ひぐちの京阪神週末さんぽ

デザイン、建築、旅などについて綴ります。

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最近の記事

岡山市立オリエント美術館とアラビックコーヒー

所用があり数年ぶりに岡山を訪ねたのですが、その際ついでに立ち寄った「岡山市立オリエント美術館」が個人的にとても気に入ったので今回簡単にご紹介したいと思います。 岡山市立オリエント美術館は岡山駅前から路面電車に乗って3つ目の「城下」電停で下車し、徒歩3分程度の場所にある古代オリエント専門の美術館。 メソポタミアを中心に西インドからエジプトに及ぶ広大なオリエント地域の美術工芸品や考古学資料等が約5000点も収蔵されており、その量と質の高さに圧倒されます。 建物外観は古代メソポタ

    • 〜京都散策のおともに〜 おすすめ和菓子あれこれ vol.1

      数年ぶりに京都西陣(堀川今出川)にある「鶴屋吉信」へ。 鶴屋吉信といえば創業220余年の歴史を重ねる老舗和菓子屋で、これまで御所や神社仏閣、華道や茶道の家元などの御用菓子を手掛けてきたことでも有名です。 いまでは全国の百貨店などで鶴屋吉信の和菓子を購入することができますが、京都本店の2階にある“菓遊茶屋”では熟練の和菓子職人さんによる説明を聞きながら目の前で生菓子が出来上がっていく過程を愉しめます。 つくりたての生菓子はしっとりなめらかで上品な甘さ。 相性抜群のほろ苦い抹

      • 〜旧共産圏デザイン好きにオススメな一冊〜『OSTMODERN/東ドイツ』

        京都一乗寺の書店“恵文社”を訪ねた際に即買いしたビジュアルブック『OSTMODERN/東ドイツ』。 1990年の東西ドイツ統一以降社会主義色がどんどん薄れゆきつつ旧東ドイツ地域において今もなお現存する社会主義時代の建築や芸術などを多くのビジュアルで紹介。 集合住宅、駅、バスターミナル、ホテル、モニュメントなどオスト(東)モダンな各種スポットを訪ね歩くガイドとしても価値のある写真集です。 若かりし頃からソ連を初めとした旧社会主義国家が生み出す機能的で政治色が強く、前衛的でも

        • 美しすぎるごみ処理場『広島市環境局中工場』見学 〜そして広島・竹原・福山散歩〜

          広島港から比較的近い場所にある『広島市環境局中工場』。 実はココ“美しすぎるごみ処理場”とも呼ばれる有名な施設なのですがこの度広島に行く用事があったので訪ねてみました。 広島市環境局中工場はニューヨーク近代美術館(MoMA)新館や、土門拳記念館、猪熊弦一郎現代美術館などの設計で有名な建築家谷口吉生氏によるもの。 谷口吉生氏というと先に述べたように国内外の美術館の設計で特に有名ですが、当施設の設計においてはなんと美術館設計のノウハウを取り入れ、これまでの“ごみ処理場”に対する

        岡山市立オリエント美術館とアラビックコーヒー

          〜モリサワの歴史と文字の歴史を学べる〜 モリサワスクエア

          デザインのイメージを左右する要素のひとつとして“フォント”があります。 数あるフォントの中でも特に「モリサワフォント」はプロのデザイナーが愛用していることでとても有名ですよね。 「モリサワフォント」は国内においてプロ向けフォント断トツNO.1のシェアと知名度を誇り、 また、そのデザイン性の高さ、バリエーションの豊富さでデザイン業界には欠かせない存在だといわれています。 話は変わって、近年ますます注目されている「ユニバーサルデザイン」。 多様性を認めすべての人が暮らしやすい世

          〜モリサワの歴史と文字の歴史を学べる〜 モリサワスクエア

          〜福岡・佐賀・長崎〜 晩秋の北部九州紀行

          ひさびさに北部九州(福岡→佐賀→長崎)を巡ってまいりました。 このあたりは旅行等で何度も訪ねたことのあるエリアですが、これまで“食”目当ての旅がほとんどで(笑)、そういえば“興味はあるけどまだ行ったことがない場所”って結構あったなぁと思い、晩秋なのに季節外れの暑さに見舞われた11月初旬、ふらっと出かけてみました〜! 簡単ではございますが今回の北部九州駆け足旅の内容は以上のような感じでございます。 これまで何度も訪れた北部九州ですがちょっと調べてみると

          〜福岡・佐賀・長崎〜 晩秋の北部九州紀行

          “用の美”を極めた世界的デザイナー/柳宗理記念デザイン研究所(金沢美術工芸大学)

          先日所用で約一年ぶりに金沢を訪ねました。 定番の近江町市場やひがし茶屋街なども散策してみましたが、コロナ前を大幅に上回るような賑わいが戻っていてホッといたしました。 (去年、一昨年はまだまだ観光客も十分に戻っておらず少し寂しい印象でした。。。) そして今回、ひがし茶屋街からの帰りに以前から気になっていた『柳宗理記念デザイン研究所』を訪ねてみました。 “柳宗理”といえば9月に投稿しました大阪中之島美術館『民藝 MINGEI - 美は暮らしのなかにある』展での中心人物、そして民

          “用の美”を極めた世界的デザイナー/柳宗理記念デザイン研究所(金沢美術工芸大学)

          大阪中之島美術館 『民藝 MINGEI- 美は暮らしのなかにある』展 見学レポート

          大阪中之島美術館で9月18日(月・祝)まで開催していた『民藝 MINGEI- 美は暮らしのなかにある』展を見学してきました。 開催期間が2ヶ月位あったのでいつもの様に余裕こいていたのですがやはり最終日に慌てて見学することになりました。 (このクセなかなか治らないもんですね…) そんなことより『民藝』です。 “民藝”とは今から100年近く前に“民藝運動の父”と呼ばれる柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司らが提唱した“民衆的工芸”を表す造語。 当時の工芸界は華やかな装飾を施した観賞用の

          大阪中之島美術館 『民藝 MINGEI- 美は暮らしのなかにある』展 見学レポート

          中国風の意匠が溢れる宇治の萬福寺を訪ねて

          京都府宇治市にある黄檗山萬福寺を久々に訪ねてみました。 萬福寺は1661年、明から日本に渡った隠元(いんげん)禅師が開いた禅宗(黄檗宗)のお寺で、中国の明朝様式を取り入れた異国情緒あふれる伽藍配置が特徴的です。(ちなみに読経も中国語読みで行われるのだとか) 隠元禅師が当時の日本に影響をもたらした分野は宗教だけにとどまらず、建築、美術、印刷、そしてスイカやレンコン、そして“インゲン豆”など多岐に渡っており、その多くが現在の日本人の生活にも根付いています。 そんな偉大なお方

          中国風の意匠が溢れる宇治の萬福寺を訪ねて

          〜戦前日本の海外向け雑誌〜 「NIPPON」がカッコイイ

          戦前の日本で刊行されていた雑誌『NIPPON』をご存知でしょうか。 『NIPPON』は1934年から1944年まで発刊されていた海外向けのプロパガンダ雑誌で、アメリカの『LIFE』と比べても見劣りしないクオリティの高さで当時知られていました。 それもそのはず、この『NIPPON』発行に携わっていたのは日本を代表する写真家の名取洋之助、木村伊兵衛、土門拳、そしてグラフィックデザイナーの亀倉雄策など錚々たるメンバーだったのです。 当時の日本を代表するクリエイターであった彼らが国の

          〜戦前日本の海外向け雑誌〜 「NIPPON」がカッコイイ

          〜妄想旅行がとまらなくなる?〜 『日本の路線図』三才ブックス

          よく行く古本屋さんで目に入り思わず手にとった『日本の路線図』という本。 パラパラとページをめくってみると全国47都道府県の各鉄道会社が掲出している様々な路線図が一冊の中にまとめられたものでした。 以前投稿しました「世界最古のCI/ロンドン地下鉄ロゴマーク」でロンドンの地下鉄路線図デザインについて触れたことがありましたが、路線図が大好きなわたしは旅先の街で駅の路線図を見ながら、“もしこの街に住んでいたらこの路線で通勤するのかな?”とか、“この辺りとか多分便利で住みやすそう”とか

          〜妄想旅行がとまらなくなる?〜 『日本の路線図』三才ブックス

          〜シルクロードの国〜 ウズベキスタン紀行

          約3年ぶり、コロナ禍以降はじめての海外ひとり旅。 目的地に選んだのは中央アジアのウズベキスタンでした。 当初は欧州方面で検討していたのですが、以前に比べ航空券代がかなり高騰していること、ロシア上空を迂回して飛行するため所要時間が大幅にかかってしまうことから、第二候補であったウズベキスタンにしました。 シルクロードの中継地、美しいイスラム建築、モンゴル帝国の襲来くらいしか予備知識のなかったウズベキスタンですが、実際訪ねてみるとそれだけではないたくさんの魅力が溢れる国でした。

          〜シルクロードの国〜 ウズベキスタン紀行

          〜美しく清らかな意匠〜 谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館

          今回のブログでは少し前に出張で金沢へ行った際に立ち寄りました『谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館』をご紹介したいと思います。 (あ、今回も京阪神じゃない。。。笑) 谷口吉郎は帝国劇場や東宮御所(游心亭)、その長男である吉生はニューヨーク近代美術館新館、京都国立博物館(平成知新館)など数々のモダニズム建築の設計で有名ですが、谷口吉郎が金沢出身でしかもこの施設が彼の住居跡であったと今回初めて知りました。 金沢市名誉市民第一号でもある吉郎が長男吉生に“この土地を金沢に寄付し金沢の文

          〜美しく清らかな意匠〜 谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館

          晩秋のみちのく紀行

          若い頃からこれまで旅先として主に海外に目が向いておりましたが、コロナ禍以降それが出来なくなったことで国内を旅する機会が増えてきました。 正直最初は“コロナなので仕方なく国内”という思いがありましたが、あちこち訪ねるうちに自分の国のことを何も知らなかったんだなあと思うように...。 その後少しずつですが各地域が持つ魅力を再発見できているような気がします。 というわけで先月(2022年11月)およそ30年ぶりに東北地方(宮城・岩手)を旅してまいりました。 撮影しました数々の画像

          〜大阪の宝〜 大阪市中央公会堂(中之島)

          先月お知らせいたしました「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」ですが、今回わたくし樋口は南大阪教会(設計/村野藤吾)や大阪農林会館(設計/三菱地所)などいくつかの建築を巡ってまいりました。 いくつかの建築を巡った後は夕暮れ時の中之島をゆっくり散策していたのですが、時間的に既に閉館していると思われた中央公会堂から人々が出入りしているのを偶然目撃!!調べてみるとあと30分ほど見学出来るようでしたので久しぶりに入館してみました! (以下わたくしが撮影しました画像をご覧くださ

          〜大阪の宝〜 大阪市中央公会堂(中之島)

          生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪 2022

          以前から興味のあった『いいビルの写真集』という本を古本屋さんで見つけ購入しました。 大阪にある“いいビル”ばかりを集めた本で、高度経済成長期(1950〜70年代)に建てられた個性的なビルとその見どころが写真とともに詳しく紹介されています。 最近のビルはスタイリッシュで洗練されておりそれはそれで良いのですが、古いビルはよく見てみると随所に遊び心が盛り込まれ手も込んでおり、実に面白いなぁと個人的に思います。 昭和が最も輝いていた時代のモダンなビルとデザインを徹底的に楽しめる一冊

          生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪 2022