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東洋医学講座 290

〇脾と黄色

▽〝気〟と色について

▼体色に現われる臓器の変動

人体において、黄色の顔は脾の変動を示し、脾旺の場合は少し黄色味で活気のある血色を示します。病態の場合は木剋土で黄色が濃く、活気がなく、血色が悪くなります。全体的な体色づくりは、大きくは肝の働きによるものですが、他臓の働きが強くなると、その臓器の影響を受けて体色が変わります。

例えば、静脈血のをからだの隅々から吸い上げて、動脈血をめぐらせる心臓の働きの影響を強く受けると、体色は赤くなります。また、肝臓の働きが亢進して他臓をしのぎ、五臓の働きのバランスより強い状態、すなわち、標準よりも強く働くと青色になります。これは、人がカンカンに起こると、静脈が怒張して表皮に現われ、顔が真っ青になることからも分かります。

最近、黄色の顔の人をよくみかけますが、これは脾が亢進した状態であり、肝の刺激、相剋を受けて発する場合が多いです。脾土は本来、消極的で木剋土の影響を受けやすく、黄色になるということが他臓と異なる点であります。また、白は肺、黒は腎がそれぞれの他の臓器よりも亢進したり、旺したりする場合の色です。亢進するのは、その臓器に力がないのに力を出している場合であり、旺とはその臓器に力があって他臓との力差が異なる状態をいいます。人は色をみる場合、はっきりした色を想像しがちですが、人体の色をみる場合は、ほんのちょっとした色の黄色が健康色であり、そのとき必ず皮膚に活気や潤い、艶があることが条件になります。

このような条件下での黄色は脾旺性です。これに対して病変の場合は、活気や潤い、艶がなくなっていて、色の濃い薄いは、病変とは直接関係がありません。つまり、健康色で濃ければ旺実であり、艶が無くて濃い色であれば病変であることを示します。

季節色は、その人の常色に季節の色、つまり、春には肝旺季で肝の色が入るように、常色との比較でみます。季節健康色は、夏では常色より少し赤味を示します。これは動脈が浮上して血液の循環が速いためです。秋は肺が旺気して気の流れが速くなり、白色を示します。また腎の黒色はよく解明されていませんが、何かの変化があることには間違いありません。

色には季節色があり、また健康か否かは色の濃淡よりも、活気や潤い、艶が重要になります。また、その五臓の状態によって、亢進や旺実の区別があります。病変の黄色を持っている場合は、肝剋脾のことが多く、それが時間をかけて、脾剋腎・腎剋心・心剋肺と剋循し、そのたびに欠点の内臓にガクンガクンと剋傷して出てきます。したがって、先天的または後天的な欠点の病気になるということで、ほとんどが慢性的な病気になることが多くなります。

これに反して急性の場合は、剋傷が強く、時間的に短く、一回の剋現象で傷つけられます。血色というのは、四季色を通じて健否、五臓の旺実状態、または亢進状態が分かります。それが一過性に発する場合もあります。そして、その人の常色というのがまた、臓系のバランスを示します。

白色を示していても、肺旺実の場合もありますが、活気のないのは心剋肺のように何かの臓器の相剋のときもあり、この場合は亢進の色ということになります。相生・相剋で黄色についていえば、黄色の左右の赤と白は相生色であり、もし、長夏に赤・黄・白を示す場合の病は比較軽く、逆に相剋の青や黒を示すときの病は重いとみます。長夏で季節色は黄色であるべきなのに、赤色を示しているのは、心が強くて、収斂できず、夏の状態を示しています。また、土用の長夏であるのに白色を示しているのは、体は早くも秋のものになり、肺気が先行して収斂して寒がっていることを示しています。

肺旺体の人は、長夏が来ると、一足早く白色気味になります。腎旺体の人は、春が来ても依然として黒っぽくて、心旺体の人は、春が来ると先行して赤味を示します。このような場合は、相生の色なので、多少季節とずれていても安心はできます。しかし、反対色の相剋の色を示す場合は危険なので気をつけなければいけません。

例えば、夏にも関わらず黒色を示している人は、冬になると一層悪化します合、また逆に、冬季に赤みを示している人は、冬は何とか過ごすとしても、夏が来ると過火となり、体がぐったりとします。

このように偏ることは歓迎できることではありません。このような人に限って性格も偏っているようです。

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