両国のこれからを期待されていた超新星たちが階級の世界一を決める場でぶつかるのは漫画だったら最終章ですね。
伊澤星花選手は現在無敗で現DEEPアトム級、現RIZINスーパーアトム級王者の二冠を保持している選手です。柔道、レスリングを始めとした組み技のアプローチの手札の多さと無尽蔵のスタミナが最大の武器です。また個人的ですがRIZINに来てから自身の極めを狙うメンタルと技術のすり合わせが上手くいったからこの快進撃につながったのではないかと思います。
GPでは1回戦はブラジルの寝技師であるラーラ・フォントーラ選手をギロチンチョークで勝利して、2回戦ではIMMAF優勝者であるアナスタシア・スヴェッキスカ選手をラウンド残り4秒で腕十字を極めて決勝までコマを進めました。
パク・シウ選手はRIZIN参戦後RENA選手、朝倉カンナ選手、浜崎朱加選手というRIZIN女子格闘技を創り上げた選手たちを倒して名前を挙げてきた正に世代交代を象徴する選手です。
バックボーンのテコンドーとキックボクシングを活かした荒々しいストライキングにフィジカルの強さが特徴です。また日本のCRAZY BEEに出稽古しに行ったことでレスリングが大幅に強化されたことで以前よりもオールラウンダーなファイターに完成していっている気がします。
GPでは1回戦は初代GP優勝者の浅倉カンナ選手をタックルを全部切ってスタンドで圧倒した判定で勝利して、2回戦では元RIZINすぱーあアトム級王者の浜崎朱加選手にダウンを奪う判定勝利をして決勝にコマを進めました。
両選手とも得意の場所が寝技とスタンドとはっきり分かれているのがこのカードの特徴です。
伊澤選手は寝かして極めたいしパク選手は殴って勝ちたいのは周知の事実ですのでそれまでのプロセスが非常の重要なのですが、パク選手は自身からはタックルにはいかないですが伊澤選手は恐らくパク選手の領域である打撃勝負を激しくやると思います。
伊澤選手としては出来るだけ早くグラウンドの展開をして極めたいのですがパク選手のグラウンドから立ち上がる力にレスリング力上昇も相まって一回のアプローチでテイクダウンすることは正直難しいでしょう。だからこそあえて相手の土俵である打撃戦で前に出ることで相手のリズムを崩したり自身がテンポよく回数多くテイクダウンのアプローチにつながると思います。そこでガツンと強い打撃をもらえば一気に戦況は傾きますが伊澤選手には下からの寝技がありますので本人としては打撃をもらうことはそこまでディスアドバンテージとして考えていないと思います。
ただその打撃戦の圧力の掛け合いでパク選手が大きな差を見せて主導権を取ったら正直そこで試合は決まると思います。一発逆転の要素があまりない軽量級の試合で特に女子格闘技となると、決め手に欠ける展開が続き結局フィジカルが強い選手が圧をかける展開が続いて判定で勝つというシーンは珍しくありません。その展開になったらパク選手圧倒的有利ですのでそれも狙っていると思います。
今回の「RIZIN.40」はRIZINvsBellator対抗戦をはじめ多くのことが動き出しそうな大会になります。PRIDEで隆盛の起こりを体験した日本MMA界からすればまさに”終わりの始まり”と言った感じです。実が生えていればある程度の収穫は見込めますがあえて焼け野原にすることでそれ以上の実りを得ようとする安定ではなく狂乱を求めるどうしようもないギャンブラースタイルの方が格闘技の興行を作るうえでは欠かせないのかもしれません。
2001年宇宙の旅ではモノリスに触れることで進化が加速しましたが、この大会が日本格闘技界のモノリスになる事を期待しましょう。
⑫おわりに
今回の記事はいかがでしたでしょうか!
このRIZIN.40の視聴やチケット購入は今からでも間に合いますので、下部のリンクから自分の都合の良いPPVを買ってみて下さい!
またBellatorとの対抗戦のみをまとめた記事もありますので良ければそちらも読んでくれると嬉しいです!
この記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitterで反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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