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中国大学入試の延期〜中国語レッスンから今を考える〜

上海駐在中にロックダウンとなって38日目となりました。
ロックダウンという特殊な状況をどう活用しようか、と考えて始めたいくつかのことのひとつに「中国語のオンラインレッスン」があります。

中国語の勉強は2019年の上海駐在当初から始めたのですが、上海は他に魅力的なことが多くて、ついつい行ったり行かなかったり、を繰り返していました。

今回のロックダウンに合わせて中国語教室が本格的にオンラインレッスンを開始してくれたことから、今は週に1時間のクラスを3コマ受ける、というルーチンを続けています。

なかなか上達しない中国語は置いておいて、今の上海でレッスンを受けることによって、先生たち(基本毎回変わります)が今の中国/上海をどのように見ているのか、を知る良い機会となっています。

少し前のレッスンですが、上海の住宅事情について学びました↓

本日学習した単語はこれ
第一次愿DiYiCiYuan
日本語にすると「第一志望」です。

昨日、上海の高考(GaoKao:日本で言う大学入試共通一次センター試験)が約1ヶ月遅れることが発表されました。本来は6/7-8で実施される予定でしたが、2020年のコロナ発生以来、2回目の延期となります。

中国の教育システムは日本と似ていて、高校3年間が終わってから大学に入るのですが、どの大学に入れるかはこの「高考」という共通試験で決まります。

中国は①日本以上に学歴社会であること、②長年のひとりっ子政策のため多くの家庭で子供がひとりであること、③何より人口がめちゃめちゃ多いこと、から子供がいる家庭にとってこの高考はとてつもない大きなイベントになっています。

全中国でなんと1,000万人が750点満点の試験を受験し、1点ミスすると3万人に追い抜かれる、とも言われています。想像するだけでものすごいプレッシャーです。汗
(ちなみに日本のセンター試験受験者は55万人くらいです)

この試験に向け、子供の将来を願い毎日毎日暮らしてきた家庭に「1ヶ月延期」の通知が届いたのですから、それはそれは大きなニュースになりました。

なぜ延期になったのか?
上海ロックダウンを受けた措置、ということになっています。

そんな話を先生としていて、出てきたのが冒頭「第一次愿」ということばでした。

日本の話ですが、大学受験では第一志望の学校学部に希望通り入れる比率は10%程度と言われているようです。残り90%は、競争倍率の関係で第一志望には入れず「希望通りにいかなかった」という結果となります。そんな話を僕の方から投げかけました。

中国の場合、第一志望に希望通り入れる人はどれくらいいるのだろう?公開はされていないようですが、日本と大きな差はないように思います。

もしそうだとすると、90%の受験生は第一志望には入れないのですが、その時にどんなことを思うのでしょうか?
子どもを持つ親であれば、我が子の人生がかかった(と、思っている人が今は多そうです)試験をベストなコンディションで迎えさせてあげたい、と思っているに違いありません。

でも実際に足元で起こっていることはロックダウン、封鎖、コロコロ変わる政策、不安な食料事情、意味を理解できない幾度となく行われるPCR検査や抗原検査。

こういった状況の中でどれくらいの親や受験した本人が、試験結果をすんなりと受け入れられるのでしょうか?

以前のエントリーでロックダウン1ヶ月を迎え、中国の人たちが今の上海の状況をどう感じているのか、について書きました。

高考が1ヶ月以上遅れると、2020年のコロナ以上に今の方が問題が大きいことにつながるため、中国政府としては受け入れることができません。1ヶ月遅れの7月開催が最終防衛ラインとも言えるのかもしれません。

高考を7月に実施するためには、受験する高校生の「卒業認定試験」を実施する必要があります。その日程は高考の1ヶ月延期と合わせて6月中旬へ1ヶ月延期され、昨日一緒に公表されました。

この卒業試験も急には行えませんので、実施までには市内の地下鉄など公共交通機関を完全復旧させる必要があります。もちろん教師はその前から準備が必要ですので、今のようなロックダウンが続いていてはとても準備ができません。

そう考えると、もう残された時間はほとんどなくなってきているのかもしれません。早くゼロにしろ!そんな大きなプレッシャーが聞こえてくるようです。

そんなわけで、上海政府は昨日より更なる強硬な措置を取り始めたようです。
今まで自由に外を歩けていたマンションでも、今日から1週間は外出不可になった、というケースを聞きます。
(僕のマンションも、今日から敷地内での散歩は基本禁止になりました)

また、マンションの棟で1人陽性者が出た場合、今までは当人1人だけが隔離施設に送られていましたが「同じマンションの住民全員が隔離施設に送られた」という例も出てきているようです。
(先生と冗談で話していましたが、上海市民2500万人のうち半分くらいが隔離施設に送って、そのあと公式に「ついに我々はゼロコロナを達成した!」なんてマジメ顔で発表するかもしれません笑)

以前のエントリーの通り、上海人の中には「なぜこのようなことになってしまっているのか?」の本質にたどり着いている人も多いため、1ヶ月のロックダウンに追加してこのような措置が取られることへの抵抗感はかなり強そうです。

果たして高考は予定通り1ヶ月遅れで開催されるのか?
隔離政策でどれくらいの家庭で受験できないケースが発生するのか?
その後の結果(多くは第一希望に通らない)をどのように受け入れ、どのように捉えていくのか?

外国語を学ぶことはその国を知ることに直結するなぁ、と改めて感じました。
引き続き見守ってきたいと思います。


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