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古い大企業の形成と、死への一本道

おはようございます。
この図がよくできてます。

日本企業が直面するジレンマ
https://www.fashionsnap.com/article/2022-02-08/jp-innovation/

この30年、バブルの残照のなかで日本の大企業がやってきたことは、過去の成功を背景にした「リソース管理」につきるのですよね。市場にまだ余裕があり、不可知な変化も少なく、労働力と商材を組み合わせて、余計なことをせず仕事に人員を最低コストで割り当てて利益を出せる前提で、現場のことはこれっぽっちも分からなくとも管理型リーダーが選ばれ、彼らはそこに権威の代弁者としての優越感を持って生きてきた。 

いっぽうでは人月単価の生産コストとして最低賃金で使われてきた現場の生産階層がいて、相互に利益対立する軋轢があり、マインドも方向性も前提知識も異なり、ベンチャー企業のような(上の図での1950~70年代のホンダ、ソニーのような)一丸となって進む組織とはならないし、技術の蓄積もされてないわけです。

日本企業はかつての競争力を失い、人材を使い捨てて胡坐をかいて来た構造的欠陥とそれによる地盤沈下のからくりが、国家的に明らかになってきた。


付け焼き刃でエドモンドソンの「心理的安全性」とか言ったって、そういうのがまったくない組織が学び合うことがお互いの共通のモチベーションにつながる組織なんかに変わりっこないんですよ。結局、人は与えられた環境で必要エネルギーの一番低い状態に落ち着きますし、だいたい、あれはGoogle社でのお話です。

ワンパーパスとならない内部矛盾をはらむ組織構造

健康と同じで、勢いがあるうちは、人々はあまり疑念を抱かないんですよね。基本給いっこも上がらなくて内心不安でも残業代で生活できてたし。
特に人を多量に使うSIerは運用の都合上、資源管理するものとされるもののピラミッド構造となっています。知的労働のように見えるけど、仕事の本質が限りなく労働集約型で、人月単価の労働に利ざや載せて売る商売なんですよね。(入社時にそんなこと言わないでしょ。いくらでも嘘がつけるんですよ。そして、嘘は必ずバレる。)

しかしながら、労働集約型の仕事がいつまでも利益を出せてたらいいけど、産業構造が変化し、仕事が減ってそれも成り立たなくなってるでしょ。で、そこを従来の組織のまま「おい、虫けら、なんとか数字出せ」といわれても現場でできることは限られてるし、外部の情報や知識を持ってきたり新しいことを考えてもどうせ誰にも理解できるものはいないし、特に再学習の効かない上位階層のおっさんを説得できないですしねえ。

ハシゴ外されて責任負わされるだけなのが見えてます。

環境が変化する中、組織構造/判断基準が変わらないまま従来のやり方で数字を要求される現場

かといって、長年、リソースの割り当てと半期ごとの数字を上に報告することで生きてきた調整型リーダーたちに環境変化に対応し新たな仕事や提供価値を創造する力は無いし短期的に見える数字でしか判断できないでしょ。

構造的バグなんですよ。組織の。

利益が出せなくなっている中、数字を確保したい管理者層

そもそも組織を変えるなんて並大抵のことじゃないんですよね。
多くの人がそこに依存して生きているわけですから。
組織改革が進まないとか言ってるオジサンを見るけど、同じ人間がそのままやってるのに翌日から変わるものか、10年20年掛かるんですよ。小規模ベンチャーでなければね。

https://scrummaster.jp/downloads/larmans-laws-jp.pdf

カルロス・ゴーンみたいな剛腕を発揮すれば変わるならいいですけど、
これからの時代、必要とされる能力も変わってきますし、若い人もずっと減って、能力発揮もキャリア形成もできない企業に人が定着しませんし、体質の古い大企業がやっていける要素がないんですよね。


ほーら、浮かび上がる可能性がない。詰みです。ゲームオーバー。
最初の図を見てください。
そのなれの果て。

駄目なんですよね。
血液を全入れ替えしない限り。
でも、そうはならない。
駄目なんだろうねえ。


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