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東洋医学講座 201

〇心と汗

▽五液について

▼涎(よだれ)は脾臓の液

涎とはどういう人に多いかといいますと、それは子供です。幼児は急激に成長する必要があります。そして一日に何回も食事をする消化体であります。腎旺気なので、消化液をはじめ、あらゆる水液がたくさん出ます。

涎とは、消化の有余であるといえます。脾臓の液ということであります。肝の液は涙、心の液は汗、脾の液は涎です。

▼涕(なみだ)には収斂作用がある

涕は肺に関与しているので、心情は悲しみです。肺系の働きは収斂です。肺系の働きによって出る水液が涕です。肺は内在しようとする内臓の働きなので、一年では秋の気に配当され、温度的には冷却の働きを持ち、物が固まり収斂します。収斂の働きを持つ肺は、身を固める働きをします。

身を広げるのは遠心性、身を縮めるのは求心性であります。身を縮める働きを強くしていきますと、悲しみとなり、涙が出ます。肺は門を鼻に開いているので、鼻水が一緒に出る涕ということになります。煙を吸うと涙と鼻水が出ます。煙は鼻にしみ、しみると身が縮みます。肺は煙が体内に入るのを防御するために皮膚を縮めて、煙気を外に発散しようとして涕を出します。非常に悲しいときには身が収斂して涙が出ます。

例えば肺機能が低下していると、収斂しようとする働きが弱まっているため、遠心的に体が拡張されて太ります。太り過ぎている人は、肺系の力が不足しているので補う必要があります。この点から考えても、肺は収斂を司っていることが分かります。

では何故、肝旺体である子供は涙っぽくなりますが、老人も涙っぽいのでしょうか?

一生を四季に配当しますと、老齢期は晩秋に入ることになり、一年で配当すれば秋の季節です。老齢期は肺旺体になります。肝旺は遠心性の涙、肺旺は求心性の涙で、肺も肝も力が過・不足しますと涙っぽくなります。

また老体になりますと、あまり食べなくても、大気を吸って大気中の五大栄養素で身体を保っていけます。しかし、大気の五大栄養素を完全に栄養に化して、吸収できる人はあまりいません。それを容易に吸収させるには、走ることであります。走ると非常に肺の力がついてくるからです。走る人は沢山食べてはいけません。普通の人と同様に食べたら走れません。脾力が大きくなり、肝力が障害され、筋肉が引きつって、走れなくなります。つまり、胃袋中心に生きるか、肺を中心にして生きるかということであります。

肝旺、心旺、肺旺のタイプの人は、走るのに適しています。逆に、脾旺、腎旺の人はあまり走り過ぎてはいけません。

肺は大気を呼吸して、体気をコントロールしています。すなわち、涕は大気の変動の結果といえます。

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