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箱根駅伝の報道の一部から思ったこと

前回の記事の続きです。

ほとぼりは冷めたけど、自分自身が感じたことの記録です。

2区のデッドヒートにおいて、青学・近藤幸太郎選手が合図して、中央・吉居大和選手とともに、駒澤・田澤廉選手に追いつき、結果的に大和くんが区間賞、幸太郎くんが1秒差の2位、ゴール後に二人が抱き合う場面が感動を呼びました。

現在は、テレビやネットの記事で、二人が豊橋市の同じランニングクラブ(TTランナーズ)に属していた背景が出ているけれど、1月2日当日の日本テレビの実況では触れられず、大会翌日(4日)の「スッキリ」の箱根駅伝特集でも、幸太郎くんと大和くんについて、「二人はともに愛知県出身」にとどまっていて、物足りなさを感じました。

当日触れられなかったことも取材不足に感じてしまったし(前回書いた通り、過去に詳し過ぎる実況をしていた船越元アナウンサーを直接知ることや、私自身も元テレビのADだったこともあり)、当日は逃したとしても、あれほどまでの信頼関係や親密さを見て、単にスポーツマンシップとか愛知出身ではおさまらない「何か」を感じ取って、せめて翌日の同局「スッキリ」(恒例の優勝校出演の朝で、駒澤大学がゲスト)までには調べられなかったのかな、などモヤモヤしていました。

そこに(4日の昼過ぎ)、TTランナーズの仲井さんから、「TBSの「ひるおび」でクラブのことや自分の名前まで取り上げられたと見ていた人が教えてくれた」と連絡が来ました。仲井さんは箱根駅伝の2日間CBC(名古屋)のラジオに電話出演していたため、「同じ系列だからかなあ」と推測していたけれど、私は「ひるおび」と知り、TBS土井アナウンサーが伝えてくれたのかなあと思い、土井さんにすぐにメールしました。

その返事であっさりと土井さんが「あ、それ俺の発言(笑)」と。
私はまさか土井さん本人が「ひるおび」で話してくれたとは思ってなかったけど、たまたまその日の「ひるおび」に<ピンチヒッターで入った>そうで、私がちょうど12月に、土井さんに別件でメールした時に箱根駅伝に触れ、私が知る情報として、幸太郎くんや大和くん(吉居兄弟)や仲井さんについて、TTランナーズのNumberの記事(前回記事参照)を添えて伝えていたことを、土井さんがしっかり全国ネットで活かしてくれたのでした。

<せっかく同じ区間で戦って、しかも近藤がついてこいってやってたからね
まーちゃんのおかげで、他にはない切り口で伝えられたよ>

土井さんにそう言ってもらえてうれしかった。

*土井アナウンサーは、私が大学時代に属したアナウンス研究会の1年先輩で(上記船越さんはOB、その中でさらに、お二人も私も「実況ゼミ」の所属。在学中は東京六大学野球にどっぷりだった)、箱根駅伝出身者も多数走る元日の実業団対抗「ニューイヤー駅伝」のメイン実況を長らく務めていたので、興味を持ってくれると思い、12月に本題(友達のお子さんの就職活動の件)の「ついで」という感じに情報を伝えていたのでした。
過去には世界陸上の前に鈴木亜由子ちゃん、ニューイヤー駅伝の際に山本修平くんの情報を伝えたこともありました。

結果的に地上波のテレビで最初に幸太郎くん&大和くんの関係の元にTTランナーズがあったことに触れてくれたのは土井さんだったと思う。
その数時間後に、関係あるのかないのかわからないけれど、仲井さんに日本テレビから取材依頼が入ったのでした。

私がこの件にこだわっているのは、幸太郎くん、大和くんのルーツに同じクラブでの練習があることが周知されるかどうかで、あの時の二人の結束への印象が違ってくると思ったからです。

直後の記事では単なるスポーツマンシップにとどまっていて、 例えば、青学や中央のファンなら二人の結束した走りやゴール後のハグを美談としてとらえるけれど、駒澤や田澤選手ファンなら、二人が結託して打倒・田澤で走り、ゴール後、田澤選手抜きで讃え合った、みたいに、報じ方によっては二人が悪者のように受け取られる恐れもあると思いました。
二人には、ただ勝ちたいだけの結託ではなく、あらゆる背景や巡り合わせの中での信頼や親愛があったと思う。
私の後輩も、「なぜあんなに親しいのか不思議だったけど、(私から話を聞いて)納得した」と言ってくれました。

仲井さんも私も、TTRに触れて欲しいという意味ではなく、客観的な報道として触れられないことが不思議で(笑)、だからこそ、他局の「ひるおび」で触れられたことを喜んだというよりは、それが自然でありがたいという感じでした。

以降は、幸太郎くんが自身のツイッターやインスタグラムでTTランナーズのツイートをリツイートしたり「#TTランナーズ」とした影響力もあり、ネットの記事でも多数言及され、TTランナーズがにわかに「バズった」状態になりました(笑)
それはそれで仲井さんは戸惑っていたし、私が昨年仲介したNumberの記事もバズっていたので、想定内とはいえ(私としては箱根駅伝前にマスコミにもっと読まれる予定でいたけど)、「ひるおび」からの派生含めて責任も感じる時間でした。

今は昔と違い、テレビやラジオや新聞の報道の他にインターネットがあり、源流や上流でしっかりとした報道がされないと、ネットの記事のコメント欄やツイッターで憶測や推測や感情の入った文章が書かれたり、一気に拡散されたりする。
真実は本人たちさえわかっていたらいい、本人たちが幸せだったらいいと思いながらも、思いがけない余波も生じるので、客観的に伝わって欲しいことがそれなりに伝わって(まずは発信されて)ホッとしました。

今回良かった記事として・・・
1月3日の夜に書かれていた読売新聞の記事。
新聞らしく(こうあってほしい)、限られた文字数の中にポイントを簡潔に盛り込んである。

そして、この件のオチというか一つの区切りというか、地元の東愛知新聞というローカル紙の記事。
箱根駅伝の二日後、5日に開催されたイベントにやって来た幸太郎くんと大和くん込みの記事。

⭐︎ネットニュースのスクリーンショットより

こちらは、新聞らしからぬ?ラブリーな写真や、私のモヤモヤを一気に「友情」という言葉でまとめてくれたようで(一蹴というか、細かいことを割愛した自由で独特な記事というか)、笑っちゃいました。

このネット記事もバズってるかと思います(笑)

以上、私も30年近く、「伝える」側にあるので、人によっては気にならないことも、発信側の責任というか、つながりがある方々だったので、いつもながら多少動きました(源流操作、交通整理)。
私の思う報道や発信はこうあってほしい、というレベルを考えたり、知らない方々の反応やコメントの数々を見たりして、「現象」や「渦」の勉強になりました。
箱根駅伝や幸太郎くん、大和くん人気を実感しました。
のちに内部から聞いた話では、田澤くんは、大会1週間前は、2区を走れるような状態ではなかったらしく、本番での激走や三つ巴を思うと、いかに田澤くんが凄いランナーか、というのも改めて知りました。

本当に、語り継がれるような、素晴らしい、2023年の花の2区でした🌸🌸🌸

【追記 1月11日】
昨年TTランナーズを取材してくれたライターの酒井さんが、仲井さんにも電話取材して、大和くん、幸太郎くんに関する記事をUPしました。
その記事をTBS土井さんにも報告しつつ、この件に関してのまとめになっているので、コピーします。

土井さん、こんにちは。

4日の「ひるおび」、見ていた知り合いが思いのほか多くて、
あの時土井さんがTTランナーズに触れてくれたことは、
実のところ、本来大元である日テレだとか、記者とかライターたちにも
いい影響を与えて余波につながってるような印象です。

こちらは、先月お伝えしたNumberWebのライターが、仲井さんにも電話取材して、今日UPされた新しい記事です。2区に触れています。

私なりに、今回は報道の仕方みたいなものを考えるきっかけになったので自分のブログにもまとめたけど、それを読んだ、私の小説とかの取材をしてくれた地元の広告代理店の人のコメントです。ひるおびを偶然見ていたという方。

<この出身が実は勝負の綾みたいな感じだったようで、ちょっと鳥肌モノでした。>

この方のコメントに代表されるように、単なる競り合いとして報じるのではなく、かと言って過剰な演出でもなく、「勝負の綾」について感じさせる伝え方って大切だなあと感じます。
事実にちょっとした文学的要素が加わるかどうか、みたいな。

そんなわけで、土井さんが言及してくださったことは、思いのほか大きかったと思うので、改めて、ありがとうございました。


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