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東洋医学講座 291

〇脾と緩脈

健康な成人の脈状は、一呼吸に4~5動(腎気ありて無病の人)、1分間に15~16呼吸(72~80動)であります。

また、健康小児の脈状は、一呼吸5~6動、1分間に80~90動であります。

全身における主な脈診部位を図に挙げます。

緩脈は脾を現わし、長夏の午後のときに現われる脈状であります。すなわち、長夏には緩脈となり、午後には緩脈を現わし、他のときにでも緩脈を現わすのは、脾が変化しているときであります。

緩脈を生理的に説明しますと、内臓を始め、全身が恒温をやや越したところで体温が保たれています。例えば、高熱は洪脈、内臓を始め、体の冷えは沈脈になります。その中庸が緩脈であります。

≪温度からみた脈の動き≫

春・朝=上昇温=弦(縮みながら強運動に出る)
夏・昼=最高上昇温=洪(激しくめぐる)
長夏・午後=恒温の保温=緩(ゆったり余裕のある姿)
秋・夕=下降温=濇脈(渋滞しぶる)
冬・夜=低温=沈脈(縮んで中核に宿る)

≪三部九侯の脈(寸口の脈)≫

脈位=浮・中・沈
脈種=洪・弦・緩・濇・沈・病脈
脈動=長・短(寸関尺を超えたもの、または足りないもの)
脈速=遅・速

例えば、洪で浮の場合は理に合っていて、病脈としては順当なものであります。沈で大であれば非常の脈であり、腎に炎症などの重症の脈なのであります。

脈が、浮―速―長は、体熱の高いことを示します。
脈が、沈―遅―短は、体が冷えていることを示します。

また、疾病部があると疾病部に血液が多く流入するので、寸関尺の脈診部の動脈も強く打ちます。

右手、左手の脈状の異なりは、拮抗のアンバランスを示し、剋し合ってよくありません。例えば、寸口の左右の脈状が異なると、心と肺の働きのバランスを崩している証拠であります。このアンバランスの脈状によって、心と肺の剋傷が生じていることを現わしています。

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