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東洋医学講座 113

▽『霊枢』にみる爪の見方

『霊枢』に「肝は爪に応ず」とあります。これは、肝と爪が相関しており、爪をみれば肝の状態が分かるということをいっています。

爪の厚さ・薄さは胆の力、つまり肝の力を示すものです。爪の色が少しでも黄色がかっている人は、胆が厚く、つまり肝の働きが盛んで、胆汁の多いことを示しています。肌の黄色い人は、胆汁が血中に入っていることを示しています。ですから当然、爪が黄色であれば、筋組織や皮膚も黄色くなります。

診察する場合、他の望診箇所より爪のほうが分かりやすい場合があります。普通、爪が黄色くなっているのは、脾臓が亢進している場合であり、脾臓の力が弱いから現れるものですが、「爪を厚くして」というのがここでの条件になっています。したがって、爪を厚くして黄色になるわけで、そういう人は肝・胆が強すぎるといえます。

次に、爪の硬さですが、爪は健康体であれば弾力があり、硬すぎても軟らかすぎてもいけません。

硬い場合は「胆緩なり」というように、肝も脾も強く、胆汁もゆっくり力強く代謝されます。これは、おっとりとした性格や生理作用を表しています。このような人の手は全体型は、指が太く、指根とほぼ同じくらいの太さで寸胴で、全体が四角っぽくなっています。ちょうどグローブのような手をしています。このような手のタイプの人は、実直で、物事を丁寧にコツコツと仕上げるところがあります。その反面、一度決めたら、考えを変えないといった面ももっています。

爪直とは、真っ直ぐな爪ということで、硬くて弾力がないことを意味し、肝だけが亢進して体質も性質も直情を表し、怒りを発しやすく、融通性に欠けるところがあります。

白い爪は、肺の働きが強いことを示します。肺気が強ければ気のめぐりも早く、覇気があり、気の強いことを表しています。

無紋とは、爪に縦縞や横縞がなく、爪面が平らできれいな無傷なことをいいます。

胆直は、ここでは病的な意味に解釈するのが妥当ですから、直情的な傾向をいっています。短気だということです。要するに、胆汁の出が急で、短気なわけです。

爪の色が黒いのは、腎機能の低下を示しています。紋があるのは、障害があったことなので、肝機能に障害がこれまであったことが分かります。

「胆結するなり」とは、〝結〟はむすばれる、少ないという意味です。結滞脈という場合も、この結の字が使われていますので、意味が分かるかと思います。腎肝の機能が低下すると、胆汁があまり出てこないとされています。

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