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東洋医学講座 264

〇脾にはどのような働きがあるか

脾については、春夏秋冬の四季の中での土用の働きの複雑性を考えると理解できます。土用は4つに分かれ、春夏秋冬をコントロールしています。

地球という土盤の土気の上で、春夏秋冬の四季が働き、この土気と天気の五気が協力して生物はつくられています。したがって、自然界の根源の構成を考えれば、脾の問題もそう難しくはありません。つまり、脾を考えていく前に、生物は大地という土質のグランドの上にあるということを考えていけばいいわけであります。

▽脾の働きと土気

土用の気が強く働くのは、大きく分けて4つの面があります。それは四季の木火金水の四気と、土用の4つの土気であり、これを合わせると八気になります。これは一般にいわれる〝八方ふさがり〟の八気方です。

易でいう九星とは、この八気に土盤の土気を加えて九気としたものであります。易は、経に働き、すなわち上下に働く縦の動きであり、これに大地の働きを合わせたものが九星であります。九星は土盤の上に八気が働き、その土盤から発する土気を加えているので複雑になっています。

九星では、土の働きを3つ持ってきています。五黄土星の中宮は全土盤としてのバックボーンで、二黒土星と八白土星は、四土気の代表的働きとして用いられています。

脾とは、西洋医学でいう脾臓だけを指すのではなく、脾系統全部であります。つまり、土の働きをするもの全てを指します。

脾を大きくとらえますと、肌肉全体を人体として考えます。人体の形あるもの、肉眼で見えるものは全て土系の働きによって形づくられ、その中で木火金水の肝気・心気・肺気・腎気が働いています。

陰陽の観点からいいますと、形あるものすべて陰の働きであり、その形を作っている働き、また、その形から発している気が陽の働きです。そして、この陰陽の働きが拮抗しているのであります。

陽の働きとは、この場合は肝(木)の働き、心(火)の働き、肺(金)の働き、腎(水)の働きであり、土性が大きな意味での陰の働きです。

例えば、肝臓という形を成している臓器についていえば、肝臓は土性のものであり、土性が〝会社〟で、そこで働く社員の〝労働〟が肝臓の働き、肝気であります。したがって、肝気という働きはあっても、形はありません。つまり、土性と協力して肝臓というものが成立しています。

このような観点からいいますと、肉体全体が脾系であることが分かります。この考え方は、陰陽観をよく知り、また、五行がいかに組み合わさっているかが分からないと理解できません。

いずれにしてもここでは、体を形成している形あるもの全て〝脾体〟である、ということを理解しましょう。

脾について細かく分析しますと、主部的な働きとしては脾臓と膵臓系統の働きがあります。脾気の働きを大きく分けた場合、心系と強く結ばれて陽的に働いている面と、腎系と強く結ばれて陰的に働いている面があります。この陰的に働いている部分が、膵臓系であります。

脾は、飲食の五味を消化・吸収・貯留・配分する、いわゆる消化器系の働きをしています。つまり、脾系の働きをしています。そして、食物である五味の化生と配分をコントロールをして、五臓の気を養っています。

簡単に説明すれば、脾は五臓系統の栄養源をコントロールして、五味を化生し、配分している器官であり、肉体を作っている元であります。つまり、脾気は肝・心・肺・腎と協力しながら、人体肌肉の形をつくり、また、この五臓気のエネルギー源ともなっています。

このように、脾系を中心にして、五気がお互いに拮抗・競合の関係をしながら、一体となって働いています。

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