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東洋医学講座 266

〇脾にはどのような働きがあるか

▽消化作用の仕組み②

食道は蠕動運動をしているので、物を食べても、飲み込んでも吐き出すことはありません。逆立ちをして物を食べたり、水を飲んだりしても入っていきます。この蠕動運動は大変精巧で微妙な働きをしています。

水を飲むとさっと入っていき、よく噛んだ粥汁状の物を飲み込むとゆっくりと入っていきます。ところが、よく噛まないで飲み込むと、よく噛まれていない固い物と水様物とに分かれて入っていきます。こうしたことを考えても、よく噛まないことは胃に負担をかけることを証明しています。

このように、食道の蠕動運動は食道の気として消化活動の一端を担い、心・肺の上焦の働きを補う気となっています。単純に説明すると以上のようになりますが、その仕組みは極め微妙にできていて、未だに詳しく分かっていません。人体にはよく分からない部面が多く、口の働きひとつをとっても大変なものであります。咽喉についても同様で、その意味からしても、人体は〝最大の未科学〟といえます。

消化器系としては、横隔膜の上に口気、咽喉の気、食道の気の三つがあり、上焦の気の一部として働いています。横隔膜から下についていいますと、よく噛まれた食塊は咽喉、食道を通り、胃に入ります。胃では、胃液が分泌されて食塊とよく交わり、胃独特の働きを生じます。つまり、胃気が働きます。この胃気の働きは、口腔や食道の蠕動運動とは異なった働きで、口腔でよく噛まれた粥汁をさらに細かく砕く働きをします。口で大雑把に砕き、続いて胃でやや細かく砕き、さらに小腸でも砕かれて、最後に吸収されます。

このように、ほとんど口と胃で砕くので、胃の弱い人は口でよく噛んで砕くと、それだけ胃は助かります。したがって、胃の調子が悪いときは、固い物はよく噛んで胃に送るように心掛けなければいけません。

前回述べたように、お粥は水分が多く、よく噛めないために、たくさん食べると胃がもたれます。しかも糖質なので、大量に入ると胃の筋肉が伸びてしまいます。粥汁状は甘酒状になったもので、それが胃に入ってきますと、すぐに醗酵して、糖質化して、胃に負担をかけます。

胃の弱い人は、よく噛んで物を食べる心掛けが必要です。ただし、体の弱っている人は、口腔や胃に対して負担が少なく、また、すぐに吸収しやすいお粥のようなものを量を少なくして摂取することが必要であります。

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