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東洋医学講座 310

脾系統の時の病理


時の病理

脾系統の病理は、申酉戌の刻(午後3時~9時)に癒えやすく、寅卯辰の刻(午前3時~9時)に悪化しやすいです。巳午(午前9時~午後1時)を待って未の刻(午後1時~3時)に起こりやすくなります(大抵、各土気の時間には変化しやすい)。

なお、四季・日・時の他に、年・年齢の輪廻による病理もあります。

年=金年はよく、木年は悪化し、死の転機になりやすい。

年齢=幼腎旺、少肝旺、壮心旺、中脾旺、晩肺旺のいずれの年齢時の脾病。晩年は治りやすく、肝旺の青少年期は死にやすい。

・脾は和緩を欲し、偏気を悪(にく)む(潤土を喜び、運動=木、過湿冷をとくにきらう)。
・脾の実証は、苦薬を用いてこれを瀉す(過食は一過性の脾実で、実証に含む)。
・脾の虚証は甘薬を用いてこれを補う(虚証は不食、消化不良によるものが含まれる)。
・脾は湿食・飽食・湿気・冷気を禁ず。
※湿食=水性・冷性の飲食
※飽食=過食
※湿気=湿気の多すぎる場所・家・部屋に住む

時と脾系統の病理

時間のめぐりは、地球の自転によって起こる変化なので、年とめぐりと同様の仕組みで考えます。

時間は24時に割ってあるので、十二支を使うと分かりやすくなります。これは子の刻、丑の刻、寅の刻・・・という時間のことでありますが、偶数時間を中心とした前後1時間がその時間を示しています。例えば、子の刻は午前12時の前後1時間をさすので、午後11時から午前1時までが子の刻となります。

木気が中心として働く時間帯は、寅卯辰の刻(午前3時~9時)です。さらに詳しくみますと、寅の刻はまだ水気を多分に含む木気であり、卯の刻は木気そのもので、木気の力を出し切れるときです。辰の刻は、木気から火気へ移行する変化の時なので、寅卯辰は木気の生旺墓の時間の関係になっています。

では、脾臓にとって寅卯辰の刻という時間はどのようなものなのでしょうか?

寅卯辰の刻は、脾臓にとっては死地の時間帯で、その旺気である卯の刻がやはり一番悪化する時間であるといえます。脾はさらに腎機能が低下している条件のもとにあれば、寅の刻が最悪の状態になるといえます。

したがって、脾臓の負担を考えた場合、朝食を摂ることはよくないことが分かります。ただし、成長過程にある人は、脾化作用が旺盛なときなので体質に応じて摂る必要があります。しかし、それ以降は朝食は必要ありません。子どもでも体質によっては、朝食は少量で良い場合もあります。脾旺体で、さらに体力が低下している場合は必要はありませんし、また同様に肺旺体の人もそうです。というのも、脾旺体、肺旺体の子供は肝旺気であるのに対して、死囚の地に脾・肺が入ってくるので、自分の力を思い通りに発揮させることが出来ないためであります。

以上、四季・日・時の病理を簡単に述べましたが、その他にもまだ、年・年齢の輪廻による病理もあります。

年の輪廻における例を挙げますと、乙未(きのとひつじ)の年は土性の年です。これは脾旺年なので、脾旺体で火の弱い人にとっては脾病が発症しやすくなります。庚申(かのえさる)の年は、金年なので脾にとっては休地に入っています。したがって、脾にとっては楽な年で、また脾病があれば快方に向かう年といってもいいでしょう。悪いのは、死囚期にあたる木年・水年であります。

年齢による見方は、幼児期は腎旺体、少年期は肝旺体、壮年期は心旺体、中年期は脾旺体、晩年期は肺旺体であるので、どの年代で脾病をするによって、同じ病でも状態は異なります。例えば、幼少期は腎旺体なので、脾が腎を剋す関係にあります。したがって、消化器病などをすればあまり芳しくありません。晩年期は脾病にかかりにくく、また治りやすいといえます。

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