#62 他人の音漏れはドキッとする

普段電車に乗っていたり、また私の場合は学生なので講義中やゼミ中、図書館、自習室など私語が控えられており静かな場面の中にいることがある。社会人の場合であれば会議中などであろうか。そういった場面で突然音楽が大きな音で鳴って当事者が焦って音を消すというアクシデントに誰しも遭遇したことがあるのではないか。

静かな状況で音が鳴るということで、漏れた音自体がそこまで大きくなくとも周りとの比較で相対的により音が目立ってしまい、その場にいる人たちの注意を一気に集めてしまうのが他人ながらとても恐怖であると感じてしまう。

商店街やデパートなど賑やかな人混みの中でスマホ等の音が漏れる分には周りの会話や音がかき消してくれるのであまり影響はない。混雑した交差点をイヤホンで音楽を聴きながら歩いている時にいきなり音が漏れたとて何の緊張感もない。

そもそもそんな賑やかな場ではあまりイヤホンをするということな少ないように感じる。音漏れによるリスクがある閑静な状況下に限ってイヤホンで音楽や動画を視聴していたりするものである。

それは静かな場だと暇だと感じてしまうからだろうか、音の消失による空白を補填するために各々がイヤホンで自分の世界を楽しもうとしているのであれば、音が漏れるということは同時に自分だけの閉じた世界が一気に公共の開けた場に晒されることになる。それが自分だったらと思うととても耐えられない。

別に私は人に聞かれてダメなような内容のものを聞いているわけではないが、自分の嗜好が思いもよらないタイミングで披露されることに嫌悪感を示さない人はいないだろう。

これは、駅前で友達と待ち合わせている時に、目の前に見えた友達だと思われる背中姿に馴れ馴れしく声を掛けて相手が振り向くと、その人が全く別の他人だった時の雰囲気に似たところがあるだろう。最近電車内のテレビでその状況についてよくやっている。ちなみに、私は間違えて声を掛けられる側になったことはある。

自分のテリトリーでしか公開されていないと思って自分を出した結果、それが赤の他人に見られていたと思うと、逃げ場のない思いに駆られてどうしようもなくなる。

一方で、上記の話とは真逆のことを言うが、静かな真面目な空間でいきなり叫んでみたらどうなるのか考えてワクワクしてしまう時がある。例えば真剣な会議や授業中などの大勢が静かな空間で自分が大声を出したとなると、前に立って説明していた人は一時停止してしまうのだろうか、すぐに怒られるのであろうか、誰も何も言い出さず一瞬変な空気になって流されてしまうのだろうか。

私にはそんな勇気はないが、試しに誰がやってみて欲しいなと思った。

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