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【コラボ詩】ネガフィルムの彼岸花

カカオという名前の犬が
彼岸花を嗅いでいる
サンパウロ生まれの悪童
今朝はパン屋巡り
蘭州もなくなってしまった街

涙にならない涙を流して、笑顔にならない笑い方をする
手首にお揃いの刺青を持つ双子の
名前は千佳と歩、そう勝手に決めた
嗄れた季節に出会った

菊田くんの彼女が言った
「なりたくないものにならないように頑張りなさい」
鼻の詰まった風邪声で讃美歌を
揺れるカプセルホテル
奈落の底、星
見上げた濡れた街灯
神様か悪魔か知らないけど
手を繋いで踊ってくれませんか?

残酷さと優しさは一枚のコイン
表と裏、表裏一体なんだ
それがものすごい速さで回転していて
迂闊に手を出すと怪我してしまう
だからといって優しさを疑ったり
弱い人を見放してしまうのは悲しいこと

歌うと傷口が広がってしまうから
冬の海は君の声に似ている
サヨナラよりも悲しい言葉を
たくさん知ってるから
死ななくてよかった、生きていてよかった

*今回の作品は、群馬県前橋駅前のギャラリー、
アートスープの「志向の海にうかぶことのは」展にて、2023年 10月27日~11月05日まで、
作・永沢俳理(絵、写真)笠原メイ(詩)で展示した。コラボ作品です。貴重な体験をさせて頂きました。

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