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経済の仕組みを理解しないと、本当の幸せには近づけない。

こんにちは、ハイファイブ採用広報チームの小林です。

第4回は、2021年1月にハイファイブのCHRO(Chief Human resource Officer: 最高人事責任者)に就任した羽渕彰博さん(以下羽渕さん)にインタビューを行いました。
組織開発のコンサルティングを行う、reborn株式会社の代表取締役である羽渕さんが、どのような経緯でハイファイブに加わったのかについて迫っていきたいと思います。

投資の面白さについても、教えていただけるとのことでとても楽しみです!

羽渕 彰博(はぶち あきひろ)プロフィール
株式会社ハイファイブCHRO。個人投資家としてハイファイブに出資。2020年9月よりハイファイブに参加し、ビジョン・ミッション・バリューの再定義と貢献した。対話を通じて適応課題を解決し、意思決定や実行が円滑に進む環境づくりを実践している。
組織開発のコンサルティングを専門とするreborn株式会社の創業社長、自分の個性を誇れる自尊心を育むための子どもたちの暮らしの場をつくる特定非営利活動法人 ごかんたいそうの理事を兼任。


利益を企業に投資して社会に還元したい。

ー羽渕さん、今日はよろしくお願いいたします。まず最初に、ハイファイブと関わることになったキッカケを教えてください。

キッカケは、私が挑戦している企業に投資しますよってSNSを通じて呼びかけて募集をしたんです。そしたら、ハイファイブ社長の水野さんからご連絡いただき面談したことが始まりです。

私はハイファイブだけでなく、reborn株式会社という組織開発のコンサルティングサービスを提供する会社を経営しています。自分の会社で出た利益を、どう使おうって考えたときに、社会に還元したいなって思ったんです。

今まで利益は寄付で還元していたのですが、さらに投資することによって頑張っている企業を応援しようと考えました。


ー自分のために使おう、とは思わなかったんですか?

税理士さんからも、節税対策で車を買って社用車にしたらどうですか?とか、家を買って事務所にしたらどうですか?とか、いろんな提案をいただいていたんですが、自分も家族も物欲がないんですよ。

服はユニクロとか無印だし、趣味はゴミ拾いとジョギングだし、車も家もいらない。そもそも会社で得た利益は、僕だけでなく社員の方と生み出した利益なので、自分ではなく誰かに喜んでもらえるようなお金の使い方がいいなと思いました。

ーそれで投資を決めたんですね。

はい、リモートで1時間くらい話して、ハイファイブに資金提供することに決めました。実は事業計画も全然見ないで決めてしまったんです。

ーえー!投資って事業計画をみながら決断するものじゃないんですか?

事業のフェーズにもよるのですが、アーリーステージではあまり珍しいことじゃないらしいんですよ。他の投資家さんも事業計画書をみずに判断されたみたいで後から知りました。

そもそもスタートアップ*は事業計画があっても、環境によって軌道修正することが多いので、事業計画の良し悪しだけで判断できない側面もあります。

*スタートアップ:まだ世に出ていない、新たなビジネスモデルを開発し、短期間で急成長させることを目指す。

経営者の人間性や関係性が事業に大きく影響する

ー事業計画だけが基準ではないんですね。では、何に惹かれて投資を決めたんですか?

一言で言えば、水野さんのお人柄ですね。水野さんは、謙虚で素直で悪いことはしないだろうなってのが決め手でした。
組織開発の仕事を通じて、経営者の人間性や関係性が事業に大きく影響することをみてきました。社長や経営陣は権限を持つので、会社を私物化できてしまいます。

それこそ先ほどの話ではないですが、会社のお金で私用車やマンションを買ったり、私的な人事で愛人を社内に入れたりする。結果的に社員から信用されずに人が離れていき、会社が潰れてしまいます。

事業の成功は再現性がないのですが、組織の失敗には再現性があります。

組織の失敗を潰し、組織の課題を減らしていくと、自ずと挑戦できる回数は増えていきます。新規事業は仮説検証を繰り返して「勝ち筋」を見つけていくことです。10回挑戦できる会社か100回挑戦できる会社か、どちらに可能性があるかは明らかですよね。

もし挑戦した結果、「勝ち筋」を見つけられなかったら、その時は仕方ないです。

水野さんからお話をお伺いして、仕事のできるできないはさておき、社員の信頼を失うようなレッドカード級の失敗はしない方だろうなと感じて出資を決めました。この時は、あくまで出資するだけで、役員として関わることは想定していませんでした。

ー関わる予定はなかったんですね。そこからどうして働くことになったんですか?

ハイファイブ に投資をすると決めたときに、reborn社が組織開発のコンサルティングをしていますから、もし本当に困った時があれば、ご相談いただけたら力になれますよって伝えました。

ただ水野さんから組織の課題についてお伺いして、今困っているので、一緒に仕事をしてほしいとご相談いただきました。私は他人を喜ばすことを自分の喜びとしているので、自分が関わることで喜んでもらえるならと引き受けました。誤解なきようにいうと、役員ではありますがハイファイブ専任ではなく、reborn社や他の会社の組織作りも引き続き行っております。

結果的に今の立場はCHRO(Chief Human resource Officer: 最高人事責任者採用)という身に余るような役割をいただきましたが、役職に縛られずに、社内で喜んでもらえる事なら何でも引き受ける姿勢で取り組んでいます。

出資は「金融経済」の世界を旅するための切符

ーまず資金提供から始まって、会社に参加したという経緯なのですね。つまり、お金を払って、働いているわけですかね!?普通のサラリーマンは働いてお金をもらうもので、会社にお金を払うことはないですから、正直、理解しづらいと思いました。

そうですよね。お気持ちはよく理解できます。どのように伝えればいいか難しいですが、イメージ的には、出資して働くということは、新しい世界にいける「冒険旅行」みたいな感覚ですかね。

世の中のお金の流れには、働いてお金をもらって、そのお金を消費する「消費経済(実体経済)」と、お金からお金を生みだす「金融経済(資産経済)」と2種類の経済が混ざり合って成り立っています。
「消費経済」は身近だと思うんですが、おそらく「金融経済(資産経済)」はあまり聞き慣れないですよね。なぜなら、こちらの経済を動かしているのは、資産家の方や金融業界の方々などごく一部の限られた世界だからです。

でも出資することによって、「金融経済」の世界を体験できるんです。言うなれば出資するという行為は「金融経済」の世界を旅するための切符を買うようなもの。さらに出資しながらスタートアップで働くということは、「金融経済」を見学するだけでなく、船に一緒に乗らせてもらいながら冒険の旅を味わえるんです。

なんだかドキドキワクワクしませんか?

ー見えない世界に旅するときくと面白そうですが、「金融経済」を旅したいという発想がないです。結局、お金持ちになりたいため?

お金持ちになりたいというより、自分を含むみんなが幸せでありたいためですかね。個人的な考えですが、人の幸せは周囲の関係性の質と相関関係にあると考えています。ホクホクするような関係性であれば幸せ、例えお金持ちであっても周りの人々とギスギスするような関係性であれば僕は不幸せだと思っています。

もちろん幸せとお金は関係しています。ただ02年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマン教授によると、感情的幸福は年収7万5000ドル(約900万円)までは収入に比例して増えますが、それを超えると比例しなくなるというデータが出ています。

僕自身もそれ以上稼いでみて、確かにこれ以上は幸せと比例しなくなるんだなと実体験でわかりました。また海外の豪邸に住んで、ゴルフを楽しんでいた方の話を伺う機会があったのですが、平日日中に遊べる人がいなくて、その生活に飽きてしまったそうです。

僕の場合は、幸せが関係性の質と相関関係にあるので、いくら周りからみて豊かな状態だったとしても、その幸せを分かちあえる人がいないと虚しくなってしまうことが容易に想像できます。

そもそもプロの投資家さんでも何十社に投資して1社リターンできるかどうかの世界なので、素人の僕が投資したところで期待できないと思っています。仮にリターンできたとしても、今すでに大好きな人たちに囲まれて十分に幸せなので、また投資するか、未来の子供たちのための学校を創る費用に充てたいですかね。

経済の仕組みを理解しないと、本当の幸せには近づけない。

ーお金のためでないのなら、別に「金融経済」を旅しなくてもいいのではないでしょうか?

いえ、「金融経済」の仕組みは、関係性の質にかなり影響を及ぼしています。
僕は一社目に「東証一部上場企業」で働いていました。reborn社でもクライアントの中に「上場企業」がいらっしゃいます。ハイファイブも通過点として「上場」を目指しています。「上場」とは株式市場に上がって、証券取引所で株式の売買ができるようになることですが、この株式の売買が「金融経済」の世界です。僕たちが何気なく利用しているサービスも「金融経済」のロジックが組み込まれています。

企業は株主に株を高く買ってもらうために、将来にどれだけ成長するかをアピールをしますし、社員はその期待に応えるため頑張ります。短期的に成長を求められていくと、関係性の質は後ろ回しにされがちです。スタートアップ企業の投資家や経営者も、関係性がボロボロになってもいいから「上場」を求める方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身、創業者や初期メンバーが精神を病んでしまった事例もいくつも知っています。もはや誰が幸せなのかわからないですよね。

でもだからといって、社員の幸せだけ主張するのは違うと思っています。結局、業績に反映されないと、歪みが開いていくだけですから。株主と会社、経営者と社員、管理部門と事業部門、異なる価値観を持ったステークホルダー同士の関係の質を高めながら、挑戦してrebornし続けられれるか。これは並大抵のことではなく、自分自身、葛藤しながら取り組んでいます。答えがないのが、とても面白いですね。

僕は社会人のキャリアの10年は人や組織開発に関わり自分なりに納得いくところまではできたので、次の10年はお金や事業開発に関わっていきます。まずは金融経済の仕組みを否定することではなく、受け入れて理解することから始まると思っています。まずは「資本主義」をハグしたいです。

ハイファイブで金銭的なリターンはまだ得られていませんが、その代わりにノウハウや人間関係なリターンは得られていると感じています。

ーまさに他者を理解する姿勢ですね。投資に対するイメージが変わって、少し身近になりました。羽渕さん、ありがとうございました。

ライター:小林梨南
株式会社ハイファイブ採用広報チーム。食べることが大好きで、特に抹茶が好き。全国300店舗以上の抹茶スイーツを食べ歩き、オウンドメディアを運営中。 2020年から本格始動したインスタグラムは、1年でフォロワー100倍の急成長中。



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