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東洋医学講座 128

〇肝と怒り

怒ったり、イライラしたり、焦ったりする、これら一連の精神作用は、肝系の生理作用の変調を与えます。

また反対に、肝系の生理作用が亢進すると、精神作用の変調をきたし、焦るようになったり、イライラを生じさせたり、怒りっぽくなったりします。

これは、精神と肉体がお互いに相関性をもちながら個体をつくっているからであり、双方のうちどちらかに変調をきたしても、必ず他方に影響を及ぼします。結果的には両方ともに変調をきたし、精神障害や機能・器質障害を生じるのであります。

肝臓を肝系の根としてみた場合、怒りは肝臓の生理作用の一部になっています。しかし、怒りは肝臓の正常な生理作用ではなく、亢進した生理状態であり、心理状態なのであります。

肝臓の正常生理から発する精神作用には、積極性・進取性・慈愛性・発展性などが挙げられます。すなわち、肝に変調をきたして亢進すれば、怒りを発し、また、怒りが発すれば、肝系に変調が及ぶのであります。

怒り、イライラ、焦りは、同じ心理作用で、働きの強さが異なったものであります。

・焦り=肝亢進が怒りやイライラよりも少ない状態(30亢進)
・イライラ=肝亢進が焦りより多い状態(50亢進)
・怒り=肝亢進が強く発した状態(100亢進)

しかし、肝臓機能に変調をきたし、肝が亢進しやすくなっているからといって、必ず怒りを発するということではありません。怒りを発しやすい生理状態にあるということであり、怒るかどうかは、その人の環境や他臓との均衡状態、先天的人格などによっても異なります。

それに反して、怒りの精神状態を発した場合は、大なり小なり肝を亢進させ、悪影響を及ぼします。

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