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東洋医学講座 269

〇脾にはどのような働きがあるか

▽宇宙生成の原理

人間が小宇宙であるという東洋思想的な考えに立ち、宇宙生成に何がどう働いているのかを考察します。

人間は地球という大地の上にいますが、この地上では天の気はどのように廻っているのでしょうか?天の気は、この地上に春夏秋冬という自然の働きかけをしていて、古人はこれに木火土金水という符号をつけました。そして、土に当たるのが大地であります。この大地と木火金水に相当する四季の関係を説明しますと、四季は天の気、すなわち自然の働きの一面であり、それぞれ異なる働きをもって蛋白・澱粉体である人間や生物に異なった働きかけをしています。

夏の暑さにあえば、膨張・開大・伸長し、冬の寒さにあえば、収縮・凝固します。また、春、秋では、同じ温度であっても、春の加熱温にあえば、成長・伸大し、秋の加冷温にあえば、葉は枯れて収斂します。同じ温度であっても全く異なった働きをします。

このように、天としての働きは一つですが、その働き方の内容が異なります。これを四季といい、四季の天気と大地の土気が交流して、天地交流したところに人気が生じます。そのうえ、木気の天気が働き、木と土が組み合わさって人気が生じます。これが一枚の絵です。さらに、夏季には火気と土気が組み合わさって人気が生じ、これが二枚目の絵になります。また、秋には金気と土気が、冬には水気と土気が組み合わされて、それぞれ三枚目、四枚目の絵が出来上がります。

このように描かれた四枚の絵を同一の画用紙の上に一つまとめて描いて、観察すれば、一つの土というグランドの上に木火金水が描かれて、一年という周期をみることが出来ます。

木という春を表面からみますと、「ああ春だなぁ」とみられますが、その春の下に組み合わさって働いているのが必ず土であります。したがって、土という働きがなくては、春も夏も成立しません。

土というのは、陰に伏在して働いています。したがって、純木気などというものは存在しません。木という天気が大地の土気と交流して、春という人気をつくっています。夏、秋、冬の同じように、木火金水の陰に土が必ず裏打ちしています。

しかし、四季の中でもこの土気の裏打ちが少ない時期があります。一年の周期は、春夏秋冬と変化していきますが、急に寒くなったり、暑くなったりすることはありません。例えば、冬から春に移行する時期は、冬の力も春の力も弱い天気の少ない時期であり、水気・木気の薄いところであります。この変化、移行する天気の薄弱期には、それまで天気と同じ力で働いていた土気が急に上に出てきます。これが土気上昇の期で、これを土用と呼んでいます。

土用は、冬から春にかけてのものを冬の土用(鬼門期)、春から夏にかけてを春の土用、夏から秋にかけてを夏の土用(いわゆるうなぎの土用)、秋から冬にかけてを秋の土用といっています。各土用は条件は同じでも、種類も性質も違います、このように自然界はいろいろな仕組みで輪廻運行しています。この天である両親と子である人間は、同一機構で働いているといっていいわけであります。

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