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東洋医学講座 78

〇旺相死囚休の成り立ち

▽旺相死囚休の符号について②

≪死≫

停止の〝止〟ということで、時の旺に剋制を受けて、自我を止(死)めて王に従う状態をいいます。

〔例〕秋に木死
   冬に火死
   春に土死
   夏に金死
   土用に水死

その時の王の剋制を受けて、献身的に服従している状態を「死」といいます。

≪囚≫

時の王から剋制を受けて、囚われの身となり、王に従うかたちです。

草木に例をとれば、土用の陰遁初秋の冷気にあって、凝固作用を受けます。この場合、死期よりも寒気が少なく、多少の自由、ゆとりがあります。

木の場合は、困の字義のように、「▢+木」のように陰冷の気で、その働きに囚われて身の自由を失っているのが困の字であります。

〔例〕土用に木囚
   秋は火囚
   冬は土囚
   春は金囚
   夏は水囚

≪休≫

子供を一人前に育てて世に送り出した親のように、休息状態をいい、また時の王を城壁的役割をもって背後から守っています。

例えば、春は木が旺ずるために、水気が母胎となって木を生長させ、一人歩きができるようになれば、手が省けてほっと我に帰れます。これを「休」と名づけています。

夏における草木のように、枝葉いっぱいに広げて余力をつくり、次の時代のための芽をつくるための結実しようとする休養状態をいいます。この期における治療は一番有効であります。

〔例〕夏は木休
   土用は火休
   秋は土休
   冬は金休
   春は水休

以上が旺相死囚休の説明でありますが、この理は人体はおろか、社会の全ての面に働き、また全てのことに用いることができる真理であります。

東洋医学においては、運気論に始まり、時における生理状態を知り、養生学の基礎となり、末梢活用においては鍼灸を施す本治療の中枢の真理なのであります。

この旺相死囚休の真理なくしては本髄の東洋医術はなく、旺相死囚休のあやなせる原理を十二分に活用してはじめて本位が達せられます。この原理を抜いては、ただ単なる刺激療法だけに止まることになります。

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