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東洋医学講座 268

〇脾にはどのような働きがあるか

▽小腸と大腸の関係

大腸はなぜ小腸を取り巻いているのか?また、どうして大腸の中にほどに小腸があるのか?ということについて考察してみます。

小腸は副心臓であり、熱源でもあります。小腸の腸壁には他の臓には見られない非常に多くの動・静脈、とくに静脈がびっしりと取り巻いています。これは粥汁を吸収するためでありますが、ここでの粥汁は一種の血液と考えます。腸の蠕動運動の動きの激しさには血液が沢山必要とされます。小腸は8~10mと長く、これが尺取り虫や蛇のような動きで、力強く蠕動運動をするので、それによって熱を発生させます。

小腸に限らず、全ての臓器が動けば必ず熱は発生します。臓器の機能が衰えれば、動きが少なくなり冷え、また冷えによって機能が低下します。冷えないためには、蠕動運動を静止させないようにします。小腸はどちらかというと大きな臓器であり、しかも激しい蠕動運動を行っているので、大発熱源になっています。

大腸はこの発熱源である小腸を取り巻いています。要するに、常に火を抱いているようなものであり、この熱で大腸の中の水分は熱化され、気発されます。大腸の水分はほとんどが小腸で吸収されるのでほぼありません。この水分の吸収が不十分な場合、下痢便になります。では、大腸で吸収した水分はどこに行くのでしょうか?大腸は膀胱とつながっていません。それが一旦体液の中に入ってから膀胱へ行くといえばそれまでですが、そればかりではないでしょう。

大腸の気化作用を受けて動気が生じます。つまり、蒸気機関車と同じように常に動気が生じるように宿命づけられています。この大腸の動気と肺の気は、横隔膜を境にして上下で陰陽協同して衛気になり体を守っています。したがって、肺と大腸は陰陽協同の兄妹関係にあるといえます。大腸から生じた気化圧は体内に発しますが、人体を大きな袋に例えますと、外表の袋に当たる皮膚の各所に毛の穴があり、その皮膚が外気圧をコントロールし、大腸の内圧のコントロールをしています。つまり、大腸が皮膚呼吸に関与し、そのコントロールをしているとみることが出来ます。

小腸の熱が高いと大腸の気化が大きくなり、水分がなくなって便秘になってしまいます。ただ、心・肺のコントロールが完全に行われると、大腸の状況は順調になります。

肺は、酸素や窒素を吸収し、心臓や血管の心系統を通じて各組織に送ります。要するに、肺は内呼吸を主に司る臓器であります。これに対して大腸は、身体内部の気化作用を行い、皮膚呼吸によってこれをコントロールしています。

大腸が一日のうちで最も働くのは朝であり、また、皮膚呼吸も朝が最も活発に行われます。夕方は陰で、収斂のときであり、大腸も皮膚も収斂してしまいます。したがって、朝の運動・深呼吸が大切であるということが理解できるかと思います。

以上をまとめますと、脾の部では、口腔・咽喉・食道までの横隔膜より上の部は上焦の気として働き、この気は脾の方へも行きます。また、咀嚼することにより、脳をはじめ上焦臓器の方にも動気が直接作用します。

また、胃腸は中焦の気として働き、これも脾に行き、周囲の臓腑とお互いに協力して働いています。大腸から肛門までは、腎・膀胱と関連しながら、下焦の気として働きます。前述したように脾は消化器であり、さらにいえば消化体、つまり全身であります。

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