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味幸園は焼肉屋じゃなく素晴らしい温泉なのだ。そうなのだ。

さて、我々は釧路にいる。
ここにきた目的はタンチョウヅルに出会うためである。
原田マオさんの小説で釧路鶴居村を知ったからだ。
タンチョウは一週間ぶりの飛来らしく、この日4羽遭遇できてめでたしめでたし。しかし雪原のタンチョウを拝するには1月か2月に来ないといけない・・・。ハードルたかし。しかし絶対に来るべしと気合いを入れ直す。

さて、どうせなら、釧路近辺で面白い湯を・・・と検索をした結果、同伴の隊員が見つけてくれた素晴らしい温泉があった。
釧路市街から北へ約40km。味幸園だ。名前を見る限りこれが温泉とは思えない。どう考えても焼肉屋さんだ。
北海道だからジンギスカン屋さんか?

どうみても焼肉屋にしか思えない看板
味幸園
綺麗な受付

到着した原野にポツンと一軒の宿、味幸園。
看板見ても、やはりこれは焼肉屋さんだ。もし入ってみて焼肉屋なら、それはそれでいいかもと思いつつも、心のはやりをおさえつつ、でも少し期待しつつ、つつが多いがそんな事は関係なく、とりあえあず受付へと向かいつつある我々であった。

一人600円支払って、いざ参らん。脱衣場はシンプル。
道東一の温泉とかの張り紙があり、期待が膨らむ。

脱衣場
モール泉が掛け流し
高らかに唱う道東一

浴場には、二つの小さい浴槽が。そうそうこれなのよ。一つは熱湯で、一つは少しぬるめ。そうそうこれなのよ。
しかもモール泉がぜいたくに掛け流し。そうそうこれなのよ。と完全に、「つつの」人から、「そうそうこれなのよ」の人となり、ぬる湯からいただく。
地元の60歳くらいのおっちゃんが浴場で体をワシワシと洗っては熱湯につかり、洗っては熱湯につかり、そして、彼の洗い場の目の前に茶色い色した500mlのペットボトルが10本ばかりズラリと並んでいる。

これどうするんですか?と聞くと、
「うちの母さんに飲ますんよ!」と。
このお湯ですか?と私が湯船を指差すと、「いや、その湯口からの湯や」とのたまう。当たり前やろ!とは言わず、フムフムと頷いて先を促す。

問題の湯口

ここの湯は、胃腸に良いから毎日母さんに飲ませていると。
ほんまに良くなるんやで!と別に疑っているわけでもないのに念を押してくる。
さらに、いろいろ聞いていると、こんな病気がよくなったとかアトピーがよくなったとか、ポンポン出てくる。熱烈なる温泉愛を込めた説明が終わると、スーパーに置いてあるようなカゴに10本近いペットボトルを入れて意気揚々と出て行かれた。重たいやろ!

随分あったまって満足し、休憩室で休んでいると、なんだかやたら沢山休憩室らしきものがある。どうやら、昔は宿泊もやっておられたようで、また炊事施設のようなものがあり、本格的湯治宿だったんだなあと感慨にふける。

受付の女性に話を聞く。オーナーさんではなかった。
1)とにかく良い湯、弁当もってこられる方も多い。地元民だけじゃなく、1時間くらいかけて来られる方も多い。
温泉浸かって、休憩所で弁当食べて昼寝してまた浸かって帰られる人もいる!。→まさに湯治やん!←次機会あれば、ぜひこれやりたい。

2)ここは、温泉が勝手に噴き出すし、加温もしてないので、安上がりの湯。だからやっていける。
そういや、近頃、良い湯がどんどん廃業になっているので悲しく思っていたが、ここのように勝手に噴き出して、勝手にあったかいなら、しばらく大丈夫かと胸を撫でおろす。

3)地震があった時には湯に泥が混じる!

4)お湯が熱く、浴場が小さいので浴場がすぐサウナ状態になる。だからシャンプーもリンスも置けない。←ダメになるらしい。だから今時、石鹸しか置いてないと。
ああ、だから、例のペットボトルおじさんは、浴場入り口のすぐ横に陣取り、ケロリン桶で扉を半開きにしていたのか。
また、私のほうへ、ズシズシ近寄ってくるので、なんだ、なんだ、なんなんだ!と思っていたら、私の後ろの窓をあけて、「すぐ出るからそれまでちょっと窓開けさせてな」、なんて言っていたのか。
なるほど、そーなのか、そーであるか。と、やはり温泉は、というか、旅は、地元の人の生の声を聞くに限ると激しく納得した北の大地、北の温泉、味幸園なのであった。

しかし、肝心のなぜ味幸園と言う名前がついたのかを聞き忘れたのが、かえすがえすも大きな後悔である。残念すぎる。どなたかもしこの駄文を読まれた方でご存知の方がおられたら、ぜひご教授いただきたい。
ここは、また絶対行きたい。
そして、帯広のローマの福の湯と同じ、ずっとずっとずっと残って欲しい。

標茶温泉 味幸園
住所 標茶町オソツベツ原野下御卒別628
電話番号 0154-85-2482
営業時間 10:00〜21:00(受付~20:00)
定休日 木曜
日帰り入浴 大人600円

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