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うつ病患者の乳がん治療 〜理解されないつらさ

もう一軒の乳腺外科クリニックは前のクリニックの近くだけど小さな駅の真ん前にあった
ここは通いやすそうだと思った

診察時間が終わった夜間にわざわざ時間を開けて待っていてくれた
かなり忙しいクリニックでとにかく予約でいっぱいだったのだ
姉と母と義兄と四人で話をした
「なるほど、ではもうそちらの病院は行かなくていいですよ
こちらで請求して診断書などを送ってもらうことにします」

ここの医師はわりと地元では有名な乳腺外科医で、手術を執刀してくれたC総合病院の乳腺外科医の先生ともわりと懇意にしてるようだった

抗がん剤治療中の緊急連絡用の携帯番号を教えてもらった
「何かあれば深夜でも構いませんので電話してください」
丁寧な説明をうけこのクリニックで抗がん剤治療を受ける方向で話が進んだ

うちの姉は大絶賛だった
「めっちゃいい先生」
姉の上機嫌な様子を見てホッとした
これでやっと治療に集中できる

一連の流れを読んでくださってる人の中には気がついてる方もいると思うが、この時のわたしはとにかく自分の意思がない状態だった
そして状況を説明できるほど把握する認識力がなくただ流されている状態

歯医者のトラブルが一番いい例だ
実は総合病院の歯医者さんに「左の」親知らずを抜くという説明を理解できていなかった
なんで左だけ?
右は後で抜くのかな?
説明を受けた時はとにかく話を聞くことでいっぱいで、疑問は家に帰る途中で思い浮かぶ状態だった
そんな混乱の中での伝言ゲームであったため、問題の歯科医師には「左右の親知らずを抜く」と勝手に情報を書き換えてしまったわたしは口頭で誤情報を言ってしまっていたのだ
だからあの歯科医師は激怒したのだ
「なんで健康な歯まで抜くんだ!」と。

それでもあの紹介状の封を開けて読んでいればわたしが勘違いしていたことに気づけたのだが、あの歯科医師にはそんなことよりも、自分が誰でもできる後始末をよこされたことが気に入らなかったのだから多分同じ結果になっていたと思う

とにかくうつ病患者ががんになるということはがんという病気の知識をつけ、治療の手順

CT・MRIなど、各種検査→手術→歯の治療→手術から1ヶ月後に抗がん剤→放射線

やらねばならない過程が多すぎて情報過多で頭はパンク寸前だった

最大の問題はわたし自身が治療の方針や状況、次にどういう行動をとって何がわからないか。
自分の状況も心の中も理解できないことを医師や周りに伝えなかったこと
医師がわたしの「うつ」がどの程度かを把握しようとしなかったこと
家族も「自分でしっかり説明聞いて質問しなさい」とわたしを責めたこと

一番はもちろん自分に問題があるのだけど、うつ病というのはぱっと見普通に見えるのが厄介なのだ
理解できてないことを本人さえわからないのだから周りが対応できるはずがないのだ

なのでここで力いっぱい伝えたい

うつ病患者はがんになったら総合病院で全部管理してもらおう


歯医者も検査も心療内科も全部その病院で済ませられるくらいの大病院に行けば全て管理される
そのかわり苦手な医師がいても逃げ出しにくいのが難点だが抗がん剤治療で副作用がつらくてもつらい時期は入院できる利点がでかい
クリニック通いでは治療場先や検査の紹介状を自分で判断して選ばなければならない
治療の内容を理解して他の医師や病院に正確に告げないとこういうトラブルが起きるのだ

うつ病患者には難易度が高すぎる
がんという重たい病気にただでさえ混乱してるのに、つらい気持ちを姉や母に告げると「大したことない気にするな、重く考えるな」で一蹴されていた

副作用と食事の心配しているだけでしょ?

そうだけどそうじゃない

患者自身のつらい気持ちに寄り添うことを、うつ病患者の家族も医者もできる範囲でサポートしてあげてほしい

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