東洋医学講座 308
脾系統の四季の病理
脾病は秋に治りやすく、秋に治らなければ春に著しく悪化し、春に死ななければ長夏を待って起こる性質があります。
脾病の主症状は、代謝閉塞しがちとなり、体が重く、倦怠感が強く、体中の関節に痛みを感じます。
四季と脾系統の病理
脾経の四季の病理については、旺相死囚休を使い、五季の相生・相剋のめぐりで説明します。
病が脾にある場合は、脾は土性に属すので、土という符号に合わせますと土生金で、秋に癒えやすいことになります。秋が旺になれば、土にとっては子供が旺なのでその親は楽になります。楽であるとは、治りやすいことを意味します。
秋の癒えやすい条件のもとでも治らない場合は、病が重いか、あるいは摂生しなかったためです。このような場合は、冬の停滞期を通って春にもっと悪化します。それというのも、春は木気なので、土を中心にみますと木剋土という関係になり、土にとってはいい条件ではないからです。
春は、草木が土中から養分を全て吸い上げてしまうように、旺相死囚休では死という条件下にあります。そして、春に死ななければ、長夏を待って再発します。
長夏は自分が旺んに働かなければいけないので、力が不足している場合は再発します。夏は、母である心が旺になるので子は楽ですが、秋ほどよい条件ではありません。冬は、長夏のひらいた条件下で旺となる脾にとってしぼんだ条件下に来るわけであり、土剋水という関係があるにもかかわらず停滞気味になります。
脾が病めば、その症状は代謝閉塞によるものが主になります。土の性質には浸透性があります。人体においては親和性ということになります。水分の浸透性もそうでありますが、栄養分の消化・吸収・配分といった働きもこれに属します。水の流れが悪くなれば、水が溜まり浮腫という形で現れます。それ以前の症状としては、体が重だるく、倦怠感が出ます。
そして、さらに悪化しますと関節に症状が来ます。土剋木という逆剋現象で、木である筋肉が引きつるので、それによって関節が引っ張られ、関節の痛みとして現れます。
例えば、リウマチは脾と腎が侵され、ここに心の亢進が認められます。心が亢進するのは、腎力の低下によるものです。腎と心は拮抗しているので、腎力が低下すれば心は上がります。すなわち、冷熱拮抗バランスが崩れたといえます。つまり、陰陽のバランスが崩れているわけであります。
腎力の低下によって冷熱コントロールが崩れると、恒温を保てずに、熱が過剰となります。関節の変形がみられるのは、熱によるものです。物が変形する場合は、どのような場合でも必ず熱作用があります。したがって、腎力不足により骨が熱に耐えられなくなった結果なのです。それは36.5度よりもわずかに高い熱でも、骨に抵抗力がなければ侵される結果となります。
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