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東洋医学講座 267

〇脾にはどのような働きがあるか

▽消化作用の仕組み③

胃では、食物が粥汁と胃気に分けられます。胃がポコンポコンと音がするのは、胃の働きが悪い証拠で、胃下垂の人などによく見られます。ようするに、これは胃の蠕動運動が活発に行われていないためです。この胃の蠕動運動が胃気であり、意気揚々などという場合の意気と同じことであります。したがって、鼻も大きく、意気も盛んな人は、概して脾胃の強い人が多いです。このような人は、精神的に意気が盛んであり、生理的にも胃気が盛んであります。また、お腹が空くと意気が上がらないのも、このような点に関係しています。

このように胃気は、口気、咽喉の気、食道の気などよりも、体気大きく関与しているといえます。つまり、それだけ胃気は強烈な働きを持っているといえます。

食物は粥汁と胃気に分かれ、胃気は脾臓に入り、粥汁は小腸に入ります。脾に入った胃気は、脾気となって三焦の原気となります。すなわち、胃気はそのまま脾気となって、各臓を通じて各組織に送られ、上焦の気や中焦、下焦の気の中核となります。前述したように、空腹だと力が出ないように、胃気というのは非常に大きな働きをもっています。

一方、小腸に入った粥汁は、さらに消化・吸収されます。小腸の蠕動運動は、胃のそれに比べますと緩やかでありますが、小腸は長いためにゆっくりながら力の強い蠕動運動を行います。この蠕動運動によって腸気が発生し、心臓の気を補います。胃気と同様に小腸の気も脾気になります。脾は総体をコントロールしていますので、上焦で発生した気も脾に入りますし、中焦の気も下焦の気も、一応脾に入り、その後に上焦・中焦・下焦と分かれて各組織に出ていきます。

粥汁は、小腸で消化・吸収され、営養素は肝へ、粕は大腸に送られます。この小腸蠕動によって発生した腸気は、心気を補う力となり、また大蠕動によって発熱や静脈還元などの働きも起こします。また、肝に入った営養素は肝化され、静脈を通って心に送られます。さらにそれが肺に入って肺化され、心に送り返されそこから各細胞に送られます。

大腸に送られた食粕は、水分と粕に分けられ、水分は膀胱に、粕は便として排泄されます。しかし、分離・消化・吸収されるときの化学的変化によって気化された大腸の気は、肺を補う気として働きます。この大腸から肛門までの間に発生するのが下焦の気の一つであります。

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