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教員として本当に大切なことって何? 先月末の講義(教職実践演習)を振り返って

このタイトルの先の記事に、「保存されたチャットの内容が届いたら、冷静に振り返りたいと思います。その結果は、あらためて記事にしたいと思います。」と記してから1か月が経ちました。

最終的に今回の講義を次のようにまとめました。

本講義の展開は次の①から⑤です。
ZOOMのチャットやブレイクアウトの機能を活用して双方向的な講義に努めました。
 ①チェックイン
 ②課題の設定
 ③情報の収集/整理・分析
 ④まとめ・表現
 ⑤チェックアウト
また、学生がより主体的に学ぶためには、本講義の課題(目標)を自らの課題として捉えさせる過程が必要だと考えました。
そこで、①チェックインで「この講座に期待すること」をそれぞれ想起させ、グループや全体で協議しながら②課題設定(本講義の課題)につなげることとしました。
その結果、設定された課題は「教職への不安を自信に変えるために」となりました。

協議のなかで「学校の実際を経験者の私から聞きたい」という意見もありましたが、「この後の展開で紹介できる場面があればそのときに」と伝えました。

担当教授との事前の打合せで、「通信教育過程の学生は、この時期、教育実習への不安を抱えていることが多い。」とのことでした。
そこで、③情報の収集/整理・分析のテーマは、②で設定した課題を解決するために、「どんな教育実習にしたい?」と計画しました。

③情報の収集では、ブレイクアウトで他者の様々な考えに触れさせ、その後のチャットで他のグループの協議の状況を確認し、さらに全体で気になるチャットの記載内容に質問するなどしました。
この後、他者から聞き取ったことと自分の考えを比較したり、関連付けたりして、自身の考えをブラッシュアップする時間(③整理・分析)をとる計画でしたが、時間がなくなりそうだったので実施しませんでした。
④まとめ・表現として、自身の考えをチャットに記入した後、全体で意見交換を行いました。

意見交換の中で、学生から「主体的をどのように捉えるか?」という質問がありました。
そもそも私としては、本講義を学生の主体的な学びにしたいと考えていて、それを実現するための講座展開の意図を講義の最後に説明する予定でした。
学生の質問に答える形で説明することになりました。

最後に、⑤チェックアウトとして、3つの設問(印象に残った「やりとり」は?/印象に残った「人」は?/今、考える「これから」は?)への回答を依頼しました。
設問1及び2は対話的な学びがあったかどうかを、設問3は何らかの行動を起こそうとしているかどうかを把握したいと考え設定しました。
設問3「今、考える『これから』は?」のテキストデータをマイニングすると、次のようになりました。

実際の記述をいくつか取り上げてみます。
▶︎みんな自分と同じように不安だということが分かり少し気持ちが楽になりました。
▶︎(教育実習に向けての)不安を取り消すために準備、行動をしたい。
▶︎完璧な人間ではなく修正力のある人間になりたいと思う。
▶︎志望動機を考える度に、自分がこうなりたいからと答えることが良くないのではと不安に思っていたので、高光先生のお話しを聞いて、堂々と自分の思いを面接等で伝えられる自信がつきました。
▶︎豊かな子どもたちを育てるにあたり、まずは自分自身の生活を豊かにする必要があると気付いたので、実施します。

これらの記述から、私は次のように感じました。
教師は完璧でなければと考えがちだけど、変化の激しい時代の教師は修正力が大切だと思うし、それが学び続ける教師なのだと感じました。
また、教師を続けていくためには、「どうして先生になりたいと思ったのか」や「どんな先生になりたいのか」を追求していくことが大切であり、これも学び続ける教師の姿なのだと感じました。
さらに、自分の生活を豊かにすることは教育活動の充実に必ずつながるし、教員の働き方改革にはそうした意味があるのだと感じました。
以上のことからも、講義を通して、学生間で、また学生と私の間で、刺激し合っていたんだと感じました。
教員として本当に大切ななことが、このあたりにあるのではと思いました。

教員時代も含めて、課題の設定を初めて受講者に任せてみました。
設定された課題は170名の学生すべての意見が反映された訳ではありません。
しかし、同じ状況にある学生が意見交換しながら設定した課題は、どの学生にも受け入れられたのではないかと考えます。
また、通信教育課程では日常的に学生間のつながりがありません。
今回、ブレイクアウト後の全体交流の場面で、ブレイクアウトで聞き取った意見を全体に紹介する学生がいました。
同じ状況にある学生から受ける刺激は大きいということを実感しました。
そうした学生のやりとりに対して、講師(私)が価値付けたり、補助的な質問をしたりすることで学びが一層深まるのではないかと感じました。
こうした学びは児童生徒にも通じることだと思うので、今回の体験を初任者研修に生かしていきたいと思います。

ただ、次のことについては、再考しなければならないと思いました。
課題を設定する協議のなかで「学校の実際を経験者の私から聞きたい」という意見がありました。
大学の先生(研究者)ではなく、私のような立場の者がこの講義を担当する意味がそこにあるのだと思います。
12月に講師を務める機会があります。
次回は、私が担当する意味を追究したいと思います。

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